Britain, Argued2026年10月13日

    バーナム政権の選挙法案、投票所の本人確認に銀行カードを追加へ 貴族院で審議中

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    英国の投票所で、写真の無い銀行カードを本人確認に使えるようにする法案が貴族院で審議されています。不正対策か投票しやすさかの争いに見えますが、使える身分証のリストは、どの年代の票を通すかで選ばれてきました。

    バーナム政権の選挙法案、投票所の本人確認に銀行カードを追加へ 貴族院で審議中

    画像: Matt Brown / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

    News

    バーナム、選挙の写真ID確認の廃止を急ぐ

    テレグラフ紙の報道と、法案の実際の中身

    2026年10月10日、テレグラフ紙がBurnham rushes to axe photo ID checks at electionsと報じました。早期総選挙の観測が強まるなか、バーナム首相が投票所の写真ID確認をなくす法律を急いでいる、という内容です。

    実際の中身はもう少し地味です。対象は2026年2月に下院へ提出された人民代表法案(Representation of the People Bill)。写真付きIDを求める仕組みは残したまま、リストに足すのは1つだけ。写真の無い英国の銀行カードです。同じ法案には16歳選挙権や、政治献金の上限50万ポンドも入っています。

    法案は9月2日に下院を通過し、9月14日に貴族院の第二読会を終えました。2026年10月12日時点では貴族院の委員会審議の段階です。選挙管理委員会は、写真が無い分だけ確認が甘くなると懸念を示しています。

    2024年7月の総選挙では身分証の不備で約5万人が投票所でいったん追い返され、約1万6,000人がそのまま投票しませんでした(選挙管理委員会の集計)。

    Argument

    高齢者のバスパスは通り、学生のオイスターは通らない

    ここからは私見です。この話を「不正対策か、投票しやすさか」の二択で見ると、肝心なところを見落とします。

    2022年の選挙法が作った身分証のリストは、もともと持ち主の年齢で線が引かれていました。60歳以上向けのオイスターカードや高齢者のバスパスは使えるのに、18歳以上の学生向けオイスターや16〜25歳のレールカードは使えない。政府の説明は「発行時の審査が甘い」でした。どちらも写真付きで、オイスターに至っては同じロンドン交通局の発行です。

    高齢層が保守党に、若年層が労働党に偏って投票する国で、このリストを中立だと信じた人はあまりいません。今回の銀行カード追加は、その裏返しです。デビットカードなら若者の財布にもまず入っています。政府は、使える身分証を持たない人が2〜4%から1%未満に減ると見込んでいます。

    ところが、この改正でも救われない人がいます。金融行動監視機構(FCA)の2024年の調査では、銀行口座を持たない成人がおよそ90万人。所得のいちばん低い層です。写真付きの身分証が無い人と口座が無い人はかなり重なるはずで、銀行カードはその人たちには何もしてくれません。

    保守党は自分の支持層の財布にある身分証を選び、労働党も自分の支持層の財布にあるカードを足した。本人確認をめぐる議論は、結局のところ、どの財布を正規の財布と認めるかの綱引きです。

    Argument

    総選挙に間に合うか、貴族院が修正するか

    次の節目は貴族院の委員会審議です。2026年10月12日時点で日程はまだ公表されていません。

    焦点は2つあります。1つは修正の行方です。選挙管理委員会は銀行カードに慎重な一方、身分証の無い人を別の有権者が保証する「ヴァウチング」の検討も求めています。貴族院で銀行カードが削られるか、逆にヴァウチングが足されるか。後者なら、財布の中身で票が決まる構図そのものが少し崩れます。

    もう1つは時間です。テレグラフ紙によれば、首相周辺は早期総選挙の前に法案を通したい考えです。貴族院が長引けば、次の総選挙も2022年のリストのまま行われます。投票のルールを選挙の直前に変えることへの反発も、野党はすでに用意しています。

    不正を防ぐという看板は両党とも同じです。違うのは、誰の票を取りこぼしても構わないと考えているか、だけです。

    英国のいまを、もう一本。

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