ロンドンの交通ガイド|地下鉄・タッチ決済・Oyster・空港アクセス完全版
Getting Around London
ロンドンの移動は「日本のクレジットカードをそのまま改札にかざす」のが2026年の正解です。ゾーン制と上限額の仕組み、Oysterとの使い分け、そしてヒースローをはじめ5空港からの行き方を、公式の最新料金つきで整理しました。
ロンドンの公共交通は、旅行者にとって世界でもっとも使いやすい部類に入ります。理由はシンプルで、日本で普段使っているタッチ決済対応のクレジットカードを、そのまま改札にかざすだけで乗れるからです。切符も交通系ICカードも買う必要がありません。
一方で、「ゾーン制」「上限額(キャップ)」「ピーク/オフピーク」という3つの仕組みを知らないと、同じ移動でも払う金額が変わります。この記事では、まずその仕組みを押さえ、そのあと空港アクセスまで通しで解説します。
目次
1. ゾーン制の基本
運賃は「距離」ではなく「またいだゾーンの数」で決まる
ロンドンの運賃は、中心部を Zone 1 として同心円状に Zone 9 まで広がるゾーン制で決まります。
- Zone 1:シティ、ウェストミンスター、ソーホー、大英博物館など。主要観光地はほぼここ
- Zone 2:ノッティング・ヒル、カムデン、グリニッジ、ショーディッチなど
- Zone 3以遠:住宅地が中心。観光で行くのはウィンブルドン、キューガーデン(Zone 3〜4)くらい
- Zone 6:ヒースロー空港
観光旅行の移動は、実質 Zone 1–2 の中でほぼ完結します。逆に言うと、Zone 3 以遠のホテルを取ると、毎日の運賃と移動時間の両方が増えます。宿を決める前に、そのエリアが何ゾーンかを必ず確認してください。
実務メモ
- ゾーンをまたぐ回数が増えるほど運賃は上がるが、Zone 1–2 の中で何度乗っても1日の上限額を超えない(後述)
- 同じ「1駅」でもゾーン境界をまたぐかどうかで料金が変わることがある
2. 支払い方法の結論 ——「タッチ決済一択」
日本のクレジットカードをそのまま改札へ
結論から言うと、日本で発行された Visa / Mastercard のタッチ決済対応カード、または Apple Pay / Google Pay をそのまま改札にかざすのがもっとも簡単で、しかも Oyster カードとまったく同じ運賃です。
TfL(ロンドン交通局)がタッチ決済で受け付けているのは以下のブランドです。
| ブランド | 可否 |
|---|---|
| Visa | ○ |
| Mastercard | ○ |
| American Express | ○ |
| Maestro | ○ |
| JCB | ×(非対応) |
**JCB は使えません。**JCB しか持っていない場合は、Visa か Mastercard のカードを用意するか、後述の Oyster カードを買ってください。
Oyster カードはもう必要か?
ほとんどの旅行者には不要です。Oyster は £7 のカード代(返金不可)がかかるうえ、運賃はタッチ決済と同額。さらに後述する「週の上限額」がタッチ決済にしか適用されません。
Oyster を買う意味があるのは、次のような場合だけです。
- Visa / Mastercard / Amex のタッチ決済カードを持っていない
- 子ども用の割引設定が必要
- 現金でチャージして予算管理をしたい
実務メモ
- 改札は「入るとき」と「出るとき」の両方でタッチする。出るときのタッチを忘れると最大運賃を引かれる
- スマホでタッチする場合、そのスマホに登録した1枚のカードで統一する(実体カードとスマホのカードは別扱いになる)
- 決済端末で「円建てで決済しますか?」(DCC)と聞かれたら必ず断り、ポンド建てを選ぶ。円建ては両替レートが不利
注意
同じ旅程で複数のカードを混ぜない
上限額(キャップ)はカード1枚ごとに計算されます。今日はA社のカード、明日はB社のカード……と使い分けると、上限に届かないまま満額を払い続けることになります。旅行中は1枚に固定してください。また、1枚のカードで家族分をまとめて改札を通ることはできません(1人1枚が必要)。
3. 上限額(キャップ)の仕組み
乗れば乗るほど得になる、旅行者に有利な制度
ロンドンには**1日の上限額(daily cap)**があり、1日にどれだけ乗ってもこの金額を超えて請求されません。観光で1日に5〜6回乗るような使い方だと、ほぼ確実に上限に到達します。
さらにタッチ決済には月曜〜日曜の週の上限額もあります。これは Oyster のペイ・アズ・ユー・ゴーには適用されません(Travelcard を載せた場合を除く)。タッチ決済を推す最大の理由がこれです。
上限額(2026年8月時点・大人料金)
| ゾーン | 1日上限(ピーク) | 1日上限(オフピーク) | 月〜日の上限 |
|---|---|---|---|
| Zone 1 のみ | £8.90 | £8.90 | £44.70 |
| Zone 1–2 | £8.90 | £8.90 | £44.70 |
| Zone 1–3 | £10.50 | £10.50 | £52.50 |
| Zone 1–4 | £12.80 | £12.80 | £64.20 |
| Zone 1–6 | £16.30 | £16.30 | £81.60 |
観光でよく使う Zone 1–2 は、ピークとオフピークで1日上限が同じ £8.90 です。つまり Zone 1–2 の中だけで動く日は、時間帯を気にする必要がほとんどありません。
これらの上限額と Travelcard の価格は、2027年3月まで据え置きが TfL から公式にアナウンスされています。
実務メモ
- Zone 1–2 の週上限 £44.70 は1日上限 £8.90 のちょうど5日分。つまり月〜日の間に6日以上乗るなら、週上限のおかげで6日目以降は実質タダになる
- 上限は「月曜始まり」で集計される。滞在が週をまたぐと、それぞれの週で別々にカウントされる
- バス・トラムの上限額は地下鉄とは別枠(バスのみなら1日 £5.25)
補足
ヒースロー・エクスプレスは上限額の対象外
TfL の上限額と Travelcard は、ヒースロー・エクスプレスと Southeastern の高速列車には適用されません。これらは別料金です。
4. 実際の料金感
2026年8月時点。地下鉄は毎年3月に改定される
地下鉄の単発運賃は 2026年3月1日に改定されました。TfL の発表では「Zone 1–6 内のどの単発運賃も 20p を超えて上がることはなく、多くは 10p の値上げ」とされています。Zone 1 内の1回の乗車はおおむね £3 前後です。
正確な区間運賃は駅の組み合わせで変わるため、金額を1円単位で知りたい場合は TfL 公式の運賃検索を使ってください。ただし、実際にはほとんどの旅行者が上限額に到達するので、上のキャップ表だけ見ておけば予算は立てられます。
バス・トラム(2026年8月時点)
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| バス・トラム 1回 | £1.75 |
| バス・トラムの1日上限 | £5.25 |
| ホッパー運賃 | 最初のタッチから60分以内なら追加のバス・トラムは無料 |
バスはゾーンに関係なくどこまで乗っても均一運賃です。ロンドンの端から端まで乗っても £1.75。観光でも移動でも、じつはかなりコストパフォーマンスが高い乗り物です。
子ども料金
11歳未満は、大人(11歳以上)と一緒なら地下鉄・バスとも無料です。改札は大人と一緒に通ります。
注意
2026年11月1日にバス運賃が値上げされます
バス・トラムの運賃は現在 £1.75 に凍結されていますが、2026年11月1日から £1.85 に、1日上限も £5.25 から £5.55 に改定される予定です。11月以降に渡航する方はご注意ください。
5. ピーク/オフピークの時間帯
地下鉄・鉄道の単発運賃は、平日の通勤時間帯だけ高くなります。
- ピーク:平日 06:30〜09:30 および 16:00〜19:00
- オフピーク:上記以外の平日すべて、および土日祝は終日
前述のとおり Zone 1–2 の1日上限は時間帯で変わらないため、中心部だけで動く日は気にしなくて構いません。差が出るのは、ヒースロー(Zone 6)など遠方へ長距離で移動する日です。
朝の移動を9時半すぎに、夕方の移動を19時すぎにずらすだけで安くなることがあります。そもそも通勤ラッシュの地下鉄は日本並みに混むので、時間をずらすのは快適さの面でも正解です。
6. 路線の種類を知っておく
「地下鉄」だけが選択肢ではない
同じ改札・同じ運賃体系で、実は何種類もの鉄道が走っています。
- チューブ(London Underground):おなじみの地下鉄。11路線。中心部は駅間が短い
- エリザベス・ライン(Elizabeth line):2022年開業の新路線。車両が広くて速く、座れる確率が高い。ヒースロー〜パディントン〜中心部〜東部を east-west に貫く。空港からの移動にも中心部の東西移動にも使え、2026年のロンドンでいちばん快適な移動手段
- ロンドン・オーバーグラウンド(London Overground):地上を走る近郊路線。2024年に路線ごとの名前がつき、Lioness / Mildmay / Windrush / Weaver / Suffragette / Liberty の6路線に分かれた。案内表示も路線名で出るので、古い地図しか持っていないと混乱する
- DLR(Docklands Light Railway):東部を走る無人運転の路線。運転席がないので最前列が展望席になる。グリニッジやカナリー・ワーフへ
- ナショナル・レール(National Rail):郊外・地方へ延びる鉄道。ロンドン市内区間はタッチ決済で乗れる
- トラム:南部(クロイドン周辺)のみ。観光ではまず使わない
実務メモ
- エリザベス・ラインは駅の造りが新しく、エレベーターが整備されている。大きな荷物やベビーカーがあるときは優先的に選ぶ
- オーバーグラウンドの路線名改称(2024年)以降、車内・駅の案内は新名称。乗換アプリを最新にしておく
7. バスの使い方
実質、いちばん安い観光バス
ロンドンの赤い2階建てバスは、観光客にとって移動手段であると同時に最高の観光アトラクションです。£1.75 で、2階の最前列から街を見下ろしながら移動できます。
乗り方
- バス停で、来たバスの番号を確認する(同じ停留所に何路線も来る)
- 手を挙げて合図する(何もしないと通過されることがある)
- 前のドアから乗り、運転席横の端末にカードをタッチ
- 降りたい停留所の手前で、赤い STOP ボタンを押す
- 降りるときのタッチは不要
**バスで現金は使えません。**タッチ決済カードか Oyster が必須です。
観光に使える路線
- 11番:ヴィクトリア駅 → ウェストミンスター → トラファルガー広場 → セント・ポール大聖堂
- 15番:トラファルガー広場 → シティ → タワー・ヒル(ロンドン塔)
- 24番:ハムステッド → カムデン → ソーホー → ウェストミンスター
深夜バスは番号の頭に N が付きます(N9 など)。地下鉄が終わったあとの移動手段になります。
実務メモ
- 2階建てバスの2階最前列は早い者勝ち。始発に近い停留所ほど取りやすい
- 混雑時は前扉から乗れないことがあるが、その場合も乗車時のタッチは必要
8. 空港から市内へのアクセス
5つの空港すべてを網羅
ロンドンには主要な空港が5つあります。日本からの直行便はほぼヒースロー着です。
ヒースロー空港(LHR / Zone 6)
| 手段 | 所要時間 | 料金(片道) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ピカデリー線 | 約50〜60分 | £5.90(Zone 1から) | 最安。タッチ決済可。荷物が多いと少しつらい |
| エリザベス・ライン | 約30〜40分 | £15.50(Zone 1から) | 速くて車両が広い。パディントン経由。タッチ決済可 |
| ヒースロー・エクスプレス | 約15分(パディントンまで) | 当日 £26/30日以上前の予約で £10〜 | 最速。上限額の対象外。早期購入なら割安 |
| タクシー・配車アプリ | 45分〜1時間半(渋滞次第) | £60〜100前後 | 荷物が多い・複数人なら選択肢 |
迷ったらエリザベス・ラインです。ピカデリー線の3倍近い料金ですが、所要時間がほぼ半分で、車両が広く荷物を置きやすく、座れる確率も高い。ヒースロー・エクスプレスは、30日以上前に予約できるなら £10〜 で最速なので非常に有利ですが、当日券の £26 はコストパフォーマンスが良いとは言えません。
ガトウィック空港(LGW)
| 手段 | 所要時間 | 到着駅 |
|---|---|---|
| ガトウィック・エクスプレス | 約30分 | ヴィクトリア |
| Thameslink | 約30〜45分 | ロンドン・ブリッジ、ブラックフライアーズ、セント・パンクラス |
| Southern | 約35〜45分 | ヴィクトリア |
Thameslink が狙い目です。ガトウィック・エクスプレスより安く、セント・パンクラスやロンドン・ブリッジまで乗り換えなしで行けるので、宿の場所によってはこちらのほうが速く着きます。
スタンステッド空港(STN)
- スタンステッド・エクスプレス:リヴァプール・ストリートまで約48分。トッテナム・ヘールまでなら約36分
- National Express のバス:安いが所要時間は1時間半前後
ルートン空港(LTN)
- Luton DART(空港と駅を結ぶ自動運転シャトル)+ Thameslink でセント・パンクラスまで。合計およそ50〜60分
ロンドン・シティ空港(LCY)
- DLR でバンクやカナリー・ワーフへ。市内から圧倒的に近い(バンクまで約25分)。ヨーロッパ内の短距離便が中心
実務メモ
- ヒースローのターミナル2・3は駅が共通、ターミナル4・5は別の駅。出発前にどのターミナルか確認する
- ヒースロー〜Zone 1 は同じ日に往復すると1日上限(Zone 1–6 で £16.30)が効くことがある。ただしヒースロー・エクスプレスは対象外
- 深夜・早朝に着く便は、ピカデリー線の初電・終電の時刻を必ず事前に確認する。金・土曜はピカデリー線とエリザベス・ラインの一部で終夜運転がある
ヒント
深夜に着いてしまったら
電車が動いていない時間帯は、N9 などの深夜バスか配車アプリになります。荷物が多い、あるいは women・一人旅で不安がある場合は、無理せず配車アプリを使ってください。空港の到着ロビーで声をかけてくる白タクには絶対に乗らないこと。
9. 歩く・自転車・船
中心部は歩いたほうが速い区間が多い
ロンドンの地下鉄は中心部の駅間がとても短く、1駅乗るより歩いたほうが速いことがよくあります。
- レスター・スクエア ⇄ コヴェント・ガーデン:徒歩約4分(地下鉄で1駅)
- ピカデリー・サーカス ⇄ レスター・スクエア:徒歩約5分
- チャリング・クロス ⇄ エンバンクメント:徒歩約3分
改札を通って階段を上り下りする時間を考えると、Zone 1 の中の1〜2駅は歩くのが正解です。
自転車
Santander Cycles(通称ボリス・バイク)が市内各所にあります。アプリか設置端末で借り、24時間アクセス £3 で1回30分までの利用が何度でも可能。ただしロンドンの車道は左側通行かつ交通量が多く、慣れていない人にはおすすめしません。
電動キックボード
私有の電動キックボードは公道走行が違法です。合法なのはレンタル事業者(Lime、Forest など)の車体のみ。日本から持ち込んで乗ると取り締まりの対象になります。
船(Uber Boat by Thames Clippers)
テムズ川の高速船。通勤船ですが、川からロンドンの景観を見られるのでそのまま観光になります。タッチ決済で乗れますが、地下鉄・バスとは運賃体系が別で、1日上限にも含まれません。
10. アプリと運行情報
使い分け
- Citymapper:ロンドンでは事実上の標準。徒歩・バス・地下鉄・船まで含めて最適ルートを出し、遅延も反映する。旅行者にはこれが一番おすすめ
- TfL Go:TfL 公式。駅のバリアフリー(step-free)情報が正確。ベビーカーや車椅子があるならこれ
- Google マップ:慣れているなら十分。ただし当日の運休情報の反映は Citymapper に劣ることがある
出発前に必ず確認すること
ロンドンの地下鉄は、週末に計画運休(engineering works)が頻繁に行われます。「土日だけこの区間が全部止まる」ということが日常的に起こるので、前日に TfL の運行状況ページを見てください。
また、ストライキによる大規模な運休も年に数回あります。日程は事前に発表されるので、旅行前にニュースを確認しておくと安心です。
実務メモ
- 地下鉄駅構内の携帯電波は整備が進んでいるが全駅ではない。オフライン地図をダウンロードしておくと確実
- エレベーターのある駅は限られる。大きなスーツケースがあるなら TfL Go で step-free ルートを調べる
11. 日本人がやりがちな失敗
最後に、実際によく起きるトラブルをまとめます。
- 降りるときのタッチを忘れる → その区間の最大運賃を引かれます。バスは降車タッチ不要ですが、地下鉄・鉄道は必須
- 1枚のカードで家族全員が改札を通ろうとする → できません。1人1枚が必要です
- 日によって違うカードを使う → 上限額が分割され、損をします
- JCB カードを持って行く → 改札で使えません。Visa か Mastercard を用意してください
- 改札のない駅でタッチし忘れる → ナショナル・レールの一部の駅には改札がなく、ホーム上のポール型リーダーでタッチします。見落とすと未払い扱いになります
- クリスマスに移動しようとする → 下記のとおりです
注意
12月25日はロンドンの交通機関がほぼ全面停止します
クリスマス当日は、地下鉄・バス・鉄道のほぼすべてが運休します。この日の移動手段は徒歩かタクシー(かつ料金は割増)だけです。12月26日(Boxing Day)も大幅な減便になります。年末年始にロンドンにいる予定なら、25日は「宿の近くを歩いて過ごす日」として計画してください。
よくある質問
参考・公式情報
- TfL – Fares(運賃トップ / 公式)
- TfL – Adult rate prices(上限額・Travelcard 価格の公式PDF)
- TfL – Status updates(運行状況・計画運休)
- Heathrow Airport – 公式アクセス情報
- Gatwick Airport – 公式アクセス情報
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。