本文へスキップ

    イギリス英語

    taイギリスで聞く「ta」は「ありがとう」。最古の記録は、1歳の子が「ta」と言わなかったという大人の愚痴

    ta は thank you の2文字版。もとは赤ちゃん言葉で、英語の大辞典が挙げる最古の例は1772年、1歳の誕生日を迎えた姪の娘に「お祝いを言ったのにタとも言ってくれない」とこぼした手紙。250年たって、いまは大人がレジで使っている。日本語でいえば「ども」。

    公開文 ジャスト・ロンドン編集部約2分で読めます

    お釣りを渡したり、ドアを押さえてあげたりすると、短く「ta」と返ってくることがある。息を吐いただけにも聞こえるので、聞き逃しても無理はない。でもあれは、れっきとした「ありがとう」だ。

    01

    サンキューの赤ちゃん言葉が、そのまま大人になった

    最古の「ta」は、1歳児への愚痴

    ta は thank you の幼児語から来ている。米国の言葉の解説サイトが英語の大辞典(OED)を引いて紹介している最古の例が、なかなかいい。1772年、ある婦人が1歳の誕生日を迎えた姪の娘に宛てた手紙で、こう書いている。「お祝いを言ってあげたのに、『タ』とも言ってくれないのね」。

    記録に残る最初の「ta」は、言われなかった「ta」だった。1歳児に礼を求める大人、厳しすぎる。

    同じ解説によれば、この赤ちゃん言葉はその後、大人のくだけた会話に入り込んだ。ほかにも、

    • ta-ta:「バイバイ」の幼児語。1820年代から記録がある
    • TTFN:ta-ta for now(じゃあまたね)の頭文字。1940年代の流行り言葉
    • thanks awfully の略ではないし、ロンドン下町言葉の生まれでもない(同じ解説がわざわざ否定している)

    使いどころは、cheers とほぼ同じ。お釣り、ドア、渡された荷物。軽い「どうも」の場面だ。日本語の「ども」「あざっす」に近い。だから仕事のメールの最後に Ta と書くと、取引先に「あざっす」と送ったのと同じくらいの距離感になる。友達や同僚へのひと言なら問題ない。

    赤ちゃんのころに覚えさせられた言葉を、大人になってもいちばん短い形で使い続けている。イギリス人の礼儀の正体は、案外こんなところにあるのかもしれない。