Dulwich Picture Gallery
ダリッジ美術館
国を失った王のために集められた絵が、南ロンドンの芝生の奥で、200年前と同じ天窓の光を浴びている。
Stamp Book
入った館にスタンプを
どんなところか
ロンドン南部の住宅地ダリッジにある、1817年に一般公開された美術館。イングランドで最も古い公共美術館で、公開のために一から設計された美術館の建物としても世界で最初のものとされる。設計はジョン・ソーン。
コレクションの始まりは数奇である。18世紀末、ロンドンの画商デザンファンとブルジョワは、ポーランド国王スタニスワフ・アウグストの依頼で、王国の美術館にするための名画を集めていた。ところが1795年、ポーランドは周辺国に分割されて消滅し、王は退位する。渡す先を失ったまま、絵はロンドンに残った。ブルジョワはそれを1811年、ダリッジの学校に遺贈し、公開のための建物が建てられた。
ソーンは展示室の天井から光を落とし、窓を持たない壁いっぱいに絵を掛けられるようにした。この天窓の展示室は、のちの世界中の美術館の手本になる。レンブラント、プッサン、ルーベンス、ゲインズバラ、ムリーリョ、カナレットが、200年前とほぼ同じ部屋で見られる。建物の中ほどには、コレクションを残した人々が眠る霊廟がある。
これだけは見て帰りたい
ダリッジ美術館を短時間で回るなら、まずこの3つ。 展示室の番号は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
- 1
ソーンの天窓の展示室
展示室は窓を持たず、天井の高い位置から光を取り込みます。壁のすべてを絵のために使え、絵にじかに日光が当たらない。この仕組みはのちに世界中の美術館が採り入れました。建築家フィリップ・ジョンソンは「ソーンは絵の見せ方を教えてくれた」と述べています。
- 2
美術館の中の霊廟
展示室の並びの中ほどに、コレクションを残した画商デザンファンとブルジョワらが眠る霊廟があります。絵を見せるための建物の中心に墓が置かれている、世界でも珍しい造りです。ソーンは霊廟にも天井から光を落とし、展示室とは違う色の光で満たしました。
- 3
レンブラントの小さな2点
窓の縁に腕を乗せた少女を描いた《窓辺の少女》と、30センチ四方ほどの板に描かれた《ヤーコプ・デ・ゲイン3世の肖像》。後者は4度盗まれ、そのたびに戻ってきた絵です。どちらも作品のページで詳しく紹介しています。
着いてからの歩き方
ダリッジ美術館に着いたら、この順に見ていくと迷いません。 展示室の番号や配置は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
- 到着
ウェスト・ダリッジ駅から住宅街を歩く
最寄りは、ヴィクトリア駅から電車で十数分のウェスト・ダリッジ駅で、そこから歩いて10分ほどです。開くのは火曜から日曜の10時から17時で、月曜は閉まります。
- コツ
常設だけなら、コレクション券で足りる
企画展と常設をまとめて見る券(大人£14.50)のほかに、常設のコレクションだけを見る券があり、大人£10です。18歳未満は無料。企画展に興味がなければ、コレクション券で十分です。
- 見どころ
絵より先に、天井を見上げる
展示室には窓がなく、天井から光が落ちてきます。ソーンが考えたこの天窓の展示室が、のちの世界中の美術館の手本になりました。絵を見る前に、部屋そのものを一度見上げてください。
- 見どころ
《窓辺の少女》の正面に立つ
窓の縁に腕を乗せた少女が、こちらをまっすぐ見ています。レンブラントがこの絵を本当に窓辺に置いて通行人をだましたという逸話が残るほど、生々しい絵です。部屋を横切りながら見るのではなく、正面に立ってください。
- 見落としやすい
霊廟を見落とさない
展示室の並びの中ほどに、コレクションを残した人々が眠る霊廟があります。展示室の続きのように見えるので、通り過ぎてしまいがちです。絵のために建てた建物の中心に墓を置いた、という設計の意味を考えてみてください。
- コツ
庭のカフェと、ダリッジの村
美術館の前の庭にはカフェがあり、美術館が開く前の朝から開いています。芝生の庭と周りのダリッジの村の落ち着いた雰囲気も含めて、中心部から半日かけて来る価値のある場所です。
見どころ作品
基本情報
- 大人料金
- £10
- 子ども料金
- 無料
- 滞在時間の目安
- 1.5時間
- 最寄駅
- West Dulwich(徒歩10分)
知っていると見え方が変わる話
世界で最も多く盗まれた絵
レンブラントの《ヤーコプ・デ・ゲイン3世の肖像》は1966年以降に4度盗まれ、「持ち帰りのレンブラント」と呼ばれるようになりました。見つかった場所は、墓地のベンチの下、自転車の荷台、タクシーの中、ドイツの駅の荷物棚。最も多く盗まれた美術品として、ギネス世界記録に載っています。
霊廟を襲った飛行爆弾
1944年7月12日、ドイツのV1飛行爆弾が近くに落ち、霊廟と西側の展示室が大きく壊れました。このとき霊廟に納められていた遺骸が敷地に散らばったと記録されています。建物は戦後に再建されました。
場所
Gallery Road, London SE21 7AD
みんなの口コミ
ダリッジ美術館を訪れた感想や、次に行く人へのアドバイスがあれば教えてください。
まだコメントはありません。最初の投稿をお待ちしています。
ほかの美術館も見る
ロンドンには無料で入れる館が多くあります。近くの館と組み合わせて回るのがおすすめです。