英内閣府が「Be Ready」を開始、全世帯に3日分の水と食料の備えを要請 スーパーは「場当たり」と反発
英国政府が10月22日、停電や断水に備えて各世帯に3日分の水と食料を用意するよう呼びかける3年計画を始め、知らされるのが遅れたスーパーからは「場当たり的」と声が上がりました。ただ、本当の問題は買い占めではありません。この「3日分」を、すでに毎年264万回も人からもらって暮らしている人たちがいることです。

スーパー、「場当たり的」な備蓄の呼びかけに不意を突かれる
City AM、2026年10月23日
2026年10月22日、内閣府が3年計画のキャンペーン「Be Ready」を始めました。停電や断水、通信の途絶に備えて、各世帯に3日分の備えを求めるものです。チェックリストには、1人1日3リットルの飲み水、冷蔵も加熱も要らない食料と手動の缶切り、懐中電灯、電池式か手回しのラジオ、少額の現金、常備薬などが並びます。この「3日分」は、フランス、アイルランド、オランダでも使われている基準です。
翌23日、City AMがSupermarkets blindsided by 'shambolic' stockpiling warningと報じました。小売各社が詳しい中身を知らされたのは発表の数日前でした。そこへストリーティング国防相が「敵対国家やテロリストによるハイブリッド攻撃」に触れたため、買い占めを心配する声が出ています。ある大手スーパーは、需要が急に増えるかどうか取引先と協議しています。
政府は「急いで買い込む必要はない」としています。ジャーヴィス治安担当相の言葉はこうでした。「この助言に従える人は、従ってください」。
政府が頼む「3日分」を、年に264万回もらって暮らす人たち
ここからは私見です。
ジャーヴィス氏の一言は謙虚に聞こえますが、実はこのキャンペーンの設計図そのものです。備えは「できる人」から順に進みます。
4人家族なら、水だけで36リットル。2リットルのボトル18本を、ロンドンのワンルームのどこに置くのでしょう。それ以前に、まとめ買いには先にお金が要ります。
そして、意外な数字があります。トラッセルのフードバンクの食料パッケージは、栄養士と組んで「少なくとも3日分」になるよう詰められています。2025年に配られたのは約264万個。政府がいま全世帯に「備えて」と頼んでいる3日分を、年に264万回、人からもらって暮らしている人たちがいるのです。
一時住宅で暮らす世帯は2026年3月末で13万5,580と過去最多で、台所の無い部屋も珍しくありません。「加熱不要の食料」は、彼らにとっては非常食ではなく、ふだんの献立です。
政府は、フードバンクの利用者や住まいが不安定な人たちの団体とも相談して作ったと説明しています。それなら問うべきは「何を備えるか」ではなく、「備えられない人の3日間を誰が持つか」でしょう。
これから数週間でSNSとラジオの広告が始まり、計画は3年続きます。10月28日にはヒーリー財務相の予算発表があります。備えられない側への手当てが一行でも入るのか、まだ何も示されていません。
英国のいまを、もう一本。
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