ロンドンの交通運賃と支払い方法|タッチ決済・Oyster・上限額
Fares and Payment
ロンドンでは切符を買いません。日本で使っているタッチ決済対応のクレジットカードを、そのまま改札にかざすだけです。ゾーン制、1日と週の上限額、Oyster との使い分け、そして JCB が使えないという落とし穴まで、2026年8月時点の公式料金で整理します。
要点
- 支払い方法
- Visa / Mastercard / Amex のタッチ決済カード、または Apple Pay・Google Pay。切符も交通系ICも不要
- 使えないカード
- JCB(改札で弾かれます)
- 1日の上限額
- Zone 1–2 で £8.90。何回乗ってもこれ以上は引かれません
- 週の上限額
- Zone 1–2 で £44.70(月曜〜日曜)。タッチ決済のみ
- バス
- 1回 £1.75、1日上限 £5.25。地下鉄とは別枠
- 据え置き期限
- 上限額と Travelcard は2027年3月まで据え置き
ロンドンの交通で、日本から来た人が最初にやりがちな失敗は「券売機の列に並ぶこと」です。
**並ぶ必要はありません。**日本で普段使っているタッチ決済対応のクレジットカードを、そのまま改札にかざせば乗れます。切符も交通系ICカードも、事前の登録も要りません。しかも運賃は、わざわざ £7 払って Oyster カードを買った場合とまったく同額です。
ただし、この「かざすだけ」の裏側ではゾーン制・上限額・ピーク/オフピークという3つの仕組みが動いています。知らなくても乗れますが、知らないまま動くと、同じ移動で数ポンド損をします。この記事はその3つを片付けるためのものです。
目次
1. 結論:タッチ決済一択
ほとんどの人にとって Oyster を買う理由はありません
最初に答えを書きます。
**日本で発行された Visa または Mastercard のタッチ決済対応カード、あるいはそれを登録した Apple Pay / Google Pay を、そのまま改札にかざしてください。**それが最も安く、最も速く、最も面倒がない方法です。
TfL(ロンドン交通局)が受け付けているブランドは以下のとおりです。
| ブランド | 可否 |
|---|---|
| Visa | ○ |
| Mastercard | ○ |
| American Express | ○ |
| Maestro | ○ |
| JCB | ×(非対応) |
**JCB は使えません。**改札にかざしても開きません。JCB しか持っていない場合は、Visa か Mastercard のカードを1枚用意するか、現地で Oyster カードを買ってください。
なぜ Oyster ではなくタッチ決済なのか
理由は3つあります。
- 運賃が同額。Oyster に価格上の優位はもうありません
- カード代 £7 がかからない。しかもこの £7 は2022年9月以降、返金されません
- 週の上限額(月〜日)がタッチ決済にしか効かない。Oyster のペイ・アズ・ユー・ゴーには適用されません
3つめが決定的です。ロンドンに1週間いるなら、この差だけで数十ポンド変わることがあります。
実務メモ
- スマホでタッチする場合、実体カードとスマホに登録した同じカードは「別のカード」として扱われる。上限額の計算が分割されるので、旅行中はどちらか一方に固定する
- 決済端末で「日本円で決済しますか?」(DCC)と聞かれたら必ず断り、ポンド建てを選ぶ。円建ては両替レートが不利になる
- カード会社の海外事務手数料(1.6〜2.2%程度)は別途かかる。金額が小さいので気にする必要はないが、明細に載ることは知っておく
注意
旅程の途中でカードを変えないこと
上限額(キャップ)はカード1枚ごとに計算されます。今日はA社、明日はB社と使い分けると、どちらも上限に届かないまま満額を払い続けることになります。旅行中は1枚に固定してください。また、1枚のカードで家族分をまとめて改札を通ることはできません。1人1枚が必要です。
2. それでも Oyster を買うべき人
次のいずれかに当てはまるなら、Oyster カードを買う意味があります。
- Visa / Mastercard / Amex のタッチ決済カードを持っていない(JCB のみ、など)
- Railcard の割引を使いたい。Railcard の1/3割引は、タッチ決済には紐付けられません(定期券とRailcardの損得で詳しく扱います)
- 11〜15歳の子ども料金の設定が必要
- 現金でチャージして支出を管理したい
Oyster は駅の券売機、TfL Visitor Centre、一部のコンビニ(Oyster Ticket Stop の表示がある店)で買えます。£7 のうち £2 は初期チャージとして使えるので、実質の手数料は £5 です。
帰国時、残高が £10 未満なら駅の券売機でその場で返金を受けられます。それ以上ある場合は、オンライン申請か Visitor Centre での手続きになります。カード代の £7 自体は返ってきません。
ヒント
Visitor Oyster は買わなくていい
空港や旅行代理店で売られている「Visitor Oyster Card」は、通常の Oyster より手数料が高いことがあり、運賃も割引されません。デザインが違うだけです。現地で通常の Oyster を買うか、タッチ決済で済ませてください。
3. ゾーン制 ——「距離」ではなく「またいだ数」
ロンドンの運賃は、中心部を Zone 1 として同心円状に Zone 9 まで広がるゾーン制で決まります。距離ではなく、どのゾーンからどのゾーンまで移動したかで値段が決まります。
- Zone 1:シティ、ウェストミンスター、ソーホー、大英博物館、コヴェント・ガーデン。主要観光地はほぼここ
- Zone 2:ノッティング・ヒル、カムデン、グリニッジ、ショーディッチ、ブリクストン
- Zone 3〜4:住宅地が中心。観光で行くのはウィンブルドン、キュー・ガーデンズくらい
- Zone 6:ヒースロー空港
観光の移動は実質 Zone 1–2 でほぼ完結します。逆に言うと、Zone 3 以遠に宿を取ると、毎日の運賃と移動時間の両方が増えます。宿を決める前に、そのエリアが何ゾーンかを必ず確認してください。
住む場所を探している場合も同じ話が効きます。家賃の安さが定期代で相殺されることがあるので、エリアの選び方と、家賃と交通費の総額も合わせて読んでください。
実務メモ
- 同じ「1駅」でも、ゾーン境界をまたぐかどうかで料金が変わることがある
- 駅によっては2つのゾーンにまたがって設定されている(境界駅)。安いほうで計算される
4. 上限額(キャップ)——乗るほど得になる
旅行者にとって、ロンドンでいちばん有利な制度
ロンドンには**1日の上限額(daily cap)**があります。1日にどれだけ乗っても、この金額を超えて請求されることはありません。観光で1日に5〜6回乗るような使い方をすれば、ほぼ確実に上限に到達します。
さらにタッチ決済には月曜〜日曜の週の上限額もあります。繰り返しになりますが、これは Oyster のペイ・アズ・ユー・ゴーには適用されません。
上限額(2026年8月時点・大人料金)
| ゾーン | 1日上限(ピーク) | 1日上限(オフピーク) | 月〜日の上限 |
|---|---|---|---|
| Zone 1 のみ | £8.90 | £8.90 | £44.70 |
| Zone 1–2 | £8.90 | £8.90 | £44.70 |
| Zone 1–3 | £10.50 | £10.50 | £52.50 |
| Zone 1–4 | £12.80 | £12.80 | £64.20 |
| Zone 1–5 | £15.30 | £15.30 | £76.40 |
| Zone 1–6 | £16.30 | £16.30 | £81.60 |
観光でよく使う Zone 1–2 は、ピークとオフピークで1日上限が同じ £8.90 です。つまり Zone 1–2 の中だけで動く日は、時間帯を気にする必要がほとんどありません。
これらの上限額と Travelcard の価格は、2027年3月まで据え置きが TfL から公式にアナウンスされています。
実務メモ
- Zone 1–2 の週上限 £44.70 は、1日上限 £8.90 のちょうど5日分。月曜から日曜の間に6日以上乗るなら、6日目以降は実質タダになる
- 上限は「月曜始まり」で集計される。滞在が週をまたぐと、それぞれの週で別々にカウントされるので注意
- バス・トラムの上限額は地下鉄とは別枠(バスのみなら1日 £5.25)。ただし同じ日に地下鉄も使えば、地下鉄側の上限に統合される
補足
上限額の対象外になるもの
ヒースロー・エクスプレスと **Southeastern の高速列車(HS1)**は、TfL の上限額にも Travelcard にも含まれません。これらは完全に別料金です。**Uber Boat by Thames Clippers(テムズ川の高速船)**も別枠です。
5. ピークとオフピークの時間帯
地下鉄・鉄道の単発運賃は、平日の通勤時間帯だけ高くなります。
- ピーク:平日 06:30〜09:30 および 16:00〜19:00
- オフピーク:それ以外の平日すべて、および土日祝は終日
前述のとおり Zone 1–2 の1日上限は時間帯で変わらないので、中心部だけで動く日は気にしなくて構いません。差が出るのは、ヒースロー(Zone 6)など遠方へ長距離で移動する日です。
朝の移動を9時半すぎに、夕方の移動を19時すぎにずらすだけで安くなることがあります。そもそも通勤ラッシュの地下鉄は東京並みに混むので、時間をずらすのは快適さの面でも正解です。
**バスとトラムにはピーク/オフピークの区別がありません。**いつ乗っても £1.75 です。
注意
ヒースロー発着は時間帯に関係なくピーク運賃
TfL の規定により、Zone 1 を発着または経由するヒースロー行き/発の地下鉄・エリザベス・ラインは、時間帯を問わずピーク運賃が適用されます。「土曜だからオフピークで安いはず」は成り立ちません。
6. バス・トラムの運賃は別建て
バスとトラムは、地下鉄とは独立した運賃体系です。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| バス・トラム 1回 | £1.75 |
| 1日上限 | £5.25 |
| 月〜日の上限 | £24.70 |
| ホッパー運賃 | 最初のタッチから60分以内なら追加のバス・トラムは無料 |
バスはゾーンに関係なく均一運賃です。ロンドンの端から端まで乗っても £1.75。しかもホッパー運賃があるので、60分以内に乗り継げば何本乗っても £1.75 のままです。
**バスで現金は使えません。**タッチ決済カードか Oyster が必須です。乗り方の詳細はバスとトラムを参照してください。
注意
2026年11月1日にバス運賃が値上げされます
バス・トラムの運賃は市長の方針で £1.75 に凍結されてきましたが、2026年11月1日から £1.85 に、1日上限も £5.25 から £5.55 に改定されます。7 Day Bus & Tram Pass も £24.70 から £26.10 になります。11月以降に渡航・通勤する方はご注意ください。
7. 子どもの運賃
11歳未満は、大人(11歳以上)と一緒なら地下鉄・バスとも無料です。改札は大人と一緒に通ります(自動改札の場合、大人がタッチしてゲートが開いている間に一緒に通り抜けます)。
11〜15歳は割引運賃が適用されますが、これには事前の設定が必要です。
- 短期滞在なら:駅の窓口で「Young Visitor discount」を Oyster カードに設定してもらう。最大14日間、大人運賃の半額になります
- 在住なら:Zip Oyster photocard(11-15 Zip)を申請する。バスは無料、地下鉄は半額になります
タッチ決済のクレジットカードには、これらの子ども割引を紐付けられません。子どもの分は Oyster が必要になります。
実務メモ
- Young Visitor discount は、大人が Oyster またはタッチ決済で一緒に旅行していることが条件。窓口で頼めばその場で設定してくれる
- Zip Oyster photocard は写真とロンドンの住所が必要で、申請から発行まで数週間かかる。渡英直後には間に合わない
8. 実際によく起きる失敗
最後に、日本から来た人がやりがちな失敗をまとめます。
- 降りるときのタッチを忘れる → その区間の最大運賃を引かれます。バスは降車タッチ不要ですが、地下鉄・鉄道では必須です
- 1枚のカードで家族全員が改札を通ろうとする → できません。1人1枚です
- 日によって違うカードを使う → 上限額が分割され、損をします
- JCB カードだけを持って行く → 改札で弾かれます
- 改札のない駅でタッチし忘れる → ナショナル・レールやオーバーグラウンドの一部の駅には改札がなく、ホーム上のポール型リーダーでタッチします。見落とすと未払い扱いになります
- 改札を出ずに乗り換えようとして、いったん改札を出てしまう → 一部の駅では改札外乗り換えが正規ルートで、その場合はタッチしても連続した1回の移動として扱われます。心配なら Citymapper の案内に従ってください
引かれすぎた場合
TfL のウェブサイトでカードを登録すると、乗車履歴と課金額を確認できます。タッチ忘れによる最大運賃の請求は、オンラインで返金申請ができます(年に数回まで)。心当たりがあれば申請してください。
注意
12月25日はロンドンの交通機関がほぼ全面停止します
クリスマス当日は、地下鉄・バス・鉄道のほぼすべてが運休します。この日の移動手段は徒歩かタクシー(かつ料金は割増)だけです。12月26日(Boxing Day)も大幅な減便になります。年末年始にロンドンにいる予定なら、25日は「宿の近くを歩いて過ごす日」として計画してください。
よくある質問
参考・公式情報
- TfL – Fares(運賃トップ / 公式)
- TfL – Adult caps and Travelcard prices(上限額・定期券価格の公式PDF)
- TfL – Contactless and Oyster(支払い方法の公式説明)
- TfL – Bus and tram fares
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。