イギリスの銀行の選び方|アプリ銀行と高街銀行の使い分け

    Choosing a UK Bank: App Banks vs High Street Banks

    結論から言えば、1本目はアプリ銀行で足ります。高街銀行が要るのは住宅ローンや事業口座の段階で、渡英直後ではありません。ただし FSCS の£85,000保護が働く口座かどうかだけは、給与を置く前に確認しておく価値があります。

    2026年8月時点の情報

    要点

    1本目
    アプリ銀行(Monzo または Starling)
    預金保護
    FSCS で1人あたり£85,000まで
    給与の受け取り
    英国の銀行免許を持つ口座に置く
    高街銀行が要る場面
    住宅ローン、事業口座、多額の現金入金
    口座維持手数料
    基本口座は無料が標準

    口座を開いたあと、「これでよかったのか」と不安になる人は多いはずです。日本の感覚だと、スマホの中だけにある銀行は頼りなく見えます。

    結論を先に言えば、渡英直後から数年のあいだ、アプリ銀行で不足することはほぼありません。 Monzo と Starling は英国の銀行免許を持ち、預金も保護され、給与の受け取りにも家賃の引き落としにも使えます。

    高街銀行(HSBC、Lloyds、Barclays、NatWest)が必要になるのは、住宅ローンを組む、事業用の口座を作る、多額の現金を入金する、といった段階です。渡英1年目に発生する場面ではありません。

    ただし、判断のために知っておくべき区別が一つあります。「銀行」と名乗っていても、預金保護の扱いが違う場合があるという点です。

    1. FSCS の預金保護

    確認すべきはここだけ

    英国には FSCS(Financial Services Compensation Scheme) という預金保護の仕組みがあります。銀行が破綻した場合、1人あたり£85,000まで が補償されます。日本のペイオフに相当します。

    重要なのは、これが 英国の銀行免許(banking licence)を持つ機関にのみ適用される ことです。

    銀行免許を持つ

    • Monzo
    • Starling Bank
    • HSBC、Lloyds、Barclays、NatWest などの高街銀行

    これらに預けた資金は FSCS の対象です。

    電子マネー機関(e-money institution)として運営される場合

    Wise や、一部の国・プランにおける Revolut は、電子マネー機関としてサービスを提供することがあります。この場合、資金は 顧客資金の分別管理(safeguarding) によって守られますが、FSCS の補償とは仕組みが異なります。

    分別管理も破綻時に資金が保全される仕組みではありますが、補償が受けられるまでの手続きと期間が違います。

    主な選択肢の位置づけ

    銀行種別FSCS保護開設まで
    Monzoアプリ銀行あり数分〜数日
    Starling Bankアプリ銀行あり数分〜数日
    Revolutアプリ銀行あり数分
    HSBC / Lloyds / Barclays / NatWest高街銀行(店舗型)あり予約から2〜4週間

    実務上の結論

    給与と生活費のメイン口座は、銀行免許を持つ機関に置く。 これだけ守っておけば十分です。

    Revolut や Wise を使うなというわけではありません。送金や多通貨の管理には非常に便利です。ただし 「そこに給与を貯め続ける」のではなく、「送金の通り道として使う」 のが適切な位置づけです。

    補足

    £85,000は「1人あたり・1金融機関あたり」です

    同じ銀行グループの複数ブランドは、まとめて1機関として数えられることがあります。多額の預金を持つ場合は、グループが異なる銀行に分散させる必要があります。渡英直後の生活資金の規模であれば、通常は気にする必要はありません。

    2. アプリ銀行と高街銀行の違い

    何が得意で、何ができないか

    アプリ銀行高街銀行
    開設数分〜数日予約から2〜4週間
    住所証明不要必要
    支店なしあり
    現金の入金Post Office 等を経由支店・ATM で直接
    アプリの使い勝手良い銀行による
    住宅ローン限定的対応
    事業口座一部対応対応
    海外送金内蔵されていることが多い手数料が高い

    アプリ銀行が明確に優れている点

    支出の可視化。 何にいくら使ったかが自動で分類され、月ごとに集計されます。渡英直後の生活費の把握には、これが想像以上に効きます。

    即時通知。 カードを使った瞬間に通知が来るため、不正利用に即座に気づけます。

    カードの即時凍結・再発行。 アプリ上で数タップです。カードをなくしたときの対応が電話不要で済みます。

    海外での利用。 為替の上乗せが小さく、旅行時にそのまま使えます。日本に一時帰国したときも便利です。

    高街銀行でないと困る場面

    現金の入金が多い。 チップや現金収入がある仕事の場合、アプリ銀行だと Post Office 経由になり手間がかかります。

    住宅ローン。 物件購入の段階になると、選択肢の幅が違います。

    事業口座。 法人口座や特定の業種の口座は、高街銀行のほうが対応範囲が広いです。

    「銀行のレターが要る」と言われたとき。 ビザ申請や一部の手続きで、銀行発行の残高証明を求められることがあります。アプリ銀行でも発行できますが、稀に受け付けられないことがあります。

    実務メモ

    • アプリ銀行の支出分類機能は、渡英直後の家計把握に効く。日本の家計簿アプリより手間がかからない。
    • 現金収入が多い仕事なら、高街銀行を1本持っておくと入金が楽になる。
    • ビザ申請で残高証明が要る場合、事前に発行形式を確認しておく。

    3. 口座はいくつ持つべきか

    2本が実用的

    複数の口座を持つことに不利益はありません。維持手数料は無料が標準で、信用情報にも悪影響はありません。

    実用的な構成

    1本目:メイン口座(Monzo または Starling)

    給与の受け取り、家賃・光熱費の Direct Debit、日常の支払い。生活の基盤をここに置きます。

    2本目:Revolut または Wise

    日本からの送金の受け取り、多通貨の保有、日本への一時帰国時の利用。送金の通り道として使います。

    この2本で、渡英直後から数年の必要は満たせます。

    口座を分ける実務的な利点

    家賃用の口座を分ける。 家賃と固定費だけを引き落とす口座を作り、給料日に必要額を移す。使い込みを構造的に防げます。Monzo の Pots や Starling の Spaces のように、1つの口座内で資金を仕切る機能もあります。

    共同口座(joint account)。 同居人やパートナーと生活費を分担する場合、共同口座を作れます。ただし共同口座は 信用情報が相互に結びつく ため、相手の信用状況が自分に影響します。関係の性質を踏まえて判断してください。

    使わない口座は閉じる

    帰国する場合や、口座を統合する場合は、放置せず正式に解約してください。 休眠口座は不正利用の温床になりますし、住所変更を届けないまま放置すると連絡がつかなくなります。

    解約前に、Direct Debit の解除と残高の移動を済ませてください。

    実務メモ

    • 口座は2本で足りる。増やしすぎると管理が煩雑になるだけ。
    • 家賃用の口座または Pots を分けると、使い込みを構造的に防げる。
    • 共同口座は信用情報が結びつく。相手の信用状況が自分に影響する点を理解して作る。
    • 帰国時は放置せず解約する。Direct Debit の解除を先に。

    注意

    口座を他人に貸さない

    「自分は口座が作れないから、あなたの口座で送金を受け取らせてほしい」という依頼は、たとえ知人からでも断ってください。マネーロンダリングへの加担とみなされ、口座凍結だけでなく刑事責任を問われる可能性があります。英国では money mule として明確に取り締まりの対象になっています。

    よくある質問

    参考・公式情報

    料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

    本記事は情報提供を目的としたもので、金融商品の推奨や投資助言ではありません。 手数料・為替の上乗せ・口座開設の条件は各社が予告なく変更します。実際に送金・ 申込みをする前に、必ず申込画面に表示される金額とレートをご確認ください。 特定の事業者との提携関係はなく、掲載順は渡英直後の使いやすさを基準にした 編集判断です。

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