Victoria and Albert Museum
レースの襟元から鋼鉄のドレスまで。装飾美の洪水に溺れるうちに、日用品すら帝国の遺産に変わる。
ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)は、ロンドン南ケンジントンに位置する世界最大級の装飾美術とデザインの博物館です。1852年に開館し、ヴィクトリア女王とアルバート公の名前にちなんで名付けられました。 館内には陶磁器、家具、ファッション、ジュエリー、ガラス細工、彫刻、写真など、約230万点以上の多彩なコレクションが収蔵されており、世界中のあらゆる時代と文化の美術工芸品を幅広く楽しめます。見どころの一つは、世界でも屈指のファッションコレクション。近代デザインの先駆けとなったウィリアム・モリスの壁紙やアレキサンダー・マックイーンの斬新な作品が間近で鑑賞でき、ファッション好きにはたまらないスポットです。 ただの展示ではなく、V&Aは触れて学べる体験型の博物館。ファッションショーやワークショップ、クリエイティブなイベントも盛りだくさんで、五感を刺激しながらデザインの歴史を感じられます。子どもから大人まで楽しめる工夫が満載で、訪れる人々が深く美術やデザインの世界に触れられるよう工夫されています。
ヴィクトリア&アルバート博物館を短時間で回るなら、まずこの3つ。 展示室の番号は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
ガンブル・ルーム/ポインター・ルーム/モリス・ルーム
1856年に世界で初めて美術館内に設けられた食堂。設計者の名を冠した3室が今もカフェとして使われています。ガンブル・ルームは琺瑯の天井とセラミックの柱、モリス・ルームはウィリアム・モリスの内装。展示品の中で紅茶が飲める、という点でここ自体が見どころです。
Room 46a/46b
ミケランジェロのダヴィデ像やトラヤヌス帝の記念柱を、19世紀に原寸で型取りした石膏複製が並ぶ巨大な部屋。記念柱は高すぎて上下2分割で展示されています。本物を見に行けない人のために作られた「複製の展示室」という発想自体が19世紀的です。
Room 40
18世紀の宮廷服から現代のオートクチュールまで、300年分の服飾を円形の展示室で見せます。同じ人体に対して時代ごとに何を良しとしてきたかが、一周するだけで分かる構成です。
ヴィクトリア&アルバート博物館に着いたら、この順に見ていくと迷いません。 展示室の番号や配置は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
サウス・ケンジントン駅から続く地下道の途中に、館へ直接つながる脇口があります。雨の日に濡れずに着けるうえ、正面のクロムウェル通り側より空いています。ただし段差があるため車椅子では通れません。その場合はクロムウェル通りかエキシビション・ロードの入口を使ってください。
収蔵の幅が服飾・家具・彫刻・写真・アジア美術まで及ぶため、通しで見ようとすると必ず途中で力尽きます。館内図で興味のある分野を2つか3つ決めて、その部屋だけを回るのが現実的です。無料なので、日を分けて来ることもできます。
本物ではなく複製ばかりを集めた部屋ですが、館内で最も驚かれる場所です。ミケランジェロのダビデ像と、トラヤヌス帝の記念柱が天井に届かず2分割で立っています。19世紀に各国の名作を学生に見せるために作られたもので、複製そのものが150年前の技術遺産になっています。
館の中央に芝生と浅い水盤のある中庭があり、天気のいい日は靴を脱いで座っている人がいます。展示室から扉一枚で出られるのに、順路から外れているため気づかれません。カフェの飲み物を持ち出せます。
金曜だけ22:00まで開きます(一部のギャラリーは早く閉まります)。月末の金曜は Friday Late として音楽やトークが入り、館内の雰囲気が普段とかなり変わります。静かに展示を見たい日なら、月末の金曜は避けたほうが無難です。
初代館長ヘンリー・コールは、館内に食堂を設けることを「ジン・パレス(安酒場)への強力な解毒剤」と表現しました。労働者が酒場ではなく美術館で過ごすようにという意図で、1851年のロンドン万博の運営経験から、人が長時間滞在するには食事が要ると学んでいたのです。
エキシビション・ロード側の外壁には、第二次大戦中の空襲で生じた破片の傷跡がそのまま残されています。修復せずに残す判断がなされ、傍らにその旨を記した銘板が設置されています。
Cromwell Rd, South Kensington, London SW7 2RL
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ロンドンには無料で入れる館が多くあります。近くの館と組み合わせて回るのがおすすめです。