Dealing With Noise in a London Houseshare
「うるさい」と伝えても管理会社は動きません。動くのは時刻・人数・継続時間という具体が揃ったときです。ただし管理会社が問題の住人を退去させても、同じ部屋に次の人が入れば再発します。実際に同じ部屋で2度起きた記録をもとに、何が効き、何では足りなかったのかを整理します。
深夜1時に隣室の住人が帰宅し、来客を連れ込み、明け方4時まで騒ぐ。壁は薄く、話し声も足音もドアの音も筒抜け。眠れないまま出勤し、それが週の大半で続く。
これはロンドンのシェア物件で珍しい話ではありません。そして厄介なのは、この状況で最初に取る行動——大家や管理会社に「うるさいので何とかしてください」と伝えること——が、ほとんど効かないことです。
この記事は、ロンドン東部の HMO で実際に隣室の騒音に対処した記録をもとにしています。同じ部屋で2度、住人が入れ替わった後に同じことが起きました。 1度目は約6週間で解決し、2度目は半年以上かかっています。
先に結論を書きます。
ロンドン東部のHMO、個室契約
筆者が実際に経験したケースです。ロンドン東部の一軒家を部屋ごとに貸し出す HMO で、各室が管理会社と個別に契約する形式(individual room contract)でした。契約時の説明は「他に2人の社会人とシェア」。
問題が起きたのは隣の Room 2 です。そして重要なのは、これが1回で終わらなかったことです。
| 経過 | 起きたこと |
|---|---|
| 発端 | 隣室の騒音が悪化。当初は深夜1時ごろまでだったのが、4時を過ぎるようになる。ほぼ毎晩 |
| 初回の連絡 | 管理会社に連絡。録音4日分を証拠として提示。最低契約期間6ヶ月が足枷なので、その免除を求める |
| 3日後 | 改善なし。「不動産会社が状況を管理できていない」と再度連絡 |
| 4日後 | 管理会社が隣室に連絡。本人は謝罪し「夜間の来客はやめる」と約束 → 改善せず |
| 6日後 | 管理会社が具体を質問:「21時以降に来客が泊まっていたか」。回答:「常時4人ほどが滞在し、4時過ぎまで騒ぐ」 |
| 翌日 | 管理会社が隣室に notice to vacate(退去通知)を送付 |
| 2週間後 | 管理会社が最低契約期間の免除に同意 |
| 4週間後 | メールで正式に提起。「契約時は3人でシェアと説明されたが事実と違う」を契約条件の問題として書く |
| 約1ヶ月後 | 隣室は2週間後に退去予定、と通知される |
| 5週間後 | 管理会社:「正式な通知は出した。手続きには時間がかかる。その間、同居人と友好的に話してみては」 |
| 約6週間後 | 問題の住人が退去。解決 |
管理会社は実際に機能しました。しかも、この過程で最低契約期間の免除まで勝ち取っています。退去する必要がなくなったので、結局それは使いませんでした。
静かになりました。しばらくして管理会社から「同居人との状況はどうですか」と確認が入り、「特に深刻な問題はありません」と回答しています。
ここで終わっていれば、これは「管理会社に具体を伝えれば6週間で解決する」という成功事例でした。
| 経過 | 起きたこと |
|---|---|
| 空白期の翌日 | 隣室の騒音が再び深夜にひどくなる |
| その2日後 | 隣室に新しい入居者。管理会社の問い合わせに「最近入った人」と回答。常時2人、多いときは3人以上 |
| 1週間後 | 常時3人が滞在する状態が続く |
| 2週間後 | 3〜4人。足音とドアの閉め方が特にひどい。共用部の破損を懸念して管理会社に警告 |
| 3週間後 | 「限界。こちらも大きな音を出して警告したが変わらず」 |
| 直後 | 管理会社「マネージャーが inspection を手配する」→ 10日後の時点でまだ日程未定 |
| 約5ヶ月後 | 深夜の怒鳴り声。直接頼んでも改善せず。壁を叩いたら「殴る」と脅される |
| 翌日 | 契約書の条項を引いて早期解約を要求 |
| 数日後 | 管理会社が隣室に正式なメールを送付 |
| 2週間後 | 静かだったが再発。管理会社が再び具体を質問 → 「1時に帰宅して4時まで、来客は宿泊」 |
| その2日後 | 管理会社「隣室は今月末で退去」 |
同じ部屋で、住人が入れ替わった後に、同じことが起きました。 これが最も重要な事実です。
1回目は解決しています。管理会社は退去通知を出し、実際に住人は出ていった。にもかかわらず、2ヶ月後に新しい入居者が入ると、まったく同じパターンが再現されました。常時3〜4人が滞在し、来客が泊まり、深夜1時から4時まで騒ぐ。
つまり問題は、そこに住んでいた特定の誰かではなく、その部屋がそういう使われ方をする貸し方だったということです。ひと部屋に定員を超える人数が寝起きし、来客の宿泊が常態化する。その条件が変わらなければ、誰が入っても同じ結果になります。
そして契約時の説明——「他に2人の社会人とシェア」——は、最初から実態と違っていました。ここが唯一、事前に確認できた分岐点です。
注意
契約前に確認できた唯一のこと
このケースで、事前に防げた可能性があるのは**「各部屋に何人住んでいますか」を書面で確認すること**だけです。
「何人でシェアですか」では足りません。部屋数を答えられて終わります。聞くべきは各室の居住人数と、来客の宿泊に関するルール。そして口頭の回答をメールで復唱して記録に残すこと。
このケースでは、契約時の説明と実態の乖離が、後になって早期解約を勝ち取る際の最も強い交渉材料になりました。記録があれば武器になり、なければ「言った言わない」で終わります。
「うるさい」は情報ではない
記録を振り返って明確なのは、管理会社が実際に行動した瞬間は、いずれも具体的な数字を出した直後だったということです。
1回目では、管理会社が「21時以降に来客が泊まっていたか」と質問してきました。それに「常時4人が滞在し、4時過ぎまで騒ぐ」と答えた翌日、退去通知が出ています。2回目もまったく同じで、「宿泊するのか」「何時から何時までか」を聞かれ、「1時に帰宅して4時まで」と答えた2日後に退去が決まりました。
逆に、感情や状態だけを伝えていた期間は、何も動いていません。
管理会社の担当者は、これをそのまま隣室への警告文や退去通知の根拠に使います。担当者が上司や大家に説明できる形で渡すのが目的だと考えてください。「困っています」では、担当者は何も起案できません。
上の5項目に加えて、いつまでに対応するのかを問う一文を必ず添えてください。期限を求めないと、対応は無期限に先送りされます。
そしてもう一つ、契約時の説明と実態が違うのであれば、それも同じメールに書いてください。 「契約時は他に2人とシェアと聞いていたが、現状は明らかに異なる」という指摘は、単なる騒音の苦情から契約条件の不履行へと問題の性質を変えます。管理会社にとって、後者のほうがはるかに重い。
実際この記録でも、この一文を入れて以降、対応の速度が変わっています。
実務メモ
期待の水準を正しく設定する
記録の中で、管理会社は実際にはかなり対応しています。隣室への警告メール、マネージャーの訪問、退去通知の送付、inspection の手配。そして2度とも、最終的には問題の住人を退去させています。
つまり管理会社は機能しました。にもかかわらず、状況は再発しました。ここに管理会社の限界の本質があります。
管理会社が動かせるのは「人」であって、「部屋の貸し方」ではありません。 定員を超える人数が寝起きし、来客が泊まる——その使われ方が変わらないまま次の入居者を入れれば、同じ結果になります。1人退去させるのに数週間から数ヶ月かかり、それを繰り返すことになる。
このケースでは、退去通知を出した後で管理会社が「手続きには時間がかかる。その間、同居人と友好的に話してみては」と返してきました。これは典型的な差し戻しです。
すでに直接頼んで効果がなかったのであれば、そう書いて返してください。「いつ直接お願いし、その結果どうだったか」を事実で返すと、差し戻しは繰り返されにくくなります。
そして実際、このケースで直接の交渉は脅迫という最悪の結果を招いています。相手が話の通じる人であるという前提を置かないでください。
管理会社への申し立ては、やる価値はあるが、それだけで解決すると期待してはいけない。並行して次の2つを動かすのが正解です。
補足
「問題の人が出ていく」を解決だと思わない
このケースで最も重い教訓がここです。1度目は退去によって実際に解決し、2ヶ月間は静かでした。それでも、次の入居者が入った途端に元に戻っています。
ひと部屋を過密に使う貸し方が定着している物件では、住人が入れ替わっても状況は戻ります。 「あと少しで問題の人が出ていく」という管理会社の説明を、解決の見通しとして受け取らないでください。それは症状の除去であって、原因の除去ではありません。
見るべきは、その部屋の定員が守られるようになるかどうかです。自治体の HMO ライセンスには居室ごとの最大居住人数が定められており、超過していればライセンス条件違反として自治体に通報できます(noise team とは別の、private housing team / HMO licensing team の管轄)。
こちらは「人」ではなく「貸し方」に効きます。騒音の通報と並行して、こちらも出してください。
法律上、調査する義務がある
これがこのケースで最大の機会損失でした。 2度の騒動を通じて、相手にしたのは管理会社だけで、自治体には一度も通報していません。
とりわけ2回目——同じ部屋で再発したと分かった時点——では、管理会社に人を入れ替えさせても解決しないことが既に判明していました。そこで行政に切り替えるべきでした。
イングランドの各自治体には environmental health team(noise team、noise nuisance team などの名称)があり、Environmental Protection Act 1990(第79条〜82条)にもとづく法的権限を持っています。
さらに Noise Act 1996 には、住居からの夜間(概ね23時〜7時)の過大な騒音を対象とした別枠の制度があり、警告通知と固定額の反則金(fixed penalty)の仕組みが全自治体に適用されています。
深夜に発生している最中に連絡できるかどうかが分かれ目です。日中に「昨夜うるさかった」と言うより、発生中に来てもらうほうが立証が圧倒的に速い。夜間対応の有無と電話番号を、先に調べておいてください。
Environmental Protection Act 1990 の第82条により、個人が直接 magistrates' court に申し立てることもできます。騒音の場合、加害者に対して3日前に書面で提訴の意思を通知すれば手続きを開始できます。弁護士なしで進められます。
実際にここまで行く人は稀ですが、「第82条にもとづき自分で申し立てる用意がある」と書面に書けること自体が、大家と加害者に対する強い圧力になります。
実務メモ
警察の管轄に切り替える
このケースでは、2回目の終盤に、壁を叩いて静かにするよう求めたところ**「殴る」という趣旨の発言を受けています**。
この時点で、問題の性質が変わっています。 騒音は民事・行政の話ですが、暴力の予告は刑事の話です。管理会社に相談する案件ではありません。
まず自分の安全のためですが、実務上の効果も大きい。警察の記録があると、早期解約の交渉が一気に通りやすくなります。 大家には物件を安全に保つ責任があり、「入居者が別の入居者から暴力を予告された」という記録が残ると、放置した場合の責任が大家に及ぶためです。
このケースでも、脅迫の件を持ち出した翌日に契約条項を引いて早期解約を要求し、最終的に隣室の退去につながっています。
気持ちは分かりますが、やめてください。このケースで脅迫を招いたのは壁を叩いた直後です。また、こちらから騒音を出し返すと、あなた自身が騒音の申し立ての対象になり得ます。記録上の立場が対等になってしまい、それまで積み上げた証拠の価値が落ちます。
対抗せず、記録を取り、第三者(管理会社・自治体・警察)を動かす。遠回りに見えて、これが最短です。
注意
眠れない状態が続くこと自体が、健康被害です
このケースでは、記録の中で「睡眠不足」「精神的な不調」が繰り返し出てきます。数ヶ月にわたる睡眠妨害は、我慢の問題ではなく健康被害です。
そして実務的にも、GP(かかりつけ医)に相談して記録を残しておくことには意味があります。「健康を害している」ことは statutory nuisance の判断要素そのものであり、医療記録は自治体への通報でも早期解約の交渉でも証拠になります。
我慢して耐えるほど、証拠も交渉力も積み上がりません。早い段階で外部の記録を作ってください。
この記録が示す最大の変化
この記録全体を通じて、最も重い足枷になっていたのは騒音そのものではなく、契約から出られないことでした。
最初の連絡の時点で、すでにこう書いています。「引っ越す以外に解決策はないと思うが、ボトルネックは最低契約期間6ヶ月だ。これが免除されれば、次の部屋が見つかり次第すぐ出られる」。
そして最低契約期間の免除を勝ち取るまでに、2週間の交渉を要しました。
結果として、1回目は退去で解決したためこの権利は使いませんでした。しかし、それが2回目に効いてきます。 同じ部屋で再発したとき、取り付けた合意の期限はすでに過ぎており、また一から同じ交渉をやり直す必要がありました。だから脅迫を受けるまで、実質的に「出る」という選択肢を持てないまま半年を過ごしています。
2026年5月1日の Renters' Rights Act 施行により、固定期間そのものが廃止されました。
つまり、このケースで2週間かけて勝ち取ったものが、今は通知1通で手に入ります。詳しくは契約形態の地図を参照してください。
騒音問題に直面したら、次の順序で並行して動いてください。
4を「最終手段」と考えないでください。通知を出しても、事態が改善すれば撤回の相談はできます(大家の同意は要りますが、次の入居者が決まっていなければ応じられることが多い)。逆に、耐えてから動き始めると、そこからさらに2ヶ月かかります。
このケースの教訓を一つに絞るなら——同じ部屋で2度起きた時点で、その物件は見切るべきでした。
1度目の解決は本物でした。管理会社は機能し、住人は退去し、2ヶ月間は静かだった。だからこそ2度目も同じように収まると期待して、半年を費やすことになった。再発した時点で、それはもう個別のトラブルではなく物件の性質です。 そこからは、行政に通報するか、出るか、その2つしかありません。
実務メモ
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。ここで扱う制度は イングランドのものです(スコットランド・ウェールズ・北アイルランドは別の法律が適用されます)。 Renters' Rights Act 2025 は段階的に施行が続いており、記載内容が最新でない可能性があります。 実際のトラブルにあたっては GOV.UK・Shelter の最新情報を確認し、深刻な事案(違法な立ち退き、 敷金の未返還、健康被害のある住環境など)では Citizens Advice、地元自治体の private housing team、または事務弁護士にご相談ください。
騒音トラブルを実際に解決できた(あるいはできなかった)体験や、管理会社・自治体への通報が効いた具体的な手順があれば教えてください。
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