フレッドペリーFred Perry
ウィンブルドンを3連覇した選手が作ったポロシャツ。月桂樹の冠は、労働者階級の子が入れなかったクラブの記章だった。

価格の目安
£30〜150
旗艦店
フレッドペリー ニューバーグ・ストリート店
最寄り: Oxford Circus 駅 / Piccadilly Circus 駅
フレッドペリーの特徴
フレッドペリーの面白さは、創業者が服飾の人間ではないことです。テニス選手が自分の名前で始めた店が、なぜか英国のサブカルチャーの制服になりました。
価格の入りやすさが段違い このリストの中で、最も安く「英国ブランドを着た」状態になれるブランドです。定番のポロシャツが £75 前後。バーバリーのコートの20分の1以下で、しかも記号としての分かりやすさは劣りません。
月桂樹の冠は刺繍で入っている ライバルだったラコステがワッペンを貼り付けていたのに対し、こちらは生地に直接刺繍しています。洗っても剥がれず浮かない。創業当初からの仕様で、今も変わりません。
着る人を選ばない歴史 モッズ、スキンヘッズ、パンク、2トーン、ブリットポップ。ドクターマーチンと同じく、着る側が次々に意味を上書きしてきた服です。特定の誰かのものになりきらなかったので、今から着ても文脈に閉じ込められません。
日本より本国のほうが色が多い 定番の白・黒に加え、襟のライン(ティッピング)の配色が本国では大量に並びます。同じ £75 で選べる幅がまるで違います。
月桂樹の冠——入れなかったクラブの記章
胸の**月桂樹の冠(Laurel Wreath)**は、ウィンブルドンの古い記章をもとにしています。
ここに含みがあります。フレッド・ペリーは労働者階級の出で、綿糸紡績工の息子でした。当時のテニスは上流階級の競技で、彼は3連覇してなお、クラブの側から完全には歓迎されなかったと伝えられます。その彼が、自分を締め出した世界の記章を取って、自分の商品に付けた。
もともとは違う案でした。ペリー本人はパイプ愛好家で、ロゴにパイプを使いたがっていたといいます。共同経営者が「女性客に受けない」と反対し、月桂樹に落ち着きました。パイプになっていたら、この服がモッズの制服になることはなかったかもしれません。
なお1952年の発売以来、この冠がサブカルチャーの記号として使われ続けたことで、一部の政治的集団に持ち去られかけた時期もあります。ブランド側がその都度距離を取る声明を出してきた、という経緯も含めて記号の歴史があります。
フレッドペリーの歴史
フレッド・ペリーは1909年、ストックポートの綿糸紡績工の家に生まれました。労働者階級の出です。
卓球からテニスへ
最初に世界一になったのは卓球でした。1929年の世界選手権で優勝しています。そこからテニスに転向し、1934年から36年までウィンブルドンを3連覇。全仏・全豪・全米も制し、四大大会をすべて取った最初の男子選手になりました。
彼の後にウィンブルドン男子単を制する英国人が現れるのは、2013年のアンディ・マリーまで77年間空きます。
ただし当時のテニスは上流階級の競技で、彼の出自と物言いは歓迎されないこともありました。3連覇した選手が、クラブの空気の中では部外者だった。この距離感が、のちのブランドの性格に効いてきます。
リストバンドから始まった
引退後の1940年代、オーストリア人の元サッカー選手ティボー・ワグナーと組んで、まず**手首の汗止め(リストバンド)**を作りました。これが売れたことが出発点です。
1952年、ウィンブルドンでM3ポロシャツを発表します。すでにラコステの製品がありましたが、フレッドペリーは月桂樹の冠を生地に直接刺繍した。貼り付けではないので剥がれない。この違いが品質の証明として効きました。
客が勝手に変わっていった
想定していたのはテニスの客です。ところが1950年代後半から、モッズが着始めます。以降、スキンヘッズ、パンク、2トーン、ブリットポップと、次々に別の集団の制服になっていきました。
ドクターマーチンとまったく同じ経路をたどっています。安くて丈夫で、記号として分かりやすい。この3つが揃った服は、作り手の意図と関係なく持ち去られていくという実例です。

フレッド・ペリー。1934年から36年までウィンブルドンを3連覇し、次の英国人優勝者が出るまで77年かかった。
画像: Unknown - Distributed by AFP and ACME Newspictures / Public domain, via Wikimedia Commons
ロンドンでの買い方
日本にも展開がありますが、色数と価格が違います。特に襟のライン(ティッピング)の配色は本国のほうが圧倒的に多く、同じ予算で選べる幅が変わります。
どこで買うか
ロンドン市内に直営店が複数あり、どれも観光の動線に乗せやすい場所です。
- ニューバーグ・ストリート(カーナビー周辺) — カーナビー・ストリートの裏手。モッズの街だった一帯で、ブランドの出自と土地が合っている
- コヴェント・ガーデン — 観光の動線上で最も寄りやすい
- ソーホー(レキシントン・ストリート) — 落ち着いて見られる
**ロンドン市内に独立したアウトレットはありません。**値引きを狙うならセール期(6月下旬〜7月、12月26日から)か、地方のアウトレットモール(アシュフォード、チェシャー・オークスなど)になりますが、そこまで行く価値があるほどの元値ではありません。定価で買って構わないブランドです。
M3 と M12 の違い
定番の型番は覚えておくと早いです。
| 型番 | 特徴 |
|---|---|
| M3 | 1952年発表の原型。細身 |
| M12 | 襟と袖口にライン(ティッピング)が入る定番。最も見かける型 |
M12 のティッピングの配色が、このブランドで最も選ぶ楽しみがある部分です。白地に黒/黄、紺地に白/赤といった組み合わせが棚に並びます。日本ではまず見ない配色が普通にあります。
サイズは細め
英国の他ブランドと違い、中に着込む前提の服ではありません。素で着る寸法で、細身に出ます。普段より1つ上を選ぶ人が多いので、必ず試着してください。
ひとこと: 選ぶ楽しみは M12 の襟のライン(ティッピング)の配色にあります。日本では見ない組み合わせが本国の棚には普通に並びます。
公式アカウントより
Fred Perry の公式アカウントの投稿です。
何を買えばいいか
長く定番として残っているものを中心に選びました。価格は変わります。目安として見てください。

M12 ポロシャツ
M12 Twin Tipped Polo襟と袖口にラインが入る定番。配色の選択肢が本国では圧倒的に多い。
£75〜85
M3 ポロシャツ
M3 Original1952年発表の原型。ラインの入らない無地で細身。
£75〜85
ハリントンジャケット
Harrington Jacketモッズの定番として定着した薄手のブルゾン。ポロシャツの上に羽織る前提。
£150〜200
主な店舗・アウトレット
営業時間は載せていません。変わりやすく、古い情報を頼りに行くと閉まっていることがあるためです。 行く前に公式サイトで確認してください。
- 旗艦店
フレッドペリー ニューバーグ・ストリート店
12 Newburgh Street, London W1F 7RP
Oxford Circus 駅 / Piccadilly Circus 駅
カーナビー・ストリートの裏手。モッズの街だった一帯にあり、ブランドの出自と土地が合っている。
- 直営店
フレッドペリー コヴェント・ガーデン店
9 Henrietta Street, London WC2E 8PW
Covent Garden 駅
観光の動線上で最も寄りやすい。