バーバリーBurberry

    ファッション
    1856年創業
    ハンプシャー州ベイシングストーク

    トレンチコートという衣服そのものを作った会社。あのチェックは裏地として生まれたもので、最初は表に出るものではなかった。

    バーバリー

    画像: markhillary / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

    価格の目安

    £300〜2,500

    旗艦店

    バーバリー リージェント・ストリート店

    最寄り: Piccadilly Circus 駅(徒歩約3分)

    バーバリーの特徴

    バーバリーが他の高級ブランドと決定的に違うのは、看板商品を自分で発明していることです。

    多くのラグジュアリーブランドは、既にある衣服を上質な素材と仕立てで作り直すことで価値を出します。バーバリーは違います。トレンチコートという衣服の類型そのものが、この会社の製品から生まれました。「バーバリーのトレンチコート」ではなく、「トレンチコート」がバーバリーの発明なのです。

    具体的な魅力は3つあります。

    1. 素材が発明品である ギャバジンは防水と通気を両立させた最初期の実用素材で、南極遠征にも使われました。今の製品でも、この生地を使ったコートは着ていて蒸れません。見た目のために選ばれた素材ではないという一点が、100年以上経っても効いています。

    2. 装飾が1つもない 肩のストラップも、袖のベルトも、背中の当て布も、すべて軍装として必要だったものです。飾りとして付けられたパーツが1つもない。機能から形が決まった服なので、流行に左右されにくく、10年着ても古びません。

    3. 価格帯の幅が広い コートは £1,800 前後からですが、マフラーなら £400、小物なら £150 程度から入れます。同じ記号を、予算に応じて手に入れられるブランドです。

    馬に乗った騎士のロゴ

    チェックの陰に隠れがちですが、このブランドにはもう一つの記号があります。槍を構えて馬を走らせる甲冑の騎士——**エクエストリアン・ナイト・デバイス(Equestrian Knight Device)**です。

    1901年、新しいロゴを公募して選ばれた図案で、1904年に商標登録されました。旗にはラテン語で Prorsum(前へ) と書かれています。

    面白いのは、この図案の各部にちゃんと意味が割り当てられていることです。

    要素意味
    甲冑防護
    騎士道誠実な商い
    構えた槍改革

    槍が指しているのは、ゴム引きのマッキントッシュに対する挑戦です。蒸れる防水着を過去にする、という宣言がそのまま図案になっている。ギャバジンの発明を知ったうえでこのロゴを見ると、意味が変わって見えます。

    バーバリーの歴史

    トーマス・バーバリーが1856年、ハンプシャー州ベイシングストークで開いた洋品店が始まりです。当時21歳。彼が解こうとしていたのは「雨の日に着るものが重い」という、この国では極めて切実な問題でした。

    ギャバジンという発明

    当時の防水外套はマッキントッシュに代表されるゴム引きの布でした。布と布の間にゴムを挟んで水を通さなくする方式で、確かに雨は防げます。ただし蒸れる。ゴムは水蒸気も通さないので、着ている本人の汗が内側にたまり、重く、そして臭くなりました。

    バーバリーが1879年に発表した**ギャバジン(gabardine)**は、問題の立て方そのものを変えています。布に防水層を貼るのではなく、糸の段階で防水加工してから高密度に織る。繊維そのものが水を弾き、織り目は水滴が通れないほど詰まっているが、水蒸気の分子は抜けられる。防水と通気を両立させた最初期の実用素材でした。

    この生地は当時の探検家に採用されます。南極点をめぐるアムンセンとスコットの遠征隊が、どちらもバーバリーのギャバジンを装備に含めていました。極地で使われたという事実が、素材への信用をそのまま作りました。

    塹壕から来た形

    第一次大戦で英国陸軍が採用したのが決定的でした。塹壕(trench)で将校が着た防水コートが、そのままトレンチコートの名で残ります。

    今も残るディテールは、すべて軍装として理由があったものです。

    部位もとの用途
    肩のエポレット階級章を留める、双眼鏡のストラップがずり落ちるのを防ぐ
    袖のストラップ袖口を締めて雨と風の侵入を止める
    背中のガンフラップ銃床が当たる肩に布を重ねて補強する
    腰のDリング装備を吊り下げる
    深い切り込みのある背中馬にまたがったときに裾が割れる

    装飾として付けられたものが1つもない、というのがこのコートの性格をよく表しています。

    チェックは裏地だった

    有名なチェック柄が登場するのは1920年代です。しかもコートの裏地として使われ始めたもので、表に出すために設計されたわけではありませんでした。前を開けたときにちらりと見える、それだけの位置づけです。

    これが単独のブランド記号として扱われるようになったのはずっと後のことで、90年代以降は一時期その普及が行き過ぎてブランドを傷めたともいわれます。もともとが裏地だった、という出自を知っていると、この柄の扱いの難しさが少し分かります。

    創業者トーマス・バーバリー。21歳で洋品店を開き、23年後にギャバジンを発表した。

    創業者トーマス・バーバリー。21歳で洋品店を開き、23年後にギャバジンを発表した。

    画像: 不明 / Public domain, via Wikimedia Commons

    ロンドンでの買い方

    イギリスで買う意味が明確にあるブランドです。日本の直営価格とは差が出やすく、セール期はさらに開きます。

    どこで買うか

    買う場所価格品揃え向いている人
    リージェント・ストリート旗艦店定価最も広い型が決まっていない/試着したい
    ハックニーのアウトレット50%以上引きB級品・在庫過多品価格優先/市内で済ませたい
    ビスター・ヴィレッジ大きく下がる型落ち中心他ブランドもまとめて回る

    リージェント・ストリートの旗艦店が中心です。建物が大きく在庫の幅があるので、探しているものが決まっているならまずここ。

    市内にアウトレットがある

    見落とされがちですが、ハックニーに独立したファクトリー・アウトレットがあります(29-31 Chatham Place)。B級品と在庫過多品を 50%以上引きで出す倉庫型の店で、オーバーグラウンドの Hackney Central 駅から徒歩2分。

    1950年代にバーバリーの工場がこの地にあり、その名残で今も店が残っています。ビスターまで丸1日かけなくても、市内で数時間で済むというのが最大の利点です。ただし品揃えは運次第で、狙った型があるとは限りません。

    価格を優先しつつ品数も見たいならビスター・ヴィレッジ(マリルボン駅から列車で約1時間)ですが、往復と滞在で丸1日が消えます。他にも回るブランドが決まっているときだけ効率が合います。

    トレンチコートは型で選ぶ

    Heritage と呼ばれる定番のトレンチは、Kensington / Chelsea / Waterloo などの名前で複数の型に分かれています。同じサイズ表記でも着丈とシルエットが変わるので、名前まで決めておかないと店頭で迷います。

    型を先にオンラインで絞り、現地では試着と着丈の確認だけにすると判断が早く済みます。丈は身長で決まるものではなく、何に合わせて着るかで変わります。

    セールの時期

    年2回です。6月下旬〜7月と、12月26日(ボクシング・デー)からの2回。この期間は主要ブランドが一斉に下げます。旅程が近いなら、買う予定のものだけ時期をずらす価値があります。

    なお免税(VAT還付)は2021年に廃止されています。20%戻る前提で予算を組むと必ずずれるので、注意してください。

    ひとこと: トレンチコートは型ごとに着丈とシルエットが違います。オンラインで型名まで決めてから現地で試着すると、店頭で迷わずに済みます。

    公式アカウントより

    Burberry の公式アカウントの投稿です。

    何を買えばいいか

    長く定番として残っているものを中心に選びました。価格は変わります。目安として見てください。

    • ヘリテージ トレンチコート

      Heritage Trench Coat

      Kensington など複数の型がある定番。軍装由来のディテールがそのまま残っている。

      £1,800〜

    • チェックのカシミアマフラー

      Check Cashmere Scarf

      コートに手が出なくてもブランドの記号が手に入る。荷物にならず土産にも向く。

      £400〜

    • チェックの小物

      Check Accessories

      カードケースやポーチ。最も価格の低い入口で、£200前後から選べる。

      £150〜300

    主な店舗・アウトレット

    営業時間は載せていません。変わりやすく、古い情報を頼りに行くと閉まっていることがあるためです。 行く前に公式サイトで確認してください。

    • 旗艦店

      バーバリー リージェント・ストリート店

      121 Regent Street, London W1B 4TB

      Piccadilly Circus 駅(徒歩約3分)

      在庫の幅が最も広い。型が決まっていない、試着して決めたいならここ一択。

    • アウトレット

      バーバリー・ファクトリー・アウトレット(ハックニー)

      29-31 Chatham Place, London E9 6LP

      Hackney Central 駅(オーバーグラウンド、徒歩約2分)

      ロンドン市内唯一の独立アウトレット。B級品と在庫過多品を50%以上引きで出す倉庫型の店で、ビスターまで行かずに済む。1950年代にこの地に工場があった名残。

    • アウトレット

      ビスター・ヴィレッジ

      50 Pingle Drive, Bicester OX26 6WD

      Bicester Village 駅(マリルボン駅から約1時間)

      値引き幅は大きいが型落ち中心。往復と滞在で丸1日かかるので、他にも回るブランドがあるときだけ。

    よくある質問

    Burberry 公式サイト →

    ほかのイギリスブランド