バブアーBarbour

    アウトドア・カントリー
    1894年創業
    タイン・アンド・ウィア州サウス・シールズ

    港湾労働者の防水着として始まり、農場と王室の両方で着られている。オイルを塗り直しながら何十年も使う服。

    バブアー

    画像: Luca Boldrini / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

    価格の目安

    £100〜500

    旗艦店

    バブアー リージェント・ストリート周辺店

    最寄り: Oxford Circus 駅 / Piccadilly Circus 駅

    バブアーの特徴

    バブアーの特異さは、新品より着古したもののほうが価値が高いとされる点です。服の世界でこれは珍しい。

    ワックスコットンは使ううちに油が抜け、色が落ち、皺が定着します。普通なら劣化ですが、この服では着た年数の記録として扱われます。父親のジャケットを子が継ぐ、という使われ方が現実にある。

    手入れが要ることが長寿命につながっている 年に一度、専用ワックスを温めて塗り込む必要があります。面倒です。しかしその手間が服との関係を切らさない。放置すれば防水は落ちますが、塗れば戻る。「壊れたら買い替える」ではなく「手入れすれば続く」側の製品です。

    すべての形に理由がある Bedale の裾が割れているのは鞍にまたがるため。Beaufort の背中に大きなポケットがあるのは、撃った鳥を入れるため。都市で着る人には関係のない理由ですが、その理由が形として残っていることがこの服の説得力になっています。

    英国では日常着 ロンドンでも地方でも、実際に着ている人を大量に見かけます。観光客向けの高級品ではなく、現地の人が普通に着ている服を買って帰るという体験そのものが、このブランドの魅力です。

    ロゴは実在する灯台

    袖や胸に付くビーコン(Beacon)のマークは、抽象的な図案ではありません。実在する灯台です。

    創業地サウス・シールズ、タイン川の河口に立つ ハード・グロイン灯台(Herd Groyne)。1882年に建てられたもので、バブアーの創業はその12年後です。創業者が毎日見ていた景色がそのままマークになっています。

    1908年から商標として使われており、1894年のジョン・バブアー最初のコレクションの名前も「Beacon」でした。港湾労働者に防水着を売っていた店が、目印にしたのは港の灯台だったわけです。

    現在は若い層に向けた Barbour Beacon というラインの名前にもなっています。店頭でこのマークを見たら、それは創業地の港を指しています。

    バブアーの歴史

    1894年、ジョン・バブアーがイングランド北東部の港町サウス・シールズで創業しました。

    最初の客は港湾労働者と船乗りです。北海の風と雨をしのぐための防水着を売る店で、上等な服を仕立てる商売ではありませんでした。

    塗り直す前提の生地

    生地は綿にオイルを染み込ませたワックスコットンです。

    防水と通気を両立させる発想はバーバリーのギャバジンと同じですが、解き方が違います。ギャバジンが織りの密度で解いたのに対し、こちらは油で繊維の隙間を埋める

    そして油は使ううちに抜けていきます。雨に打たれ、擦れ、時間が経つと防水性が落ちる。だから塗り直す。年に一度、専用のワックスを温めて布に塗り込む作業が要ります。

    一見すると欠点です。しかしこの「手入れが要る」という性質が、結果として1着を何十年も着るという使われ方を生みました。手を入れた分だけ長持ちし、色落ちと皺が使った年数として残る。新品より着古したもののほうが評価される、という珍しい服です。

    実用品としての設計

    第一次大戦後はオートバイ乗りの装備として広まり、戦後は農場と狩猟の服として定着しました。都市の服として着られるようになったのは、ずっと後のことです。

    定番の BedaleBeaufort は、どちらも実用から形が決まっています。

    モデルもとの用途特徴
    Bedale乗馬短丈。裾が割れているのは鞍にまたがるため
    Beaufort狩猟やや長丈。背中に獲物を入れるポケットがある

    Beaufort の背面ポケットは、撃った鳥を入れるためのものです。都市で着る人にとってはただの大きなポケットですが、設計の理由は今も残っています

    ロンドンでの買い方

    本国価格と日本の正規価格の差が大きく、モデルの選択肢も比較になりません。日本では扱いのないラインが普通に並んでいます。

    どこで買うか

    リージェント・ストリート周辺の直営店のほか、ジャーミン・ストリートの紳士服店や百貨店でも扱いがあります。

    カントリー用品を扱う店に行くと、都市型ではない本来のラインが見られます。同じブランドとは思えないほど無骨なものが並んでいて、出自を知るには一番早い場所です。

    サイズは大きめに出る

    中に着込む前提で設計されているため、表記は日本より大きめです。普段のサイズだとぶかぶかになることがあります。

    一方で、セーターの上から着るのが本来の使い方でもあります。現地の店で、実際に着込む状態に近い格好で試すのが確実です。

    ワックスを一緒に買う

    買ったあとの手入れ用に、ソーンプルーフ・ドレッシング(Thornproof Dressing)の缶を一緒に買っておいてください。

    日本でも入手できますが、現地のほうが確実で安く、£10〜15 程度です。ジャケットを買っておいてワックスを持っていないと、数年で防水が落ちたまま放置することになります。

    塗り方は、缶を湯煎で柔らかくし、布で薄く伸ばして、ドライヤーの温風でなじませる。年に1回で足ります。

    匂いのこと

    ワックスジャケットには独特の匂いがあります。オイル由来のもので劣化ではありませんが、好き嫌いがはっきり分かれます。

    新品ほど強く、着るうちに落ち着きます。**買う前に必ず実物の匂いを確認してください。**これを知らずに買って、帰国後にクローゼットで持て余す人がいます。

    カントリー用品を扱う店。都市型のラインとは品揃えが大きく違い、本来の姿が見られる。

    カントリー用品を扱う店。都市型のラインとは品揃えが大きく違い、本来の姿が見られる。

    画像: Steve F / CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

    ひとこと: ワックスジャケット独特の匂いは好みが割れます。買う前に必ず実物を嗅いで確認してください。

    何を買えばいいか

    長く定番として残っているものを中心に選びました。価格は変わります。目安として見てください。

    • ビデイル

      ビデイル

      Bedale

      乗馬用として設計された短丈。裾が割れているのは鞍にまたがるため。

      £250〜320

    • ボーフォート

      Beaufort

      狩猟用のやや長丈。背中のポケットは獲物を入れるためのもの。

      £280〜350

    • ソーンプルーフ・ドレッシング

      Thornproof Dressing

      塗り直し用のワックス缶。ジャケットを買うなら必ず一緒に。

      £10〜15

    主な店舗・アウトレット

    営業時間は載せていません。変わりやすく、古い情報を頼りに行くと閉まっていることがあるためです。 行く前に公式サイトで確認してください。

    • 旗艦店

      バブアー リージェント・ストリート周辺店

      Oxford Circus 駅 / Piccadilly Circus 駅

      都市向けのラインが中心。定番の Bedale / Beaufort は揃う。

    • 取扱店

      カントリー用品店

      都市型ではない本来のラインが並ぶ。同じブランドとは思えないほど無骨なものがあり、出自を知るには一番早い。

    よくある質問

    Barbour 公式サイト →

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