英国YMS(ワーホリ)申請ガイド|£2,530・28日間の資金証明を確実に通す手順
UK Youth Mobility Scheme (YMS) Visa
18〜30歳の日本国籍なら、スポンサーなしで最長2年間、英国で自由に働けます。日本枠は年6,000人・抽選なしで、条件を満たせば通年で申請できます。このページは、却下の最大要因である資金証明を軸に、申請を最後まで終わらせるための手順書です。
このビザの概要
- 対象
- 申請時に18〜30歳の日本国籍
- 滞在できる期間
- 最長2年(延長不可・生涯1回のみ)
- 必要な資金
- £2,530 を28日間連続で保持(本人名義)
- 費用の総額
- 約£1,911.20(申請料+IHS 2年分+生体情報登録)
- スポンサー
- 不要。内定も英語力の証明も要りません
- 日本の枠
- 年6,000人・抽選なし・通年申請可
- 審査期間
- 標準で約3週間
- 永住へのカウント
- **されません**(1日も算入されない)
**YMS(Youth Mobility Scheme)は、英国のビザの中で最も要件が軽いルートです。**雇用主のスポンサーが要らず、内定も学歴も英語力の証明も不要。18〜30歳の日本国籍というだけで、最長2年間、英国でほぼ自由に働けます。
しかも日本は恵まれています。枠は年6,000人あり、台湾や香港のような抽選(ballot)もありません。条件さえ満たせば、いつでも申請できます。
ただし、却下される人は確実にいます。そしてその理由はほぼ1つに集中しています。
£2,530 を、28日間、1日も下回らずに、本人名義の口座で保持したことを証明できていない
金額そのものは大きくありません。落ちるのは「証明の形式」でつまずくケースです。1日だけ £2,529 になっていた、家族名義の口座だった、残高証明に銀行の押印が無かった——この程度で落ちます。
このページは、その資金証明を確実に通すことを軸に、申請の最初から最後までを案内します。
目次
1. まず確認:あなたは申請できるか
5つすべてに「はい」なら、申請できます
要件チェック
- 日本国籍を持っている
- 申請時点で18歳以上30歳以下(31歳の誕生日前日まで)
- 本人名義の口座に £2,530 以上を、28日間連続で保持できる
- 過去に YMS で英国に滞在したことがない(生涯1回のみ)
- 18歳未満の子どもと同居していない/扶養していない
加えて、重大な犯罪歴や過去の移民法違反があると却下されます。
年齢について、よくある誤解
「30歳のうちに申請すれば、31歳になっても滞在できる」は正しいです。
判定されるのは申請日時点の年齢だけです。申請後にビザが下りて渡英し、その後31歳になっても、付与された2年間はそのまま滞在できます。30歳の後半に差しかかっている方は、誕生日から逆算して早めに動いてください。
国籍ごとの条件(比較)
日本は「18〜30歳・抽選なし」のグループです。
| 国・地域 | 年齢 | 抽選 |
|---|---|---|
| 日本 | 18〜30歳 | なし |
| 韓国 | 18〜35歳 | なし |
| オーストラリア/カナダ/ニュージーランド | 18〜35歳 | なし |
| アイスランド/モナコ/アンドラ/サンマリノ/ウルグアイ | 18〜30歳 | なし |
| 台湾/香港(SAR旅券) | 18〜30歳 | あり |
台湾・香港のみ、年2回・受付48時間程度の抽選に当選しないと申請できません。日本国籍の方には関係ありません。
実務メモ
- 日本枠が1,500人から6,000人に拡大し、抽選が廃止されたのは2024年1月31日です。それ以前の体験談には「抽選に落ちた」という記述がありますが、現在は該当しません。
- 「枠が埋まる」ことを心配する声がありますが、6,000人枠に対して実際の申請数はそれを下回って推移しています。焦って準備不足のまま出す方がリスクです。
2. 資金要件:ここだけで却下の大半が決まる
£2,530を28日間、1日も下回らずに
ルールの正確な意味
- 本人名義の口座に £2,530 以上
- 28日間、連続して保持していること
- その 28日目が、申請日から31日以内であること
重要なのは「28日間の平均」ではなく、「28日間のすべての時点」だという点です。1日だけ £2,529 に下がった時点で要件は満たしません。
28日の数え方(具体例)
8月1日に基準額を達成したなら、8月1日から8月28日まで、全28日間にわたって基準以上である必要があります。そして 8月28日から31日以内、つまり9月28日までに申請します。
いくら用意すべきか
£2,530 ちょうどでは危険です。
判定は申請時のレートで換算した円建て残高に対して行われます。円安に振れれば、昨日まで足りていた残高が今日は足りません。日本円で60万円以上を入れておけば、多少の為替変動では割り込みません。
使える口座・使えない口座
| 口座の種類 | 可否 | 注意点 |
|---|---|---|
| 普通預金(本人名義) | ◎ | 最も確実。これを使ってください |
| 定期預金 | △ | 引き出し可能であることの追加説明を求められる場合あり |
| 証券口座・投資信託 | × | 換金性があっても不可 |
| 家族名義の口座 | × | 名義不一致で即却下 |
| 電子マネー・PayPay等 | × | 銀行口座ではない |
却下される典型パターン
- 28日間の途中で基準を下回った — 給与の入出金がある口座を使うと起きがちです
- 家族名義の口座を提出した — 親からの援助でも、必ず本人名義に移してください
- 残高証明に銀行の押印・署名が無い — オンライン発行のPDFは要注意
- 28日目から31日を過ぎてから申請した — 準備が長引くと起きます
- 通帳の氏名ページを撮り忘れた — 誰の口座か証明できていない
実務メモ
- 給与振込口座は使わないでください。毎月の引き落としで一時的に基準を割るリスクがあります。専用の口座を用意するのが最も安全です。
- 28日間は「1円も動かさない」のが理想です。入金は問題ありませんが、出金は基準を割るリスクを生むだけです。
- 為替は申請時のレートで換算されます。円安局面では、余裕を大きめに取ってください。
ヒント
最も確実な準備手順
- 新しく普通預金口座を開設する(既存口座の入出金と切り離すため)
- 60万円以上をまとめて入金する(£2,530に対する為替の余裕)
- 28日間、一切引き出さない
- 29日目以降に 英文残高証明書を発行してもらう
- 通帳のコピー(表紙・氏名ページ・28日間の取引履歴・最新残高)も併せて用意
- 31日以内に申請する
この手順なら、資金要件でつまずく余地がほとんどありません。
3. 日本の銀行で、英文残高証明をどう取るか
窓口で何と言えばいいか、何を確認するか
資金証明は、英文残高証明書と通帳のコピーの2点で出すのが最も安全です。片方だけでも通ることはありますが、併用すると不備の余地が減ります。
英文残高証明書(Certificate of Balance)
**ほぼすべての日本の銀行が発行に対応しています。**窓口で次のように伝えてください。
「英文の残高証明書を発行してください。英国のビザ申請に使います。」
発行時に確認すべきこと
- 氏名がパスポートと同じローマ字表記になっているか(最重要)
- 口座番号が記載されているか
- 通貨と残高が記載されているか
- 発行日が入っているか
- 銀行の押印または担当者の署名があるか
- 銀行の名称・住所・連絡先が記載されているか
発行にかかる時間と費用:即日〜2週間、700〜1,500円程度(銀行により異なります)。ネット銀行は郵送のみで2週間近くかかることがあるため、逆算して早めに依頼してください。
通帳のコピー
以下の4点を撮影またはスキャンします。
- 表紙(銀行名がわかる)
- 氏名・口座番号のページ
- 28日間すべてを含む取引履歴(期間の最初と最後が写っていること)
- 最新残高がわかるページ
ネットバンキングで通帳が無い場合は、取引明細のPDFをダウンロードし、氏名・口座番号・期間・残高がすべて含まれていることを確認してください。
翻訳が必要な場合
日本語の書類を出す場合、認証翻訳を添える必要があります。翻訳文には以下の記載が必須です。
- 翻訳者の氏名と連絡先
- 翻訳が正確かつ完全である旨の宣言文
- 翻訳者の署名と日付
ただし、英文残高証明を銀行から直接発行してもらえば、この翻訳は不要になります。手間もコストも下がるので、まず英文発行を依頼してください。
実務メモ
- パスポートのローマ字表記(ヘボン式)と、銀行のローマ字表記が食い違うことがあります。「YUICHI」と「YUUICHI」のような差でも指摘対象になり得るので、発行前に必ず突き合わせてください。
- ネット銀行(楽天・住信SBIなど)は英文証明の発行に日数がかかるか、そもそも非対応の場合があります。メガバンクか地方銀行で用意する方が確実です。
4. 費用の総額
申請料だけ見ていると、実際の請求額で驚きます
IHS(医療サーチャージ)は滞在年数分を申請時に一括前払いします。ここが総額の大部分を占めます。
| 項目 | 2年滞在 |
|---|---|
| 申請料 | £340 |
| IHS(£776 × 2年) | £1,552 |
| 生体情報登録(センター利用時) | £19.20 |
| 合計 | £1,911.20 |
日本円にすると、為替次第でおよそ37〜40万円です。
注意:この費用は資金要件とは別枠です
£2,530 は「英国到着後に生活できること」を示すためのお金で、申請費用に充てるためのものではありません。
つまり実際に必要なのは、
- 申請費用:約£1,911.20
- 資金証明用の残高:£2,530 以上(できれば60万円)
- 渡航費・初期滞在費:別途
の3つを別々に用意する必要があります。合わせて100万円前後を見ておくと安全です。
急ぎたい場合
| サービス | 追加料金 | 結果 |
|---|---|---|
| Priority | £500 | 5営業日 |
| Super Priority | £1,000 | 翌営業日 |
利用できるかは申請国とビザ種別によります。書類に不備があれば優先審査でも止まるので、まず書類を完璧にする方が先です。
補足
IHS を払えば NHS が使えます
YMS は IHS が**割引レート(年£776)**で適用されます。これを払うことで、滞在中は英国の国営医療(NHS)を英国民と同じ条件で利用できます。GP の診察も入院も原則無料です。
渡英後にやるべきことの筆頭が GP(かかりつけ医)への登録です。登録していないと、体調を崩したときに受診までのハードルが上がります。詳しくは渡英後の手続きガイドを参照してください。
5. 申請の手順
オンライン申請 → 支払い → 本人確認 → 待つ
**YMS は英国外から申請します。**日本にいる間に済ませてください。
ステップ1:オンライン申請フォーム
GOV.UK の Youth Mobility Scheme 申請ページから進みます。フォームの名称は「Temporary Work or Youth Mobility Scheme」です。
入力する主な項目:
- パスポート情報(パスポート記載どおりのローマ字で)
- 現住所・連絡先
- 渡航予定日
- 過去の渡航歴・ビザ申請歴(却下歴も正直に申告する)
- 犯罪歴の有無
ステップ2:支払い
申請料と IHS をまとめてオンラインで支払います。クレジットカード/デビットカードが使えます。決済完了メールは必ず保存してください。
ステップ3:本人確認(生体情報)
2つの方法があります。
| 方法 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| UK Immigration: ID Check アプリ | スマホでパスポートのICチップを読み取り、自撮りを送信 | 無料 |
| ビザ申請センター(VAC) | 東京・大阪などに出向いて指紋と写真を登録 | £19.20 |
**アプリが使えるなら、そちらの方が速くて安いです。**アプリはパスポートのICチップを NFC で読むため、スマホケースを外し、NFC をオンにしてから試してください。
ステップ4:書類のアップロード
- パスポート
- 資金証明(英文残高証明+通帳コピー)
- 必要に応じて ATAS 証明(特定の技術分野を学ぶ場合)
ステップ5:結果を待つ
標準で約3週間です。
ステップ6:承認後、90日以内に入国
承認されると、パスポートに90日間有効の入国用ビニエットが貼られます。**この90日以内に英国へ入国してください。**入国後、残り2年間の滞在許可は eVisa としてオンラインで管理されます。
実務メモ
- 渡航予定日の6ヶ月前から申請できます。ただしビニエットは90日で切れるので、渡航が確定してから申請する方が安全です。
- 申請フォームは途中保存できます。ただしセッション切れに備え、入力内容は手元にもメモしておいてください。
- 過去に他国も含めてビザを却下されたことがある場合、必ず申告してください。隠して発覚すると deception(虚偽申告)扱いになり、10年間の再申請禁止につながります。
6. できること・できないこと
違反すると、その場のビザ取消だけでは終わりません
できること
- ほぼすべての業種で働ける(有給・無給、フルタイム・パートタイム、職種の制限なし)
- 転職も自由(スポンサーがいないので、辞めてもビザは失効しません)
- 自費での学習(コースにより ATAS が必要)
- ボランティア活動
- 英国からの自由な出入国(ヨーロッパ旅行も可)
- 条件付きで自営業
- 設備投資 £5,000 以下
- 従業員を雇わない
- 事業用の物件を所有しない
できないこと
- プロスポーツ選手・スポーツコーチとしての就労
- 研修医・歯科研修医としての勤務(英国での資格登録があれば例外)
- 扶養家族の帯同(配偶者・子どもは別途それぞれのビザが必要)
- 公的扶助(benefits)の受給
- 延長(2年で終了。生涯1回のみ)
違反した場合に起きること
就労条件に違反した場合、影響は現在のビザにとどまりません。
- ビザの取消(curtailment)と退去
- 移民記録への記載(以後のあらゆる英国ビザ申請で参照される)
- 雇用主側にも1人あたり最大£60,000の民事制裁金
雇用主には、採用前に share code による就労権確認が法的に義務づけられています。逆に言えば、この確認をせず現金払いのみで雇おうとする求人は、それ自体が危険なサインです。
注意
YMS の2年間は、永住権に1日もカウントされません
これは YMS を検討する上で最も重要な事実です。
2年間まじめに働いて税金を納めても、ILR(永住権)までの距離は1日も縮まりません。YMS は「英国に住み続けるための第一歩」ではなく、期間限定の文化交流制度として設計されています。
長期滞在を目指すなら、2年の間に次のルートへの切り替えを成立させる必要があります。次のセクションで、その現実的な難易度を説明します。
7. 2年後どうするか:Skilled Worker への切り替え
2025年7月から、この道は明確に狭くなりました
YMS からは、英国内にいるまま Skilled Worker へ切り替えることが制度上は可能です。ただし2025年7月22日の制度改正で、難易度が大きく上がりました。
何が変わったか
| 項目 | 2025年7月21日まで | 2025年7月22日から |
|---|---|---|
| 職種の技能水準 | RQF3(高卒相当)以上 | RQF6(学士相当)以上 |
| 対象職種 | 広い | 約180職種が対象外に |
| 最低年収 | — | £41,700(または職種別相場の高い方) |
つまり、飲食・小売・事務・ホスピタリティといった、YMS で就きやすい職種の多くは、そのまま Skilled Worker に切り替えられません。
現実的にどうするか
1. 最初から RQF6 の職種を狙う
YMS の2年を「なんとなく働く」ではなく、切り替え可能な職種で職歴を作る期間として使います。IT、エンジニアリング、金融、専門職、マーケティングなど、学士相当の職種であることが前提です。
2. スポンサーライセンスを持つ企業を選ぶ
雇用主がスポンサーライセンスを持っていなければ、どれだけ評価されても切り替えられません。**応募の段階で「sponsor licence を持っているか」を確認してください。**GOV.UK が登録スポンサー一覧を公開しています。
3. 年収£41,700の壁を認識する
一般の最低年収は £41,700 で、さらに職種ごとの相場賃金(going rate)と比べて高い方を満たす必要があります。ロンドン以外では、この水準を出せる求人自体が限られます。
新卒・就業初期(new entrant)なら £33,400 まで下がる例外があります。
4. 切り替えは、必ず現ビザの有効期間内に
YMS が切れてからでは手遅れです。内定と CoS(雇用割当証明)を得たら、期限前に英国内から申請してください。
詳しくは Skilled Worker(就労ビザ)ガイド を参照してください。
切り替えられなかった場合
YMS は延長できません。期限までに次のビザが取れなければ、期限内に出国する必要があります。オーバーステイは移民記録に残り、将来の申請に長く影響します。
一度帰国して、Skilled Worker や Student として英国外から申請し直すことは可能です。
実務メモ
- 求人票に「visa sponsorship available」と書かれていても、実際にはライセンスが失効していることがあります。GOV.UK の登録スポンサー一覧で社名を検索して裏を取ってください。
- オーストラリア・カナダ・ニュージーランド国籍は YMS を1年延長(合計3年)できますが、日本国籍にこの延長はありません。
- YMS 中に英国の大学院へ進学し、Student → Graduate → Skilled Worker という経路を取る人もいます。時間はかかりますが、選択肢の一つです。
よくある質問
参考・公式情報
- GOV.UK: Youth Mobility Scheme visa
- GOV.UK: Youth Mobility Scheme – Apply(申請ページ)
- GOV.UK: Youth Mobility Scheme – Eligibility(対象国と年齢)
- GOV.UK: Immigration health surcharge(医療サーチャージ)
- GOV.UK: Visa fees(申請料一覧)
- GOV.UK: UK and Japan expand mobility schemes for young people(日本枠6,000人への拡大)
- GOV.UK: Register of licensed sponsors(スポンサー企業一覧)
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。英国移民法は 頻繁に改正され、個別の事情によって適用される規則が変わります。実際の申請にあたっては 必ず GOV.UK の最新情報を確認し、複雑な事案(過去の却下歴・オーバーステイ・ 犯罪歴がある場合など)では OISC 登録アドバイザーまたは事務弁護士にご相談ください。