イギリスで警察に届け出る方法|crime reference number の取り方

    Reporting a Crime and Getting a Crime Reference Number

    物が戻ってこなくても、届け出る理由があります。保険の請求も、パスポートの再発給も、携帯会社への申告も、警察の受理番号(crime reference number)を前提に組まれているからです。999 と 101 とオンラインの使い分けから説明します。

    2026年8月時点の情報

    いま危険な状況なら

    身に危険がある、犯人がまだその場にいる、けがをしたなら 999。 すでに終わったことの通報は 101(緊急でない警察の窓口)。銀行を名乗る不審な連絡は、いったん切って 159 にかけ直します。

    まず、この順番でやってください

    1. 1

      まずいま危険があるかどうかを判断する

      犯人がその場にいる、けがをした、暴力を受けている——このいずれかなら 999 です。迷ったらかけて構いません。

    2. 2

      危険がなければ101 かオンラインで通報する

      すでに終わった盗難の届出はこちらです。オンラインは24時間受け付けていて、英語を話す必要がありません。

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      通報の前に被害の内容をメモにまとめる

      いつ・どこで・何を・いくら分。聞かれることは決まっているので、先に書いておくと通報が早く終わります。

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      目安24時間以内警察からの連絡を待ち、受理番号を受け取る

      crime reference number は、報告が正式に受理された段階で発行されます。届いたら必ず控えてください。

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      受け取ったら保険会社・携帯会社・大使館に番号を伝える

      この番号が、あとの手続きすべての前提になります。写真に撮ってクラウドに保存しておくと安全です。

    要点

    通報の費用
    無料
    危険が進行中
    999(警察・救急・消防)
    終わったことの通報
    101 またはオンライン
    詐欺の通報
    Report Fraud(0300 123 2040)
    銀行を名乗る不審な連絡
    切ってから 159 にかけ直す
    受理番号の用途
    保険請求・パスポート再発給・携帯会社への申告

    「届け出ても、どうせ戻ってこない」——これはある程度まで事実です。ロンドンで盗まれた物の回収率は高くありません。警察も、すべての窃盗を捜査できるわけではないと認めています。

    それでも届け出る理由があります。crime reference number(犯罪受理番号) です。

    この番号は、被害を受けたことの公的な記録です。そして英国の各種手続きは、この番号があることを前提に設計されています。

    • 保険の請求:これがない請求は受け付けられません
    • パスポートの再発給:大使館が警察への届出を求めます
    • 携帯電話の契約:端末の盗難を申告する際に使います
    • 銀行の不正利用の申立て:求められることがあります

    つまり届出は、物を取り戻すための行為ではなく、そのあとの手続きを動かすための行為です。ここを取り違えて「意味がない」と省いてしまうと、数日後に全部止まります。

    1. 999 と 101 とオンラインを使い分ける

    終わったことを 999 にかけても、話が進まない

    日本語圏で最も知られていないのが 101 の存在です。「警察=999」だと思って電話し、緊急性がないと判断されて終わってしまう、という経験談をよく聞きます。

    使い分けの基準は「いま危険か」

    状況連絡先
    犯人がその場にいる/逃走中999
    けがをした、暴力を受けている999
    身に危険が迫っている999
    数時間前に盗まれた財布の届出101 / オンライン
    帰宅したら部屋が荒らされていた(犯人はいない)101 / オンライン
    詐欺の被害に気づいたReport Fraud(0300 123 2040)

    判断の軸は被害の大きさではなく、時間です。「いま起きているか、もう終わったか」だけで決まります。100万円盗まれても、それが昨日のことなら 101 です。

    迷ったら 999 でいい

    ただし、判断に迷う状況で 999 にかけることを躊躇しないでください。オペレーターが適切な窓口に振り分けてくれます。「緊急でなかったらどうしよう」と考えて通報をやめるほうが、はるかに悪い結果になります。

    オンラインが一番ラクなことが多い

    英語での電話に不安があるなら、オンライン通報を選んでください

    • 24時間いつでも出せる
    • 文章を推敲できる(翻訳ツールも使える)
    • 聞き返される緊張がない
    • 記録が手元に残る

    すでに終わった盗難であれば、オンラインで十分です。ロンドン警視庁の通報ページから手続きできます。

    補足

    犯罪ではない落とし物は、窓口が違います

    置き忘れや紛失は犯罪ではないため、盗難の通報とは別の窓口になります。ロンドン警視庁の落とし物の窓口、あるいは交通機関の遺失物センターが担当です。

    地下鉄やバスでの置き忘れは、警察ではなく TfL です。詳しくは落とし物を探すを参照してください。

    2. 通報の前に用意するもの

    聞かれることは決まっている

    通報で聞かれる内容はほぼ定型です。先にメモを作っておくと、通報そのものが短く終わります

    まとめておく情報

    • いつ:日付と、おおよその時刻(「14時から14時半の間」で十分)
    • どこで:通り名、駅名、店名。分からなければ最寄りの目印
    • 何が:盗まれた物のリスト
    • いくら分:おおよその金額(正確でなくてよい)
    • どうやって:気づいた経緯、犯人の特徴(見ていれば)

    被害品リストの書き方

    金額の大きい順に書いてください。保険請求のときに同じリストを使うので、この時点で作り込んでおくと二度手間が減ります

    品目特徴おおよその価値
    スマートフォン機種、色、IMEI があれば購入時の価格
    財布ブランド、色、中身
    カード類銀行名、枚数
    現金通貨と金額

    IMEI 番号(端末固有の番号)が分かると、スマートフォンの照会に使えます。箱や購入時のメールに記載があります。

    英語が不安な場合

    通訳を頼めます。電話がつながったら「I need a Japanese interpreter」と伝えてください。費用は自己負担ではありません。

    オンラインなら翻訳ツールを使って構いません。完璧な英語である必要はなく、事実が伝われば十分です。

    実務メモ

    • 被害に遭った場所の写真を撮っておくと、状況の説明が早い
    • 目撃者がいたら、連絡先を聞いておく
    • 防犯カメラがありそうな場所(店の軒先、駅構内)は、その旨を伝えると捜査の手がかりになる

    3. crime reference number を受け取る

    通報した瞬間には出ないことがある

    ここで多くの人がつまずきます。通報した直後に番号がもらえるとは限りません。

    オンラインで通報した場合、まず出るのは「報告を受け付けた」という参照番号です。その報告が警察内部で審査され、正式な犯罪報告(crime report)として受理された段階で crime reference number が発行されます

    目安は24時間以内に警察から連絡が来る、という運用です。番号は書面やメールで通知されます。

    受け取ったらやること

    1. 写真に撮る(紙をなくすと面倒です)
    2. クラウドに保存する(メールで自分に送るだけでも十分)
    3. 保険会社に伝える
    4. 携帯会社に伝える(端末を盗まれた場合)
    5. 大使館に伝える(パスポートを盗まれた場合)

    連絡が来ない場合

    24時間を過ぎても連絡がないなら、101 に電話して確認してください。オンライン通報の参照番号を伝えれば、状況を調べてもらえます。

    保険には請求期限があるので、待ちすぎないことが重要です。「連絡を待っていたら期限を過ぎた」は通用しません。

    通報は無料です

    念のため書いておくと、警察への通報も、番号の発行も無料です。オンライン・電話・窓口のどれでも変わりません。

    「crime reference number の取得にお金がかかる」という誤解が流布していますが、事実ではありません。費用を請求されたら、それ自体が詐欺を疑うべき状況です。

    注意

    保険の請求期限に注意してください

    多くの保険が「被害から24時間以内に警察へ届け出ること」「一定日数以内に保険会社へ連絡すること」を条件にしています。

    警察の番号が出るのを待ってから保険会社に連絡する、という順番だと間に合わないことがあります。先に保険会社へ「被害に遭い、警察に通報済み。受理番号は追って連絡する」と伝えておいてください。これで期限の問題はほぼ回避できます。

    4. 詐欺の場合は窓口が違う

    Report Fraud と 159

    詐欺(fraud)は、通常の窃盗とは別の窓口が担当します。イングランド・ウェールズ・北アイルランドでは Report Fraud が受け付けています。

    電話:0300 123 2040 サイト:https://www.reportfraud.police.uk/

    名称が変わっています(Action Fraud → Report Fraud)

    2025年12月4日に、それまでの Action FraudReport Fraud に置き換わりました(運営は City of London Police)。

    日本語で書かれた情報はまだ旧名のものが大半なので、検索して Action Fraud にたどり着いても心配は要りません。電話番号は変わっておらず、旧サイトも新サイトに転送されます。

    スコットランドは対象外です。スコットランドでの被害は Police Scotland(101) に通報してください。

    159 という短縮番号

    銀行を名乗る電話やSMSを受けたとき、いったん切って 159 にかけ直してください。これは主要銀行が参加する仕組みで、自分の銀行の詐欺対応窓口に安全につながります。

    日本語圏ではほとんど知られていませんが、知っているかどうかで結果が変わる番号です。

    覚えておく原則

    • 銀行が暗証番号やパスワードの全体を聞くことはありません
    • 銀行が「安全な口座に資金を移してください」と言うことはありません
    • 警察が「捜査協力のためにお金を引き出してください」と言うことはありません

    これらはすべて詐欺の典型的な文句です。ひとつでも当てはまったら、その場で電話を切ってください。失礼を気にする場面ではありません。

    かけ直すときの注意

    同じ端末でかけ直すと、相手が回線を保持していることがあります(かけ直したつもりが同じ詐欺犯につながる、という手口)。可能なら別の端末を使い、それが無理なら10分ほど待ってからかけてください。

    実務メモ

    • 詐欺の被害に遭ったら、まず銀行に連絡して取引の停止を依頼する
    • やり取りのSMS・メール・画面は消さずに保存する。証拠になる
    • スコットランドでは、詐欺の通報先が Police Scotland(101) になる

    5. 警察署の窓口に行く場合

    行く前に、開いているかを確認する

    対面で相談したい場合は警察署(police station)の窓口に行けますが、注意点が2つあります

    すべての警察署に窓口があるわけではない

    一般向けの受付(front counter)を持つ警察署は限られており、開いている時間も署によって違います。行く前に必ず確認してください。ロンドン警視庁のサイトで、窓口のある署と受付時間を調べられます。

    オンラインのほうが早いことが多い

    窓口は待ち時間が長くなりがちです。すでに終わった盗難の届出であれば、オンラインのほうが早く確実です。対面が要るのは、相談が複雑な場合や、証拠物を渡す必要がある場合に限られます。

    窓口に行く価値がある場面

    • 身の安全に関わる相談をしたい
    • 継続的な被害(つきまとい、嫌がらせ)について相談したい
    • オンラインで通報したが対応が進まない
    • 書面での証明が急ぎで必要

    持っていくもの

    • 身分証明書(パスポート、BRP など)
    • 被害の内容をまとめたメモ
    • すでに通報済みなら、その参照番号

    日本語の通訳が必要なら、窓口でもその旨を伝えてください。手配されるまで時間がかかることがあるので、可能なら事前に電話で伝えておくとスムーズです。

    よくある質問

    参考・公式情報

    料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

    本記事は手続きの流れを説明する情報提供であり、法的な助言ではありません。 警察・大使館・保険会社の運用や手数料は改定されることがあります (領事手数料は 毎年4月1日 に改定されます)。実際に手続きをする前に、各機関の公式ページで最新の 必要書類と金額をご確認ください。事件性のある被害や、身の安全に関わる 状況では、まず警察に相談してください。

    ほかのトラブル対応ガイド

    Theftスリ・ひったくりに遭った直後にやること最初の30分で決まります。カードを止める順番、スマホを遠隔ロックする手順、そして絶対にやってはいけない「位置情報を頼りに自分で取り返しに行く」こと。
    Passportパスポートを失くした・盗まれた帰国できなくなるわけではありません。警察の届出証明を取り、大使館で「帰国のための渡航書」を出してもらう道があります。必要書類と順番を、締切から逆算して。
    Lost Property落とし物を探す(地下鉄・バス・タクシー)盗まれたのではなく置き忘れたなら、探す場所は警察ではありません。TfL の遺失物センターは保管3ヶ月。バスは最初の3日だけ営業所に直接聞くほうが早い、という分岐まで。
    Stalkingつきまとい・ストーカー被害に遭ったら我慢して耐えるものではありません。通報するか決める前から相談できる専門窓口があります。声を出せないまま999を呼ぶ方法と、安全を確保してから記録を取る順番。
    Scams詐欺に遭ったら(銀行の返金義務)自分で振り込んでしまっても、諦めるのはまだ早い。2024年10月から銀行に返金義務が課されました。上限£85,000。そして159という、知らないと損をする番号の話。
    Insurance保険に請求する(旅行保険・カード付帯)請求が通らない理由は、補償の中身ではなく手続きの順番にあります。受理番号を待つと期限を過ぎる、という落とし穴と、免責額を先に計算すべき理由。
    Embassy大使館にできること・できないことパスポートの発給と領事面会はできます。弁護士費用の負担と裁判の通訳はできません。線を先に知っておくほうが、いざというとき確実に頼れます。