イギリスで警察に届け出る方法|crime reference number の取り方
Reporting a Crime and Getting a Crime Reference Number
物が戻ってこなくても、届け出る理由があります。保険の請求も、パスポートの再発給も、携帯会社への申告も、警察の受理番号(crime reference number)を前提に組まれているからです。999 と 101 とオンラインの使い分けから説明します。
いま危険な状況なら
身に危険がある、犯人がまだその場にいる、けがをしたなら 999。 すでに終わったことの通報は 101(緊急でない警察の窓口)。銀行を名乗る不審な連絡は、いったん切って 159 にかけ直します。
まず、この順番でやってください
- 1
まずいま危険があるかどうかを判断する
犯人がその場にいる、けがをした、暴力を受けている——このいずれかなら 999 です。迷ったらかけて構いません。
- 2
危険がなければ101 かオンラインで通報する
すでに終わった盗難の届出はこちらです。オンラインは24時間受け付けていて、英語を話す必要がありません。
- 3
通報の前に被害の内容をメモにまとめる
いつ・どこで・何を・いくら分。聞かれることは決まっているので、先に書いておくと通報が早く終わります。
- 4
目安24時間以内警察からの連絡を待ち、受理番号を受け取る
crime reference number は、報告が正式に受理された段階で発行されます。届いたら必ず控えてください。
- 5
受け取ったら保険会社・携帯会社・大使館に番号を伝える
この番号が、あとの手続きすべての前提になります。写真に撮ってクラウドに保存しておくと安全です。
要点
- 通報の費用
- 無料
- 危険が進行中
- 999(警察・救急・消防)
- 終わったことの通報
- 101 またはオンライン
- 詐欺の通報
- Report Fraud(0300 123 2040)
- 銀行を名乗る不審な連絡
- 切ってから 159 にかけ直す
- 受理番号の用途
- 保険請求・パスポート再発給・携帯会社への申告
「届け出ても、どうせ戻ってこない」——これはある程度まで事実です。ロンドンで盗まれた物の回収率は高くありません。警察も、すべての窃盗を捜査できるわけではないと認めています。
それでも届け出る理由があります。crime reference number(犯罪受理番号) です。
この番号は、被害を受けたことの公的な記録です。そして英国の各種手続きは、この番号があることを前提に設計されています。
- 保険の請求:これがない請求は受け付けられません
- パスポートの再発給:大使館が警察への届出を求めます
- 携帯電話の契約:端末の盗難を申告する際に使います
- 銀行の不正利用の申立て:求められることがあります
つまり届出は、物を取り戻すための行為ではなく、そのあとの手続きを動かすための行為です。ここを取り違えて「意味がない」と省いてしまうと、数日後に全部止まります。
目次
1. 999 と 101 とオンラインを使い分ける
終わったことを 999 にかけても、話が進まない
日本語圏で最も知られていないのが 101 の存在です。「警察=999」だと思って電話し、緊急性がないと判断されて終わってしまう、という経験談をよく聞きます。
使い分けの基準は「いま危険か」
| 状況 | 連絡先 |
|---|---|
| 犯人がその場にいる/逃走中 | 999 |
| けがをした、暴力を受けている | 999 |
| 身に危険が迫っている | 999 |
| 数時間前に盗まれた財布の届出 | 101 / オンライン |
| 帰宅したら部屋が荒らされていた(犯人はいない) | 101 / オンライン |
| 詐欺の被害に気づいた | Report Fraud(0300 123 2040) |
判断の軸は被害の大きさではなく、時間です。「いま起きているか、もう終わったか」だけで決まります。100万円盗まれても、それが昨日のことなら 101 です。
迷ったら 999 でいい
ただし、判断に迷う状況で 999 にかけることを躊躇しないでください。オペレーターが適切な窓口に振り分けてくれます。「緊急でなかったらどうしよう」と考えて通報をやめるほうが、はるかに悪い結果になります。
オンラインが一番ラクなことが多い
英語での電話に不安があるなら、オンライン通報を選んでください。
- 24時間いつでも出せる
- 文章を推敲できる(翻訳ツールも使える)
- 聞き返される緊張がない
- 記録が手元に残る
すでに終わった盗難であれば、オンラインで十分です。ロンドン警視庁の通報ページから手続きできます。
2. 通報の前に用意するもの
聞かれることは決まっている
通報で聞かれる内容はほぼ定型です。先にメモを作っておくと、通報そのものが短く終わります。
まとめておく情報
- いつ:日付と、おおよその時刻(「14時から14時半の間」で十分)
- どこで:通り名、駅名、店名。分からなければ最寄りの目印
- 何が:盗まれた物のリスト
- いくら分:おおよその金額(正確でなくてよい)
- どうやって:気づいた経緯、犯人の特徴(見ていれば)
被害品リストの書き方
金額の大きい順に書いてください。保険請求のときに同じリストを使うので、この時点で作り込んでおくと二度手間が減ります。
| 品目 | 特徴 | おおよその価値 |
|---|---|---|
| スマートフォン | 機種、色、IMEI があれば | 購入時の価格 |
| 財布 | ブランド、色、中身 | |
| カード類 | 銀行名、枚数 | |
| 現金 | 通貨と金額 |
IMEI 番号(端末固有の番号)が分かると、スマートフォンの照会に使えます。箱や購入時のメールに記載があります。
英語が不安な場合
通訳を頼めます。電話がつながったら「I need a Japanese interpreter」と伝えてください。費用は自己負担ではありません。
オンラインなら翻訳ツールを使って構いません。完璧な英語である必要はなく、事実が伝われば十分です。
実務メモ
- 被害に遭った場所の写真を撮っておくと、状況の説明が早い
- 目撃者がいたら、連絡先を聞いておく
- 防犯カメラがありそうな場所(店の軒先、駅構内)は、その旨を伝えると捜査の手がかりになる
3. crime reference number を受け取る
通報した瞬間には出ないことがある
ここで多くの人がつまずきます。通報した直後に番号がもらえるとは限りません。
オンラインで通報した場合、まず出るのは「報告を受け付けた」という参照番号です。その報告が警察内部で審査され、正式な犯罪報告(crime report)として受理された段階で crime reference number が発行されます。
目安は24時間以内に警察から連絡が来る、という運用です。番号は書面やメールで通知されます。
受け取ったらやること
- 写真に撮る(紙をなくすと面倒です)
- クラウドに保存する(メールで自分に送るだけでも十分)
- 保険会社に伝える
- 携帯会社に伝える(端末を盗まれた場合)
- 大使館に伝える(パスポートを盗まれた場合)
連絡が来ない場合
24時間を過ぎても連絡がないなら、101 に電話して確認してください。オンライン通報の参照番号を伝えれば、状況を調べてもらえます。
保険には請求期限があるので、待ちすぎないことが重要です。「連絡を待っていたら期限を過ぎた」は通用しません。
通報は無料です
念のため書いておくと、警察への通報も、番号の発行も無料です。オンライン・電話・窓口のどれでも変わりません。
「crime reference number の取得にお金がかかる」という誤解が流布していますが、事実ではありません。費用を請求されたら、それ自体が詐欺を疑うべき状況です。
注意
保険の請求期限に注意してください
多くの保険が「被害から24時間以内に警察へ届け出ること」「一定日数以内に保険会社へ連絡すること」を条件にしています。
警察の番号が出るのを待ってから保険会社に連絡する、という順番だと間に合わないことがあります。先に保険会社へ「被害に遭い、警察に通報済み。受理番号は追って連絡する」と伝えておいてください。これで期限の問題はほぼ回避できます。
4. 詐欺の場合は窓口が違う
Report Fraud と 159
詐欺(fraud)は、通常の窃盗とは別の窓口が担当します。イングランド・ウェールズ・北アイルランドでは Report Fraud が受け付けています。
電話:0300 123 2040 サイト:https://www.reportfraud.police.uk/
名称が変わっています(Action Fraud → Report Fraud)
2025年12月4日に、それまでの Action Fraud が Report Fraud に置き換わりました(運営は City of London Police)。
日本語で書かれた情報はまだ旧名のものが大半なので、検索して Action Fraud にたどり着いても心配は要りません。電話番号は変わっておらず、旧サイトも新サイトに転送されます。
スコットランドは対象外です。スコットランドでの被害は Police Scotland(101) に通報してください。
159 という短縮番号
銀行を名乗る電話やSMSを受けたとき、いったん切って 159 にかけ直してください。これは主要銀行が参加する仕組みで、自分の銀行の詐欺対応窓口に安全につながります。
日本語圏ではほとんど知られていませんが、知っているかどうかで結果が変わる番号です。
覚えておく原則
- 銀行が暗証番号やパスワードの全体を聞くことはありません
- 銀行が「安全な口座に資金を移してください」と言うことはありません
- 警察が「捜査協力のためにお金を引き出してください」と言うことはありません
これらはすべて詐欺の典型的な文句です。ひとつでも当てはまったら、その場で電話を切ってください。失礼を気にする場面ではありません。
かけ直すときの注意
同じ端末でかけ直すと、相手が回線を保持していることがあります(かけ直したつもりが同じ詐欺犯につながる、という手口)。可能なら別の端末を使い、それが無理なら10分ほど待ってからかけてください。
実務メモ
- 詐欺の被害に遭ったら、まず銀行に連絡して取引の停止を依頼する
- やり取りのSMS・メール・画面は消さずに保存する。証拠になる
- スコットランドでは、詐欺の通報先が Police Scotland(101) になる
5. 警察署の窓口に行く場合
行く前に、開いているかを確認する
対面で相談したい場合は警察署(police station)の窓口に行けますが、注意点が2つあります。
すべての警察署に窓口があるわけではない
一般向けの受付(front counter)を持つ警察署は限られており、開いている時間も署によって違います。行く前に必ず確認してください。ロンドン警視庁のサイトで、窓口のある署と受付時間を調べられます。
オンラインのほうが早いことが多い
窓口は待ち時間が長くなりがちです。すでに終わった盗難の届出であれば、オンラインのほうが早く確実です。対面が要るのは、相談が複雑な場合や、証拠物を渡す必要がある場合に限られます。
窓口に行く価値がある場面
- 身の安全に関わる相談をしたい
- 継続的な被害(つきまとい、嫌がらせ)について相談したい
- オンラインで通報したが対応が進まない
- 書面での証明が急ぎで必要
持っていくもの
- 身分証明書(パスポート、BRP など)
- 被害の内容をまとめたメモ
- すでに通報済みなら、その参照番号
日本語の通訳が必要なら、窓口でもその旨を伝えてください。手配されるまで時間がかかることがあるので、可能なら事前に電話で伝えておくとスムーズです。
よくある質問
参考・公式情報
- Metropolitan Police - Report a crime
- Metropolitan Police - Report lost or found property
- Transport for London - Lost property
- Stop Scams UK - STOP, HANG UP, CALL 159
- Report Fraud - UK's home for reporting cyber crime & fraud
- City of London Police - Report Fraud launches
- FCA - Fraudulent payments(返金ルール)
- 外務省 - 海外安全ホームページ
- 在英国日本国大使館 - 旅券(パスポート)
- 在英国日本国大使館 - 緊急連絡先
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
本記事は手続きの流れを説明する情報提供であり、法的な助言ではありません。 警察・大使館・保険会社の運用や手数料は改定されることがあります (領事手数料は 毎年4月1日 に改定されます)。実際に手続きをする前に、各機関の公式ページで最新の 必要書類と金額をご確認ください。事件性のある被害や、身の安全に関わる 状況では、まず警察に相談してください。