シェイクスピアズ・グローブ劇場Shakespeare’s Globe Guided Tour
英国演劇の心臓部を体験するガイドツアー
- 料金
- 大人 £22〜 / 子ども £15〜
- 所要時間
- 50分
- 最寄駅
- London Bridge
- 開館時間
- ツアーは9:30〜 30分おき (公演期間は午後が減る)
料金・開館時間は変更されることがあります。訪問前に 公式サイト で最新情報をご確認ください。
シェイクスピアズ・グローブ劇場のガイドツアーは、16世紀末のロンドンと劇場文化をわかりやすく紹介する約50分の英語ガイドツアーです。専門ガイドが建築的特徴や歴史、演劇の背景を臨場感ある語り口で解説し、ステージファイトなどのデモも実施。英語ツアーながら構造や動きで理解しやすく、舞台芸術や歴史に関心のある旅行者に特に人気です。
このページの内容
着いてからの歩き方
シェイクスピアズ・グローブ劇場に着いたら、この順に見ていくと迷いません。
- コツ
ツアーと観劇は別物
ガイドツアーは40分で、30分おきに通年運行しています(リハーサルや公演で休止あり)。一方、実際の芝居が上演されるのは5〜10月の屋外シーズン。建物の仕組みを知りたいならツアー、体験したいなら公演です。両方できるなら、ツアーで予習してから観るのが一番効きます。
- 見どころ
屋根のない劇場
1599年の劇場を、当時の工法で復元した建物です。中央が吹き抜けで、日中の自然光だけで上演します。そのため公演は昼から夕方に行われ、照明で客席を暗くすることができません。役者と観客が同じ明るさの中にいる——これが現代の劇場と決定的に違う点です。
- 見どころ
茅葺き屋根
客席部分を覆う屋根は茅葺きで、1666年のロンドン大火以降ロンドンで唯一許可されたものです。復元にあたって特別な認可を取り、内部にスプリンクラーを仕込んでいます。初代グローブ座は1613年、大砲の演出で茅に引火して全焼しました。
- コツ
£5の立ち見という選択肢
「グラウンドリング」と呼ばれる舞台前の立ち見席が£5。ロンドンの舞台で最も安い部類の席です。屋根がないので雨が降れば濡れ、傘はさせません(後ろが見えなくなるため)。それでも、役者が目の前で汗をかくのを見上げる体験はここにしかありません。毎週金曜11時に翌週分が売り出されます。
- 見落としやすい
元の場所ではない
この建物は初代グローブ座の跡地そのものではなく、約230m離れた場所に建っています。本来の跡地は現在の建物の下で、道路に印がついているだけ。復元を主導したのはアメリカ人俳優サム・ワナメイカーで、彼は完成を見ずに1993年に亡くなりました。
一人のアメリカ人が40年かけて建てた
いまテムズ川の南岸に建つグローブ座は、1997年5月22日に開場した新しい建物です。ただしその実現には、一人の執念が要りました。
サム・ワナメイカーはアメリカの俳優でした。1949年にロンドンを訪れた際、シェイクスピアの劇場があった場所に黒い記念板が1枚あるだけだったことに衝撃を受けます。世界で最も上演される劇作家の劇場が、跡形もなく忘れられている。
彼は再建運動を始めました。しかし賛同は集まりません。「アメリカ人が英国の文化遺産に口を出すのか」という反発もありました。資金集めは難航し、地元の反対運動にも遭います。
それでも彼は40年近く運動を続けました。そして1993年、開場を見ることなく亡くなります。建設途中でした。
開場したのはその4年後です。構想を始めてから約45年が経っていました。
現在、隣接する屋内劇場はサム・ワナメイカー・プレイハウスと名付けられています。彼の名を冠したこの劇場は、蝋燭の灯りだけで上演を行う空間です。
大火のあとロンドンで唯一の茅葺き屋根
この劇場は、17世紀の工法をできるだけ忠実に再現して建てられました。無垢のオーク材、木釘、石灰漆喰。そして茅葺きの屋根です。
ここで法律上の問題が生じました。1666年のロンドン大火以降、ロンドン市内では茅葺きの建物が禁じられています。燃え広がる原因になったためです。300年以上守られてきた規制でした。
グローブ座は特別な許可を得て、この規制の例外になりました。結果として、大火以来ロンドンに建った唯一の茅葺き建築です。ただし防火対策として、茅の下にはスプリンクラーと防火層が入っています。
もうひとつの特徴が屋根のない中央部です。舞台前の平土間(ヤード)は吹き抜けで、立ち見の観客は雨に濡れます。これも当時の再現で、上演は雨天でも決行されます。
さらに照明の制約もあります。屋外劇場なので、夏の公演は自然光の下で行われます。役者と観客が同じ明るさで互いの顔を見ながら進む——これがシェイクスピアの劇が書かれた条件でした。台詞の多くが観客への語りかけである理由も、この構造から理解できます。
元の劇場跡地からは約200m離れています。実際の跡地には別の建物が建っていたため、近くの用地に建てられました。
豆知識
- 初代グローブ座は木材を運んで建てられた。1599年、劇団は前の劇場の地主と揉め、建物を解体して木材をテムズ川の対岸へ運び、新しく組み直しました。深夜に実行されたと伝えられます。
- 1613年に全焼している。『ヘンリー8世』の上演中、効果音として撃った大砲の火の粉が茅葺きに移り、劇場は焼け落ちました。負傷者はほぼ出ず、ある男のズボンが燃えたのをビールで消したという記録が残ります。翌年に再建され、1644年に取り壊されました。
- 立ち見席が最も安く、最も舞台に近い。ヤードの立見券は破格の安さですが、2〜3時間立ち続けることになります。当時の庶民と同じ見方です。
- 上演は夏が中心。屋根がないため、屋外劇場の公演期はおおむね春から秋です。冬は隣の屋内劇場が使われます。
見学と観劇は別のもの
ここにはガイドツアーと実際の観劇という2つの体験があり、内容がまったく違います。
ガイドツアーは劇場の構造と歴史の解説が中心で、日中に行われます。ただし公演やリハーサルが入っている時間は、劇場内に入れる範囲が狭まります。日によって案内される場所が変わるので、期待しすぎないほうがよいです。
観劇のほうが体験としては圧倒的です。立ち見券は安価ですが、開演から2〜3時間立ち続け、雨が降れば濡れます。傘は視界を遮るので使えません。雨具(フード付きの上着)を持っていくのが正解です。
座席券もありますが、木のベンチで背もたれがありません。クッションの貸出があるので借りたほうが楽です。
英語の上演で字幕はありません。あらすじを事前に知っておくと理解が段違いに変わります。逆に言えば、筋を知っていれば英語が完璧でなくても十分に楽しめます。
テート・モダンとミレニアム・ブリッジがすぐ隣で、川沿いを歩く行程に組み込みやすい立地です。
場所とアクセス
シェイクスピアズ・グローブ劇場が出てくるコラム
このスポットにまつわる歴史や逸話を、1本ずつ掘り下げた読み物です。

連載「グローブ座物語」
グローブ座の再建は1949年、醸造所の壁の煤けた銘板から始まった——工事のさなか、本物が駐車場の下から出た 第4回
1949年に煤けた銘板を見たアメリカ人俳優サム・ワナメーカーは、イギリスにとどまり、グローブ座を建て直そうとした。土地を借りるまでに33年、区議会との争いに4年。ようやく工事が本格化した1989年、本物のグローブ座の基礎が、あの銘板のすぐ裏の駐車場から出てくる。掘れたのはほんの一部で、劇場の形は学者たちの投票で決まった。ワナメーカーは完成を見ずに死に、劇場は1997年6月に開場した。連載「グローブ座物語」の最終回。

連載「グローブ座物語」
取り壊されたグローブ座は、ビール醸造所の下に消えた——1909年の銘板に、学者は「場所が違う」と言った 第3回
1642年に芝居を禁じられたグローブ座は、借地の期限が切れたあと取り壊され、跡には家が建った。最後にその姿を描いた版画は、劇場の名札を取り違えていた。やがて跡地はビール醸造所にのみ込まれ、1909年に醸造所の壁へ「グローブ座ここにありき」の銘板が掛かると、同じ年、アメリカの学者が「劇場は道の向かい側だ」と反論した。ロンドンでいちばん有名な劇場は、なぜ場所さえ分からなくなったのか。連載「グローブ座物語」の第3回。

連載「グローブ座物語」
グローブ座は1613年、祝砲の火で焼け落ちた——ズボンの火を瓶のビールで消した男と、議会の上演禁止令 第2回
1613年6月29日、新作『ヘンリー八世』の上演中、王の登場を祝って放った小さな大砲の詰め物が、グローブ座の藁葺き屋根に落ちた。客は芝居に見入って煙に気づかず、劇場は1時間あまりで焼け落ちた。死者は出ず、ズボンに火がついた男は瓶のビールで消したと、外交官が甥への手紙に書き残している。劇場は1年後に瓦屋根で建て直されたが、1642年、内戦の始まりとともに、議会の命令で芝居そのものを止められた。連載「グローブ座物語」の第2回。

連載「グローブ座物語」
グローブ座の材木は1598年、地主の留守に運び出された——訴状には「剣と斧を持った12人」 第1回
シェイクスピアのグローブ座は、新しい材木で建てた劇場ではない。借地の期限が切れ、移転先の計画も住民の反対で断たれた劇団は、1598年12月28日、地主の留守を狙って自分たちの劇場を解体し、その材木をテムズ川の南へ運んで組み直した。地主は「剣、短剣、斧で身を固めた12人」に壊されたと訴え、建物に700ポンド、踏み荒らされた芝に40シリングの値を付けたが、一度も勝てなかった。連載「グローブ座物語」の第1回。
みんなの口コミ
シェイクスピアズ・グローブ劇場を訪れた感想や、これから行く人に役立つコツがあれば教えてください。