セント・ポール大聖堂St Paul’s Cathedral
ロンドンの象徴的な大聖堂
- 料金
- 大人 £27〜 / 子ども £10.5〜
- 所要時間
- 2時間
- 最寄駅
- セント・ポール駅 徒歩2分
- 休館日
- 日日曜は礼拝のみで、見学はできない(ドームの回廊は時期により公開) 2026年9月時点
- 開館時間
- 8:30〜16:30 (最終入場16:00)
料金・開館時間は変更されることがあります。訪問前に 公式サイト で最新情報をご確認ください。
17世紀に建てられた英国国教会の大聖堂で、著名な建築家クリストファー・レンの傑作。高さ111mの大ドームはロンドンのランドマークで、展望ギャラリーからは市街地を一望できる。内部には豪華なモザイクやステンドグラスがあり、歴史的な葬儀や結婚式も行われてきた。地下には聖職者や著名人の墓もある。
セント・ポール大聖堂の所要時間と回り方
階段を上らずに床とクリプトだけなら1時間、ドームの3つの回廊まで上るなら2時間、17時の夕べの礼拝まで残るなら半日です。
- 見学は月〜土曜。8:30に開き、最終入場はふだん16:00です。日曜は礼拝のため見学できません(2026年は10月25日までの日曜だけ、ドームの回廊を公開)。
- 大人£27。ドームの回廊とマルチメディアガイドも料金に含まれます。
- ドームにエレベーターはなく、上るなら階段だけです。
1時間で回るなら
階段は上らずに、身廊からドームの真下、聖歌隊席を見て、地下のクリプトでレンとネルソンの墓へ。
- 1
身廊とドームの真下
大聖堂の床(Cathedral Floor)15分
入口から身廊を進むと、ドームの真下に出ます。真上に見える絵がドームの内側です。
- 2
聖歌隊席(クワイア)
ドームの東側10分
天井と壁を埋めるモザイクは、19世紀の終わりから加えられたものです。
- 3
ホルマン・ハント『世界の光』
大聖堂の床5分
扉を叩くキリストの絵。扉には外側の取っ手が描かれていません。
- 4
クリプト
地下20分
設計者クリストファー・レンの墓碑には「記念碑を求めるなら、周りを見よ」の銘。ネルソン提督とウェリントン公の墓もここにあります。
各地点の分数は見る時間の目安で、合計に館内の移動を足すと1時間になります。
2時間で回るなら
先にドームの3つの回廊(最上部まで528段)へ上がり、下りてから床と聖歌隊席、クリプトを見ます。
- 1
ウィスパリング・ギャラリー
ドームの内側(257段)15分
壁際で小声で話すと、反対側の壁まで声が届く回廊です。
- 2
ストーン・ギャラリー
ドームの外側(376段)10分
外に出て、ドームの周りから街を見渡す最初の展望場所。
- 3
ゴールデン・ギャラリー
ドームの頂部(528段)15分
最上部の狭い回廊。混む時間は人数を絞ることがあります。
- 4
身廊、ドームの真下、聖歌隊席
大聖堂の床20分
下りてから、真上に見上げたドームの内側と、聖歌隊席のモザイクを。
- 5
ホルマン・ハント『世界の光』
大聖堂の床5分
扉に外側の取っ手が無いことを確かめてください。
- 6
クリプト
地下20分
レン、ネルソン、ウェリントンの墓。
ドームの回廊は9:30から(最終16:15)。床を先に見ると脚が残らないので、上るなら先に上がってください。
各地点の分数は見る時間の目安で、合計に館内の移動を足すと2時間になります。
半日で回るなら
午後にドームと見学を済ませ、見学が終わったあと17:00からの夕べの礼拝(無料)に参列します。
- 1
ドームの3つの回廊
257〜528段40分
最終入場16:15より前に上がりはじめてください。
- 2
大聖堂の床と聖歌隊席
大聖堂の床30分
ドームの内側、聖歌隊席のモザイク、『世界の光』。
- 3
クリプト
地下30分
レン、ネルソン、ウェリントンの墓。
- 4
休憩
周辺30分
見学は16:30ごろに終わります。礼拝まで時間を空けておきます。
- 5
夕べの礼拝(Choral Evensong)
大聖堂60分
ほぼ毎日17:00から約45分(日曜は15:00)。無料で予約は要りません。見学ではなく礼拝なので、最後まで席にいる前提で。日によって別の礼拝になることがあります。
各地点の分数は見る時間の目安で、合計に館内の移動を足すと半日になります。
2026年10月5日に公式の館内図と案内で確かめた内容です。展示替え・作品の貸し出し・改装で部屋や順路は変わるので、当日は館内の案内も見てください(St Paul's Cathedral – Planning your visit、St Paul's Cathedral – Visit us、St Paul's Cathedral – Choral Evensong)。
このページの内容
着いてからの歩き方
セント・ポール大聖堂に着いたら、この順に見ていくと迷いません。
- コツ
ドームに上るなら体力を先に配分する
上りは3段階で、ウィスパリング・ギャラリーまで257段、ストーン・ギャラリーまで376段、最上部のゴールデン・ギャラリーまで528段。エレベーターはありません。先に地上階をじっくり見ると足が残らないので、上る予定なら早めに階段へ向かうのがおすすめです。
- 見どころ
ウィスパリング・ギャラリー
ドーム内側をぐるりと回る回廊。壁に向かって小さな声でささやくと、30m以上離れた対面の壁際にいる人にはっきり届きます。ドームの曲面が音を壁沿いに運ぶためです。2019年の事故で長く閉鎖されていましたが、安全用のワイヤーグリルを設置して再開しました。
- 見どころ
ゴールデン・ギャラリーからの眺め
ドームの最上部、地上85mの外周。テムズ川とシティの高層ビル群を見下ろせます。混雑時は人数制限がかかって上れないことがあるので、行くなら早い時間に。最後の区間は階段が急に狭く、鉄骨がむき出しになります。
- 見落としやすい
クリプトのレンの墓碑
地下のクリプトに、設計者クリストファー・レン自身が眠っています。墓碑にはラテン語で「読者よ、彼の記念碑を求めるならば、周囲を見回せ」と刻まれている——つまり大聖堂そのものが墓碑だ、という意味です。ネルソン提督とウェリントン公の巨大な棺も同じ地下にあります。
- 見どころ
『世界の光』
ウィリアム・ホルマン・ハントによるラファエル前派の代表作。扉を叩くキリストが描かれていますが、その扉には取っ手がありません。内側からしか開かないという意味が込められています。北側廊にあり、素通りされがちですが立ち止まる価値があります。
- コツ
礼拝には無料で参加できる
見学には£27(大人)かかりますが、日々の礼拝は誰でも無料で入れます。夕方のイブンソングは聖歌隊の歌が聴ける時間帯。ただし観光としての見学はできず、席に着いて礼拝に参加する形になります。
歴史
1666年9月、ロンドン大火は市の中心部を焼き尽くしました。焼失した建物のなかに、当時すでに老朽化していた中世ゴシックの旧セント・ポール大聖堂があります。
皮肉なのは時期です。建築家クリストファー・レンは旧聖堂の改修案としてドームを載せる構想を提出しており、それが原則承認されたのが1666年8月27日。その1週間後に街が燃えました。改修する建物そのものが消えたことで、彼は結果として、ゼロから設計する機会を手にします。
ただし話はそこから簡単に進みません。レンの案は聖職者や委員会に何度も却下されました。最終的に着工にこぎつけたのは1675年で、大火から9年が経っています。ドームの形状も試行錯誤が続き、現在の姿が固まったのは1697年ごろ。着工から22年後にまだ屋根の形を変えていたことになります。
完成を議会が認定したのは1710年12月25日。着工から35年、レンはこのとき78歳でした。ヨーロッパの大聖堂が数世代かけて建つのが普通だった時代に、一人の建築家が着工から完成まで見届けたのは異例です。
いま地下のクリプトに彼が眠っています。墓碑にはラテン語でこう刻まれています——「読者よ、彼の記念碑を求めるならば、周囲を見回せ」。
1940年12月29日、この建物は燃え残った
セント・ポールがロンドンの象徴になった決定的な夜があります。1940年12月29日から30日にかけて、ブリッツ114夜目の空襲です。
この夜、ドイツ軍はシティ一帯に焼夷弾を大量に投下しました。周囲の街区は火の海になり、大聖堂にも28発の焼夷弾が命中します。ドーム外装の鉛が熱で溶け始めました。
チャーチルは「何としても守れ」と命じています。それを実行したのがセント・ポール・ウォッチと呼ばれる志願者たちでした。建築家や職員を含む民間人が交代で建物に常駐し、屋根裏や回廊を巡回して落ちてきた焼夷弾を消して回る。この夜、ドームに刺さった1発は内側へ落ちれば手の届かない木組みの中で燃え上がるところでしたが、外側のストーン・ギャラリーへ転がり落ち、すぐに消し止められました。
明け方、デイリー・メール紙のカメラマンハーバート・メイソンが、社屋の屋上から煙の切れ間に浮かぶドームを撮影します。この写真は「War's Greatest Picture」という見出しで一面に載り、戦時下の英国を象徴する1枚になりました。
ドームを見上げるとき、この建物が燃えなかったから今そこにあるという事実を思い出すと、見え方が少し変わります。
豆知識
- ドームは3重構造で、外から見える形と中から見える形は別物。内側の見学者が見上げる天井、外から見える鉛葺きの大ドーム、そしてその間に隠れた煉瓦の円錐——荷重を支えているのは中央の円錐です。内外で美しく見える比率が違うため、レンは両方を成立させるために3つ作りました。
- ささやきが届くのは、音が壁を伝うから。ウィスパリング・ギャラリーで壁に向かって小声で話すと、30m以上離れた対面に届きます。音が空間を横切るのではなく、ドームの滑らかな曲面に沿って回り込むためです。設計時に意図された効果ではなく、形状の副産物でした。
- 『世界の光』の扉には取っ手がない。ホルマン・ハントが描いた、扉を叩くキリストの絵。取っ手が省かれているのは描き忘れではなく、扉は内側からしか開かないという意味を込めたためです。画家自身がそう説明しています。北側廊にあります。
- チャールズとダイアナの結婚式がここで行われたのは異例。王室の結婚式は通常ウェストミンスター寺院です。1981年にセント・ポールが選ばれたのは、単純に参列者をより多く収容できたからでした。
上るなら、体力の配分を先に決める
ドームの展望は3段階で、エレベーターはありません。ウィスパリング・ギャラリーまで257段、ストーン・ギャラリーまで376段、最上部のゴールデン・ギャラリーまで528段です。
先に地上階の見学をじっくりやると、階段に取りかかる頃には足が残っていません。上る予定があるなら早い段階で階段へ向かうのが現実的です。最後の区間は通路が急に狭くなり、鉄骨がむき出しの空間を上ります。閉所や高所が苦手なら、ストーン・ギャラリーで引き返す判断も十分ありです。
見学には入場料がかかりますが、礼拝への参加は無料です。夕方のイブンソングでは聖歌隊の歌が聴けます。ただし観光としての見学はできません。
なおクリプトは階段が少なく、ここだけなら体力を使わずに回れます。レンの墓碑、ネルソン提督とウェリントン公の巨大な棺はすべて地下です。
場所とアクセス
セント・ポール大聖堂が出てくるコラム
このスポットにまつわる歴史や逸話を、1本ずつ掘り下げた読み物です。

連載「クリストファー・レン物語」
セント・ポール大聖堂のドームの中には、もうひとつドームが隠されている——着工から完成まで35年 第3回
51の教区教会を再建してもなお、クリストファー・レンの最大の仕事は残っていた。焼け落ちた旧セント・ポール大聖堂の再建である。国王への提出案は二転三転し、着工から完成まで35年。あの美しいドームの内側には、誰も知らない「もうひとつのドーム」が隠されていた。全3回連載、いよいよ最終回。

連載「クリストファー・レン物語」
ウェディングケーキの形はセント・ブライド教会の尖塔から生まれた——レンが石炭税で51の教会を建て直した話 第2回
1666年のロンドン大火で86の教区教会が焼け落ちた。国王直属の建築総監となったクリストファー・レンが引き受けたのは、そのうち51の教会を石炭税というユニークな財源で甦らせるという仕事だった。今日私たちが結婚式で食べる「あの形のケーキ」も、実はこの再建プロジェクトの副産物だったことをご存じだろうか。全3回連載の第2回。

連載「クリストファー・レン物語」
クリストファー・レンは40代まで建築をしたことがない天文学者だった——犬に阿片を注射していた男 第1回
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みんなの口コミ
セント・ポール大聖堂を訪れた感想や、これから行く人に役立つコツがあれば教えてください。