初めてのウエストエンド観劇|当日の流れを開場から終演まで
Your First Night at a West End Theatre
チケットは取れた。あとは当日どう動くか。劇場に着いてから席を立つまでを時系列でたどります。休憩で客席が空になる理由と、いつ帰ってよいのかの話も。
要点
- 誰向けか
- ウエストエンドの劇場に初めて行く人
- いつ読むか
- チケットを取ったあと、観劇の前日か当日
- 劇場に着く時刻
- 開演の30分前が目安。小さい劇場ほど入口が混みます
- いちばんの落とし穴
- 休憩で客席がほぼ空になるので、終演と間違えやすい
チケットを予約したあと、意外と情報が見つからないのが「当日、実際に何が起きるのか」です。何時に着けばよいのか、チケットは紙で要るのか、休憩のあいだ何をすればよいのか。作品の情報はいくらでも出てくるのに、この手のことは誰も書いてくれません。
この記事では、劇場に着いてから外に出るまでを時系列で追います。この記事でいちばん伝えたいのは3番目の「休憩」の項です。ここだけは、知らないと本当に途中で帰ることになります。
目次
1. 出かける前に
持ち物は多くありません。
- チケット:スマートフォンの画面で入場できる劇場が大半です。予約時に届いたメールのQRコードやリンクを、劇場に着く前に一度開いておいてください。地下の劇場や古い建物では電波が弱いことがあり、入口で読み込めずに焦ることがあります。スクリーンショットを撮っておくと確実です。
- 羽織るもの:劇場内は空調が効いていて、夏でも肌寒く感じることがあります。
- 荷物は最小限に:多くの劇場はスーツケースなど大きな荷物を持ち込めません。クロークがある劇場でも有料だったり、そもそも預かってもらえなかったりします。空港から直行するような日程は避けたほうが無難です。
服装は普段着で問題ありません。ジーンズにスニーカーの人が大半で、ドレスアップしている人もいる、という程度の混在です。
ヒント
座席番号の見方
英国の劇場では1階席を Stalls、2階を Dress Circle、3階を Grand Circle や Balcony と呼びます。日本の「1階席・2階席」と数え方が違うので、チケットに書かれた階の名前を先に確認しておくと、当日フロアを探し回らずに済みます。
2. 劇場に着いてから開演まで
開演の30分前を目安に着くと落ち着いて動けます。開場は通常30分〜45分前です。
到着してからの流れはこうなります。
- 入口でチケットとセキュリティチェック:バッグの中を見せるだけの簡単なものが大半です。行列ができていても数分で進みます。
- 自分の階へ移動:チケットの階の表示に従います。古い劇場は上階へエレベーターがないことが多く、階段を数フロアぶん上がります。足に不安がある場合は購入前に劇場へ確認してください。
- 席に着く前に、トイレとバーを済ませる:これが実は重要です。休憩は15〜20分しかなく、その全員が同時にトイレとバーに向かいます。開演前に済ませておくと休憩が格段に快適になります。
- プログラムを買うかどうか:入口やロビーで係員が売っています。日本のパンフレットにあたるもので、購入は任意です。無料の配布物(キャスト表)を別に配っている劇場もあります。
開演時刻になると客席の照明が落ちます。日本のような開演前アナウンスが長々と流れることは少なく、わりとあっさり始まります。
実務メモ
- 遅刻すると、キリのよい場面転換まで客席に入れてもらえません。ロビーのモニターで待つことになります。
- 座席が狭い劇場では、後から来た人のために立って通す場面が何度かあります。通路側の席は出入りが楽なぶん、立つ回数も増えます。
3. 休憩(インターバル)──ここで帰ってはいけません
この記事で唯一、絶対に覚えて帰ってほしい項目です
ウエストエンドの作品の多くは、2幕構成であいだに15〜20分の休憩(interval)が入ります。
問題は、この休憩の様子が日本の劇場とまるで違うことです。照明がつくと、客席の人がほぼ全員いっせいに立ち上がり、外に出ていきます。 バーでお酒を飲むため、トイレに行くため、あるいはただ足を伸ばすため。数百人が一斉に動くので、残された客席はがらんとします。
初めて見ると、これがどう見ても「公演が終わって皆が帰っていく光景」なのです。
実際、筆者はこれで帰りかけました。前半が終わって明かりがつき、周りが次々と席を立って出ていく。「なるほど、思ったより短い作品だったな」と納得して立ち上がり、荷物をまとめて出口に向かったところで、劇場のスタッフに「まだ後半があるよ」と声をかけられて事なきを得ました。あのまま夜のシャフツベリー・アベニューに出ていたら、チケット代の半分を「思ったより短い作品だった」という感想と引き換えに捨てていたことになります。
判断の基準は簡単です。
- カーテンコールがあったか。 出演者が舞台に並んで挨拶し、客席が拍手を送る場面です。これが無いなら、まだ終わっていません。
- 客席の照明のつき方。 休憩では全灯せず、少し落としたままのことがあります。
- 周りの人が荷物を持っているか。 休憩なら、上着や荷物を席に置いたまま出ていく人が大勢います。全員が荷物ごと出ていくのが終演です。
迷ったら、近くの係員(黒い服を着ていることが多いです)に "Is this the interval?" と聞けば一言で教えてくれます。恥ずかしいことは何もありません。同じ勘違いは毎晩どこかの劇場で起きています。
実務メモ
- 休憩中にバーへ行くなら、開演前に飲み物を注文して「休憩中に取りに来る」と伝えておける劇場があります。列に並ばずに済みます。
- アイスクリームを客席まで売りに来る劇場があります。英国の劇場の名物で、これも休憩中の光景です。
注意
休憩と終演の見分け方
カーテンコール(出演者が並んで挨拶する場面)を見ていないなら、まだ終わっていません。 客席が空になるのは、英国の観客が休憩にバーへ行く習慣があるからで、公演が終わったからではありません。
4. カーテンコールと、終演後
本編が終わると、出演者が順に舞台に出てきて挨拶します。これがカーテンコールで、主要な役ほど後に出てきます。ここまでが公演の一部です。
拍手は惜しみなく。スタンディングオベーションになることもあります。周りが立ったら立つ、程度で構いません。
カーテンコールが終わって客席の照明が完全につけば、そこで終演です。出口は混みますが、数分で流れます。
終演後の帰り道
- 夜の公演は22時前後に終わります。地下鉄はまだ動いていますが、金曜・土曜の劇場街は人が多く、駅も混みます。
- レスター・スクエア駅とピカデリー・サーカス駅は、終演時刻に劇場からの人が集中します。一駅ぶん歩いてチャリング・クロス駅やトッテナム・コート・ロード駅から乗ると、座れることがあります。
- 深夜バス(Night Bus)や、金・土のナイトチューブが動いている路線もあります。
補足
楽屋口(Stage Door)
劇場の裏手に Stage Door と書かれた出入口があり、終演後に出演者が出てくることがあります。サインや写真に応じてくれる人もいますが、必ず出てくるとは限りません。待つなら、他の観客の邪魔にならない位置で静かに待つのが慣習です。
5. 困ったときは、係員に聞く
ウエストエンドの劇場には必ず係員(アッシャー、usher)がいます。黒い服を着て、開演前は入口や階段に立っていることが多い人たちです。
彼らは毎晩、道に迷った観光客を案内し続けています。以下のようなことは、聞けば一言で解決します。
- "Where is my seat?"(席が分からない)──チケットを見せれば案内してくれます。
- "Is this the interval?"(これは休憩ですか)──先述のとおり。
- "Where are the toilets?"(トイレはどこですか)──古い劇場は場所が分かりにくく、階ごとに数が違います。
英語に自信がなくても、チケットを見せて困った顔をすれば伝わります。観劇でいちばんもったいないのは、聞けば済むことを聞かずに損をすることです。
よくある質問
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観劇前にあらすじや曲を予習しておくと、当日の理解がぐっと深まります。


