ビザと就労の接点|学生ビザ・Graduateビザで働ける範囲とSkilled Workerへの切り替え
UK Visas and the Right to Work: Student, Graduate & Skilled Worker
学生ビザ・Graduateビザでどこまで働けるのか、Skilled Workerスポンサーへの切り替えに必要な条件、そして就労制限に違反した場合のリスクを整理しました。
ロンドンで働く日本人の多くは、学生ビザ(Student visa)、卒業後のGraduate visa、あるいは就労ビザ(Skilled Worker visa)のいずれかで滞在しています。それぞれのビザで「どこまで働いていいか」のルールは大きく異なり、違反すると本人の将来のビザ申請だけでなく、雇用主にも重い制裁が及びます。
この記事では、主要な3つのビザ区分の就労ルールと、ビザを切り替える際に押さえておくべきポイントを整理します。ビザのルールは変更が多い分野です。申請・切り替えの前には必ずgov.ukの最新情報を確認してください。
1. 学生ビザ(Student visa)で働ける範囲
学生ビザで就労する場合の上限は、コースのレベルによって異なります。
- 学位レベル(degree-level)以上のコース:学期中(term time)は週20時間まで
- 学位レベル未満のコース:学期中は週10時間まで
- 公式の休暇期間(official vacation)中:フルタイムでの就労が可能
特に注意すべき点
- 20時間・10時間の上限は「週ごと」の上限であり、平均で守ればよいわけではありません。ある週に30時間働き、別の週に10時間しか働かなかった、という調整はできません。
- 「学期中(term time)」は、自分の授業スケジュールではなく、在籍する教育機関が公式に定める学期日程にもとづきます。
- 学生ビザでは、自営業(self-employment)やフリーランスとしての就労、プロスポーツ選手・エンターテイナーとしての活動は原則できません。
- ボランティア活動は就労時間の上限にはカウントされません。
上限を超えて働くことは、単なる契約違反ではなくビザ条件違反であり、その後のビザ申請(Graduate visa、Skilled Worker visaなど)に不利益が生じるリスクがあります。
2. Graduate visaで働ける範囲
英国の大学を卒業した後に申請できるGraduate visaは、学生ビザと比べて就労の自由度が大きく異なります。
- 就労時間の上限はありません(フルタイムでの就労が可能)
- 自営業・フリーランスとしての就労も可能
- スポンサー(雇用主による certificate of sponsorship)は不要
標準的な学部卒業者・修士修了者は2年間、博士(PhD)取得者は3年間のGraduate visaが付与されます(申請時点のルールによる)。2027年1月1日以降に申請する人については、標準の付与期間が18か月に短縮される予定とされています(博士取得者の3年間は維持される見込み)。今後ビザを申請する予定がある場合は、申請時点の最新ルールを必ずgov.ukで確認してください。
3. Skilled Worker visaへの切り替え
学生ビザ・Graduate visaから、雇用主のスポンサーを得て長期的に働き続けるための代表的な選択肢がSkilled Worker visaです。
主な要件(2026年時点の目安)
- 雇用主がHome Officeのスポンサーライセンスを保有し、**Certificate of Sponsorship(CoS)**を発行していること
- 職種がSkilled Worker visaの対象職種リストに含まれていること
- 給与が、一般的な最低給与要件(£41,700/年)と、職種ごとの「going rate(相場賃金)」のいずれか高い方を満たしていること
給与要件の例外・割引
| ケース | 目安の最低給与 |
|---|---|
| 一般的な最低給与要件 | £41,700/年 |
| New entrant(就業初期のキャリア)割引 | £33,400/年 |
| Shortage occupation(人材不足職種) | going rateから20%割引 |
| ヘルスケア関連職 | 職種により£25,000/年から |
| 関連分野の博士号(PhD)を持つ場合 | £37,500/年から |
上記はいずれも制度改定の対象になりやすい数値です。切り替えを検討する際は、必ずgov.uk: Skilled Worker visaで最新の閾値と対象職種を確認してください。
切り替えの流れ
- スポンサーライセンスを持つ雇用主から内定・CoSの発行を受ける
- 現在のビザが有効なうちに、英国内からSkilled Worker visaへの切り替え申請を行う
- 審査結果が出るまでは、現在のビザの条件下で就労を続ける(申請中に自己判断で就労条件を変えない)
4. 就労制限に違反した場合のリスク
就労時間・就労内容の制限に違反した場合、以下のようなリスクがあります。
- 本人:ビザの取消し(curtailment)、退去、将来の英国ビザ申請における拒否リスクの上昇
- 雇用主:不法就労者を雇用したとして、1人あたり最大£60,000の民事制裁金、スポンサーライセンスの取消し、悪質な場合は刑事責任
雇用主には、雇用開始前に労働者の就労資格(right to work)を確認する法的義務があります。オンラインのright to workチェック(シェアコード発行)を求められた場合は、正規の手続きとして協力しましょう。逆に、この確認を一切求めずに現金払いのみで働かせようとする求人は、リスクが高いサインの一つです。