キューガーデンKew Gardens
世界的に有名な植物園と研究施設
- 料金
- 大人 £16〜 / 子ども £7〜
- 所要時間
- 3〜4時間
- 最寄駅
- Kew Gardens駅
- 開館時間
- 10:00〜17:45
料金・開館時間は変更されることがあります。訪問前に 公式サイト で最新情報をご確認ください。
世界中の多様な植物を所蔵するロンドン最大の植物園で、ユネスコ世界遺産にも登録。テーマ別の庭園やトレッキング感覚で歩ける樹冠歩道、巨大な温室(ガラスハウス)などを楽しめる。科学研究施設としても有名で、植物学や環境保護の最前線を体験できる。セントラルロンドンから約30分でアクセス可能。
このページの内容
着いてからの歩き方
キューガーデンに着いたら、この順に見ていくと迷いません。
- コツ
132ヘクタール。全部は歩けない
東京ドーム28個ぶんの広さがあり、端から端まで歩くと1時間近くかかります。見たい温室を2〜3か所決めて、あいだを園内バス(有料)で繋ぐか、地道に歩くか決めてから入るのが現実的。開園は10:00、最終入場は閉園1時間前です。
- 見どころ
パーム・ハウス
1844〜48年建造、鉄とガラスの温室建築として世界で最も重要な現存例です。これほど大きなガラス建築の前例が無かったため、設計者は造船業の技術を借りました。船舶用に特許を取ったばかりの錬鉄の梁を建築に初めて使った建物で、構造はいわば逆さにした船体。ガラスは16,000枚使われています。内部は熱帯雨林の環境なので、眼鏡は確実に曇ります。
- 見どころ
テンペレート・ハウス
現存最大のヴィクトリア朝ガラス温室。2018年に5年がかりの修復を終えて再開しました。1万株を超える植物のうち多くが野生では絶滅危惧種で、なかには自生地では既に失われた種もあります。ここが最後の生息地になっている植物がある、という場所です。
- 見どころ
ツリートップ・ウォークウェイ
高さ18m、全長200mの鉄の遊歩道が、栗やナラの樹冠の高さを通ります。普段は見上げるしかない樹木の上半分を、横から眺められる仕掛け。風の日は少し揺れます。階段のほかエレベーターもあります。
- 見落としやすい
ハイブ(The Hive)
高さ17mの金属製の構造物で、実際のミツバチの巣箱のセンサーと連動しています。巣の中の振動が光と音に変換されるので、立っていると本物の群れの活動をそのまま体感できる仕掛け。芝生の中にぽつんと建っていて素通りされがちですが、中に入ってしばらく待つ価値があります。
- コツ
季節で完全に別の場所になる
春は桜と球根、初夏はバラ、秋は紅葉、冬は温室が主役です。屋外の見どころが少ない冬でも、パーム・ハウスとテンペレート・ハウスがあるので成立します。逆に夏の炎天下は温室がかなり暑いので、屋外中心に回るほうが快適です。
王室の庭から、植物学の中枢へ
キューは観賞用の庭園として始まりました。18世紀、ジョージ3世の母オーガスタ王女がこの地に異国の植物を集めた庭を作らせたのが起点です。
性格が変わったのは19世紀です。1841年に国家へ移管され、王室の私的な庭から国立の植物研究機関になりました。背景には大英帝国の事情があります。世界中に植民地を持つ国にとって、どの植物がどこで育つかは経済そのものでした。ゴム、キニーネ、茶、綿。キューはそれらを収集し、育て方を研究し、帝国内で移植する拠点として機能します。
つまりここは美しい庭であると同時に、帝国の農業戦略の司令塔でした。ブラジルからゴムの種を持ち出してアジアで栽培可能にした事業も、キューが関わっています。
現在も研究機関としての性格は変わっていません。標本庫には約700万点の乾燥標本が収蔵され、世界中の植物分類研究の基準になっています。世界最大級の野生植物の種子バンクも運営しています(こちらは郊外のウェイクハーストにあります)。
1759年から続く、世界で最も影響力のある植物園——それがこの場所の実態です。
温室は、船を作る技術で建てられた
キューの象徴であるパーム・ハウスは1848年の完成です。設計はデシマス・バートン、鉄骨を担ったのは鋳鉄業者リチャード・ターナー。
問題は前例がなかったことです。これほど巨大なガラス建築を、誰も建てたことがありませんでした。柱を林立させれば植物に光が届かず、かといって鉄骨を太くすれば重くなりすぎる。
ターナーが持ち込んだのが造船の技術でした。当時の船体は、湾曲した錬鉄の肋材(リブ)と甲板梁で作られていました。この工法を転用すれば、細い部材で大きな曲面を支えられます。部材は工場で規格化して作り、現地で組み立てました。
パーム・ハウスが逆さにした船体のように見えるのは、実際に船の作り方で建てられているからです。中に入って見上げると、肋骨のような梁の並びが分かります。
もうひとつの巨大温室テンペレート・ハウスは1863年完成で、現存する世界最大のヴィクトリア朝ガラス温室です。2018年5月に5年がかりの修復を終えて再開しました。修復では69,000点の部材を取り外して洗浄・補修し、15,000枚のガラスを交換しています。費用は£41Mでした。
豆知識
- 大パゴダの竜は、賭博の借金で売られたらしい。1762年建造の10層の塔で、ヨーロッパ最初期の本格的な中国様式建築です。設計者ウィリアム・チェンバーズは各層の屋根に8体ずつ、計80体の竜を配しました。ところが1784年にすべて撤去されます。摂政皇太子の賭博の借金の返済に充てるため売られた、という説が有力です(単に英国の天候で傷んだという説もあります)。2018年、£5Mをかけて80体が復元されました。1763年の絵画を手がかりに造形し、上層の竜は重量の問題から3Dプリンタでナイロン製にしています。下層は木彫です。
- 樹上歩道は高さ18m。木々の樹冠の高さを歩く構造で、鳥の目線で庭園を見られます。
- キューには宮殿がある。キュー・パレスは英国の王宮としては最小で、ジョージ3世が療養に使いました。夏季のみ公開されます。
- 世界遺産に登録されている。2003年、植物学と造園の歴史における価値が認められました。
とにかく広い
面積は132ヘクタール。ハイド・パークに匹敵する広さです。端から端まで歩くと相当な距離になるので、目的を決めずに入ると温室を2つ見ただけで疲れます。
園内には周遊バス(Kew Explorer)が走っています。有料ですが、主要な地点を結んでいるので、体力に不安があるなら使う価値があります。
見どころが季節で大きく変わります。春は球根と桜、初夏はバラと草花、秋は紅葉、冬は温室とイルミネーション。屋外の庭が目的なら春から秋、天候が読めない時期なら温室中心で組むのが確実です。
雨の日でもパーム・ハウス、テンペレート・ハウス、プリンセス・オブ・ウェールズ温室があるので、屋内だけで数時間過ごせます。マリアンヌ・ノース・ギャラリーには植物画800点以上が展示されており、こちらも雨天の避難先になります。
最寄りはキュー・ガーデンズ駅ですが、門が複数あり、駅から近い門と目的地が遠いことがあります。入る前に園内地図で位置関係を確認してください。
場所とアクセス
みんなの口コミ
キューガーデンを訪れた感想や、これから行く人に役立つコツがあれば教えてください。
まだコメントはありません。最初の投稿をお待ちしています。




