プレミアリーグ観戦の作法|ホーム側の席で相手を応援すると退場です

    Matchday Etiquette

    イングランドのサッカーには、日本のスタジアムと違う暗黙のルールがあります。最も重要なのは、自分が座っているエリアがどちらのチームのものかということ。ホーム側で相手チームを応援すると、安全上の理由で退場になります。

    2026年8月時点の情報

    要点

    最重要
    自分の席がホーム側かアウェイ側かを把握する。間違えると退場です
    ユニフォーム
    ホーム席ならホームのもの、または何も着ない。中立が最も安全です
    立つか座るか
    周りに合わせる。ゴール裏は立ちっぱなし、中央は座って観ます
    アルコール
    席では飲めません。ピッチが見える場所での飲用は違法です
    犯罪になる行為
    発煙筒の所持、ピッチへの侵入、差別的な言動
    写真
    スマホでの撮影は自由。周りの人を撮るときは配慮を

    イングランドのサッカーは、日本のスタジアム観戦とは前提がひとつ違います

    日本では、ビジターの席が用意されつつも、どこで誰を応援しても大きな問題にはなりません。イングランドでは違います。

    ホームサポーターの席で、相手チームを応援してはいけません

    これはマナーの話ではなく、安全管理の話です。1980年代のフーリガン問題を経て、イングランドのスタジアムは「サポーターを物理的に分離する」という設計思想で運用されています。ホーム側の席で相手のゴールに喜べば、係員に退場を命じられます。

    旅行者は、この一点さえ守れば、あとはほぼ自由に楽しめます。

    そして安心してほしいのですが——現在のプレミアリーグは、家族連れが安心して行ける場所です。暴力的な雰囲気はほぼありません。歌と野次と、時々の悪態。それが今のスタジアムです。

    1. 座席のエリアを間違えない

    この記事で最も重要な項目です

    スタジアムは、大きく3種類のエリアに分かれています。

    エリア誰がいるか旅行者の振る舞い
    ホームサポーター席ホームのファン。スタンドの大半ホームを応援するか、静かに観る
    アウェイサポーター席相手のファン。1エリアのみここは基本的に買えません
    中立席・ファミリー席家族連れ、観光客も多い最も気楽。おすすめ

    旅行者が買うチケットは、ほぼ確実に「ホーム側」です

    アウェイ席は、そのクラブに長年通っているサポーターに来場実績で配分されるため、旅行者が買うことはまずできません

    つまり、あなたが買った席はホームサポーター席です。そこでは——

    • ホームチームのゴールに喜ぶ、または静かにしている:問題なし
    • 相手チームのゴールに立ち上がって喜ぶ:係員に退場を命じられます

    「どちらのファンでもない」場合

    これが旅行者の最も多いケースで、まったく問題ありません

    ゴールに拍手する程度は自然ですし、静かに観ていても誰も気にしません。周りの人は熱狂していますが、あなたに同調を強要することはありません。

    むしろ、多くの地元サポーターは外国から観に来た人に好意的です。ハーフタイムに話しかけられることもよくあります。

    実務メモ

    • チケット購入時、席種の名前に「Family」「Neutral」とあれば、そこが最も気楽
    • アウェイ席は通常スタンドの一角に固まっていて、周りを空席や係員で囲まれているのですぐ分かる
    • どちらを応援するか決めていないなら、ホーム側に合わせておけば絶対に安全

    注意

    ホーム席でアウェイのユニフォームを着ない

    相手チームのユニフォームやマフラーを身につけてホームサポーター席に座るのは、避けてください。退場を命じられる可能性があり、そうでなくても長時間、居心地の悪い思いをします。応援したいクラブがあるなら、そのクラブがホームの試合を選んでください。

    2. 立って応援していいのか

    エリアによります。周りに合わせるのが正解です

    ゴール裏(Home End)

    最も熱狂的なエリアです。ほぼ全員が90分間立ちっぱなしで、歌い続けます。

    • エミレーツなら North Bank
    • トッテナムなら South Stand(欧州最大の一枚バンク)
    • セルハースト・パークなら Holmesdale End(リーグ屈指と評される)

    ここに座ると、座って観ることは実質不可能です。前の人が立てば見えないので、全員が立ちます。

    メインスタンド・中央付近

    座って観るのが基本です。得点時に立ち上がるのは自然ですが、常時立っていると後ろから "Sit down!" と言われます。

    見分け方

    チケットを買うとき、ゴール裏(Behind the goal / The End)と書かれていれば立ち見に近い雰囲気、Main Stand / West Standなどの側面なら座って観る雰囲気だと考えてください。

    厳密には「立って観るのは規則違反」

    イングランドのプレミアリーグでは、全席着席(all-seater)が原則です。ゴール裏で全員が立っているのは、規則上はグレーな慣習です。

    近年はセーフスタンディング(safe standing)という、立って観ることを前提とした手すり付きの席を導入するクラブが増えています。ここは堂々と立てます。

    実務メモ

    • 熱狂を体験したいならゴール裏、じっくり試合を観たいなら側面の上段がいい
    • 上段(Upper Tier)は戦術がよく見える。ピッチ全体が視野に入るため、実は観戦の質は高い
    • 最前列は意外と見にくい。ピッチが目線より低く、遠いサイドが見えないことがある

    3. 歌と野次の文化

    イングランドのスタジアムはでできています。

    チャント(chant)と呼ばれる応援歌が、太鼓もリードもなしに自然発生します。誰かが歌い始め、周囲が乗ると数千人に広がる。この即興性がイングランドの特徴です。

    旅行者はどうすればいいか

    歌えなくてまったく問題ありません。歌詞は知らなくて当然ですし、地元の人も全部は歌いません。

    参加したければ、手拍子から入るのが自然です。"Come on you Reds!" のような短いフレーズは、すぐ覚えられます。

    野次(banter)について

    イングランドのサッカーでは、相手チームやその選手への皮肉と悪態が文化として組み込まれています。日本の感覚では「かなりひどいことを言っている」と感じるはずです。

    しかし、その多くはbanter(軽口)として了解されたやり取りで、実際の敵意とは別物です。試合が終われば、同じパブで飲んでいます。

    ただし、線を越えるものがあります

    人種・民族・宗教・性的指向・障害に関する侮辱は、犯罪です

    イングランドでは差別的なチャントや言動が厳しく取り締まられており、逮捕され、サッカー観戦禁止命令が出ます。クラブは通報用のSMS番号を掲示しており、周囲のファンが通報します。

    これは「厳しすぎる」のではなく、長い時間をかけてスタジアムから差別を追い出してきた経緯があります。旅行者としても、聞こえてきたら通報して構いません。

    補足

    分からない歌が飛び交っても心配しないでください

    スタジアムのチャントは、クラブの歴史・地域・選手の個人的な逸話に根ざしたものが多く、イギリス人でも他クラブの歌は分かりません。理解できないのが普通です。周りの熱狂を観察しているだけでも、十分に楽しい体験になります。

    4. やってはいけないこと

    ここに挙げるものは、マナー違反ではなく犯罪です。旅行者であっても例外はありません。

    ① 発煙筒・花火の持ち込み

    所持しているだけで犯罪です。日本のサポーター文化では見かけることがありますが、イングランドでは逮捕され、サッカー観戦禁止命令が科されます。

    ② ピッチへの立ち入り

    得点後の熱狂や、試合終了後の記念であっても、ピッチに入ることは犯罪です。

    ③ 差別的な言動

    前述のとおり、人種・民族・宗教・性的指向・障害に関する侮辱は取り締まりの対象です。

    ④ 物を投げる

    コインやライターがピッチや相手サポーターに向けて投げられると、クラブに制裁が科されます。当然、投げた個人も処罰されます。

    ⑤ チケットの転売

    スタジアム周辺で余ったチケットを売るのも、買うのも違法です。買ってはいけないチケットに詳しく書きました。

    ⑥ 席でのアルコール

    法律で禁じられています。ピッチが見える場所ではビールを飲めません。コンコースで飲んでください。


    逆に、心配しなくていいこと

    • 英語が話せないこと:まったく問題ありません
    • ルールに詳しくないこと:周りが教えてくれます
    • どちらのファンでもないこと:ごく普通です
    • 写真を撮ること:スマホでの撮影は自由です
    • 一人で行くこと:一人で来ている人は大勢います

    実務メモ

    • 困ったら係員(steward、オレンジのジャケット)に聞く。観光客の対応に慣れている
    • ハーフタイムに隣の人と話すのは自然なこと。どこから来たのか聞かれることが多い
    • 試合後にパブで話しかけられたら、それはイギリスのサッカー文化の中心にいるということ

    ヒント

    結局、守るべきは2つだけです

    ① ホーム側の席で相手を応援しない。② 発煙筒とピッチ侵入と差別的言動をしない。この2つさえ守れば、あとは自由に楽しんでいい場所です。イングランドのサッカーは、外から来た人に対してとても開かれています。

    よくある質問

    参考・公式情報

    料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

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