イギリスの薬局の使い方|市販薬の探し方と処方箋の受け取り
Using Pharmacies and Collecting Prescriptions in the UK
英国の薬局は日本のドラッグストアより権限が広く、薬剤師に無料で相談でき、一部の症状では処方薬まで出せます。GP の予約を待たずに済む範囲が想像より広い。あわせて、日本の常備薬に当たるものを成分名で探す方法をまとめます。
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要点
- 薬剤師への相談
- 無料・予約不要
- 薬剤師が処方できる症状
- 副鼻腔炎・中耳炎・扁桃炎・帯状疱疹・膀胱炎など
- 処方箋の自己負担
- 1品目あたり£9.90(イングランド)
- 市販薬の探し方
- 商品名ではなく成分名で探す
- 繰り返し処方
- NHS App から再依頼できる(診察不要)
英国の薬局(Pharmacy、または Chemist)は、日本のドラッグストアとは役割が違います。
最大の違いは、薬剤師が医療の入口として明確に位置づけられていることです。無料で相談でき、予約も要らず、そして一定の症状については GP を介さずに処方薬を出せます。
GP の予約が2週間先しか空いていない——という状況は英国では日常的ですが、そのうちの相当部分は薬局で解決します。この使い分けを知らないまま、軽い症状で GP の枠を待ち続ける人が多い。
もう一つ、渡英した日本人が必ずつまずくのが 市販薬が見つからない 問題です。バファリンもロキソニンも正露丸もありません。ただし成分は存在します。探し方の問題です。
目次
1. 薬剤師が処方できる範囲
GP を経由しなくていい症状がある
Pharmacy First という仕組みにより、特定の症状については薬剤師が診断・処方まで行えます。GP の予約は不要で、費用は処方箋料のみです。
対象となる主な症状
| 症状 | 英語 |
|---|---|
| 副鼻腔炎 | Sinusitis |
| 中耳炎(子ども) | Acute otitis media |
| 扁桃炎・喉の痛み | Sore throat |
| 帯状疱疹 | Shingles |
| 虫刺され・感染した傷 | Infected insect bites |
| 単純性の膀胱炎 | Uncomplicated UTI |
| とびひ | Impetigo |
これらで具合が悪いとき、GP に電話する前に薬局に行くほうが速いです。薬剤師が必要と判断すれば、抗生物質を含む処方薬がその場で出ます。
相談の仕方
カウンターで「薬剤師に相談したい(I'd like to speak to the pharmacist)」と伝えれば足ります。多くの薬局には相談用の個室があり、人前で症状を話す必要はありません。
薬剤師が「これは GP に診てもらうべき」と判断した場合は、そう案内されます。判断を丸投げできるという意味でも、最初の一手として合理的です。
実務メモ
- 薬局の相談は無料・予約不要。GP の予約が取れないときの最初の選択肢になる。
- 相談用の個室がある薬局が多い。人前で話したくない症状でも問題ない。
- 薬剤師が GP に回すべきと判断すればそう言われる。自分で判断する必要はない。
ヒント
夜間・休日に開いている薬局を調べておく
多くの薬局は18時前後に閉まりますが、地域ごとに遅くまで開く薬局(late night pharmacy)が指定されています。元気なうちに近所の一軒を調べておくと、夜に困りません。NHS のサイトで郵便番号から検索できます。
2. 日本の常備薬に当たるものを探す
商品名は通じない。成分で探す
日本の市販薬は英国では手に入りません。ただし 同じ成分の薬はほぼすべて存在します。棚の前で商品名を探すのをやめて、成分名で探してください。
| 日本での用途 | 英国で探す成分名 | よくある商品名 |
|---|---|---|
| 解熱・鎮痛(胃にやさしい) | Paracetamol | Panadol |
| 解熱・鎮痛(炎症にも) | Ibuprofen | Nurofen |
| 胃もたれ・胸やけ | Antacid | Gaviscon, Rennie |
| 下痢止め | Loperamide | Imodium |
| 便秘 | Senna, Macrogol | Senokot, Laxido |
| 花粉症・アレルギー | Cetirizine, Loratadine | Piriteze, Clarityn |
| のどの痛み | ─ | Strepsils, Difflam |
| 咳 | ─ | Benylin, Covonia |
| 湿疹・かゆみ | Hydrocortisone 1% | ─ |
| 傷の消毒 | Antiseptic cream | Savlon, Germolene |
| 乗り物酔い | Hyoscine | Kwells |
買うときの注意
パラセタモールとイブプロフェンには購入数の制限があります。 一度に買える箱数が法律で制限されているため、まとめ買いはできません。過量服用を防ぐための規制です。
風邪薬の「総合感冒薬」は主流ではありません。 日本のように複数成分を混ぜた薬より、症状ごとに単剤で買うのが一般的です。熱と痛みならパラセタモール、鼻水なら抗ヒスタミン、というように分けて買います。
スーパーでも買えます。 Tesco や Sainsbury's でもパラセタモールなどの基本的な薬は売っており、薬局より安いことが多いです。ただし薬剤師のいる薬局でしか買えない薬(Pharmacy medicine、P と表示)もあります。
実務メモ
- パラセタモールはスーパーで数十ペンスから買える。薬局で買うより安いことが多い。
- 一度に買える鎮痛剤の量には法的な上限がある。備蓄はできない。
- 日本から常備薬を持ち込むなら、成分名を英語で控えておく。英国で買い足すときに困らない。
3. 処方箋を受け取る
紙は使わない。電子で薬局に飛ぶ
GP が薬を処方すると、処方箋は 電子的に薬局へ送られます(Electronic Prescription Service)。紙を持ち歩く必要はありません。
流れ
- GP の診察時に、受け取りたい薬局(nominated pharmacy)を指定する
- 処方内容がその薬局に電子送信される
- 数時間〜翌日に薬局へ取りに行く
- 窓口で氏名と生年月日を伝え、自己負担額を払う
指定薬局は後から変更でき、NHS App からも設定できます。自宅や職場の近くを指定しておくのが実用的です。
費用
イングランドでは1品目あたり £9.90。「1回」ではなく「1品目」 なので、3種類処方されれば3倍かかります。
無料になる条件や、前払い証で頭打ちにする方法は 処方箋料を下げる で詳しく扱います。
繰り返し処方(repeat prescription)
高血圧の薬やピルのように継続的に飲む薬は、毎回診察を受ける必要はありません。NHS App から再依頼するだけで、薬局に処方が飛びます。
これが英国の医療で最も便利な部分の一つです。日本のように「薬をもらうためだけの通院」が発生しません。
ただし定期的に(半年〜1年ごと)レビューのための診察を求められることがあります。そのときは応じてください。
実務メモ
- 指定薬局は NHS App から変更できる。引っ越したら忘れずに変える。
- 繰り返し処方は NHS App から数タップ。薬が切れる1週間前に依頼しておくと確実。
- 処方箋は1品目ごとの課金。まとめて処方されると金額が跳ねるので、事前に品目数を確認するとよい。
注意
日本から持ち込める薬には上限があります
処方薬を日本から持ち込む場合、個人使用の範囲であれば概ね3ヶ月分程度が目安です。向精神薬など一部の成分は持ち込みに事前の許可が必要になります。長期滞在で常用薬がある人は、英国の GP で同等の薬に切り替える段取りを早めに始めてください。成分名を英語で控えておくのが第一歩です。
よくある質問
参考・公式情報
- NHS - Register with a GP surgery
- NHS - Get help with prescription costs
- NHSBSA - Prescription prepayment certificate (PPC)
- NHS - Understanding NHS dental charges
- GOV.UK - Pay for UK healthcare as part of your immigration application
- GOV.UK - NHS entitlements: migrant health guide
料金・時刻・制度は変更されます。本記事は2026年8月時点の情報です。渡航前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
本記事は NHS の制度と手続きを説明する情報提供であり、医学的な助言・診断では ありません。症状の判断は必ず医療者に委ねてください。ここで扱う制度は イングランドのものです(スコットランド・ウェールズ・北アイルランドでは 処方箋が無料であるなど、負担の仕組みが異なります)。患者負担額は毎年4月1日に 改定されるため、受診前に NHS の公式ページで最新額をご確認ください。