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    自分の未払い額を計算する

    Working out how much service charge you are owed

    実際に審判所で認容された計算方法を、そのまま公開します。必要なのは、売上記録・シフト表・給与明細の3つだけです。

    この章は、この記録のなかで最も実用的な部分です。

    私が使い、そして審判所に認容された計算方法を、実際の数字とともに全部公開します。

    必要なのは3種類の記録だけです。

    1. 日ごとの総売上と総サービスチャージ(POSシステムのZレポート)
    2. 日ごとの稼働スタッフ数(シフト表)
    3. 自分に実際に支払われたサービスチャージ(給与明細)

    推測は使いません。すべて雇用主が通常業務のなかで作成した記録から出します。

    ここが肝心な点です。相手が数字を争おうとすると、自分の会社の記録を否定することになります。

    1. 考え方 — 何を比べるのか

    「本来受け取るべきだった額」対「実際に受け取った額」

    やることは、要するに引き算です。

    本来受け取るべきだった額 − 実際に受け取った額 = 未払い額

    問題は左側の「本来受け取るべきだった額」をどう出すかです。

    配分ルールが書面化されていない職場では、参照できる基準がありません。そこで採る考え方がこれです。

    文書化された配分ルールも、特定可能な算定方法も存在しない以上、 その日に働いた全員に等しく帰属するものとして扱うことが、 運用の実態と現に存在する証拠に最も整合する。

    つまり、その日の総サービスチャージ ÷ その日に働いた人数を、1人あたりの取り分とします。

    この方法が成り立つ前提を確認しておきます。

    • サービスチャージがプールされて一括で扱われていたこと
    • 個人ごとの管理・配分が行われていなかったこと
    • 役割別・成績別の重み付けが文書化されていなかったこと
    • 給与明細に単一の合計額しか記載されていなかったこと

    逆に言えば、書面化された傾斜配分ルールが実在する職場では、この方法は使えません。その場合はそのルールに沿って計算することになります。

    なお、キッチンスタッフを人数に含めるかは論点になり得ます。私はキッチンとフロアの両方を含めました。実際にその日の営業を回していた全員を対象とする方が、実態に即しているからです。

    2. ステップ1 — 日ごとに、1人あたりの額を出す

    総サービスチャージ ÷ その日の稼働人数

    Zレポートから日ごとの総サービスチャージを、シフト表からその日の稼働人数を拾います。

    実際の数字から、いくつか抜き出します。

    曜日総売上総サービスチャージキッチンフロア1人あたり
    £1,243£13825£19.70
    £3,475£38126£47.60
    £718£7324£12.20
    £3,069£33545£37.20
    £4,289£47535£59.40
    £1,302£14422£36.00
    £3,454£37424£62.30

    計算はこれだけです。

    £381 ÷ (2 + 6) = £47.60

    これを対象月の全営業日について行います。

    日によってかなり幅が出ることが分かります。£12から£62まで開きがありました。売上と人数の組み合わせで決まるので当然です。

    1か月分すべての平均を取ります。

    私のケースでは、1日あたり £35.28 となりました。

    補足しておくと、この£35.28は「客が支払った12.5%のうち、その日働いていた1人あたりに帰属する額」です。 一方で、実際に支払われていたのは時給に上乗せされる1〜3ポンド程度でした。この差が、そのまま争点になります。

    3. ステップ2 — 自分の実稼働日数を掛ける

    平均ではなく、実際に働いた日数を使う

    次に、対象月に自分が実際に働いた日数を数えます。シフト表から拾えます。

    私の場合は18日でした。

    £35.28 × 18日 = £635.04

    これが、その月に私が受け取るべきだった額です。

    ここで大事なのは、実稼働日数を使うことです。「週5日勤務だから月22日くらい」という概算ではいけません。

    理由は2つ。

    1. 実際の日数の方が正確である
    2. シフト表という裏付け資料がある

    概算を使うと、そこが攻撃対象になります。実数を使えば、争う余地がありません。

    4. ステップ3 — 実際に支払われた額を引く

    給与明細のサービスチャージ欄を見る

    給与明細から、その月に実際に支払われたサービスチャージの額を確認します。

    私の場合は £108.50 でした。

    £635.04 − £108.50 = £526.54

    これが、その月の未払い額です。

    £635.04受け取るべきところ、£108.50しか支払われていなかった。

    数字にすると、この差の大きさが分かります。受け取っていたのは、本来の額の17%程度ということになります。

    給与明細を見るときの注意点をいくつか。

    • サービスチャージが別項目として記載されているかを確認する。基本給に混ぜられている場合は、内訳の開示を求めることになります
    • grossの数字を使うこと。手取りではありません(理由は後述)
    • 明細を持っていない場合、雇用主には給与明細を交付する義務があります。過去分の再発行も請求できます

    5. ステップ4 — 在職期間全体に広げる

    日額に換算してから、総稼働日数を掛ける

    ここまでで1か月分の未払い額が出ました。これを在職期間全体に広げます。

    まず、1日あたりの未払い額に換算します。

    £526.54 ÷ 18日 = £29.25

    次に、在職期間中の総稼働日数を掛けます。私の場合は137日でした。

    £29.25 × 137日 = £4,007.55

    これが最終的な請求額であり、審判所が認容した金額です。

    計算全体を一覧にすると次のようになります。

    項目
    1日あたりの本来の取り分£35.28
    対象月の稼働日数18日
    対象月に受け取るべきだった額£635.04
    対象月に実際に支払われた額£108.50
    対象月の未払い額£526.54
    1日あたりの未払い額£29.25
    在職期間中の総稼働日数137日
    未払い額の累計£4,007.55

    この方法の利点は、すべての段階で実際に働いた日数に基づいていることです。平均や推定を使っていません。

    6. 1か月分のデータしかなくても計算できる

    「代表月」が認められるための条件

    ここは多くの人が引っかかるところだと思います。

    在職期間全体のデータを揃えられる人は、まずいません。

    私も同じでした。完全な記録を確保できたのは1か月分だけです。準備の途中で雇用が終わったためです。

    それでも、この計算は通りました。理由は、その月が代表月(reference month)として成立する条件を満たしていたからです。

    書面では、次のように説明しました。

    • その月は完全な1か月であり、欠けている日がない
    • 日次の売上レポートが全日分そろっている
    • 出勤記録が全日分そろっている
    • 給与明細があり、実際に支払われた額が確認できる
    • 在職期間を通じて、サービスチャージの徴収・処理の方法に変更がなかった

    最後の条件が重要です。運用が途中で変わっていた場合、1か月を全期間に広げる前提が崩れます。

    つまり、こう主張しました。

    この月は、記録が完全にそろい、かつ相互に整合している唯一の月である。 運用方法が期間を通じて変わっていない以上、実際に行った労働に対応する取り分を判断するうえで、入手可能な最良の証拠である。

    完全なデータでなくても諦める必要はありません。 必要なのは、選んだ月についてその月の記録が完全であることと、運用が変わっていないことを示せることです。

    7. grossで計算する理由

    手取りではなく、控除前の額

    計算はすべて gross(税・国民保険料の控除前) で行います。

    これは未払い賃金の請求における審判所の実務です。実際、審判所からの指示にも「計算にはgrossの数字を使うこと」と明記されていました。

    比較する2つの数字は、次のとおりです。

    • 支払われるべきだったgrossのサービスチャージ
    • 実際に支払われたgrossのサービスチャージ

    判決額もgrossで出ます。

    したがって、受け取った金額から税とNIを納める責任は自分にあります。実際、判決にもその旨が明記されました。

    受け取った額をそのまま使えるわけではないので、この点は認識しておいてください。

    8. 在職中に集めておくべき記録

    辞めた後では手に入りにくくなる

    これは、私が最も強く伝えたい部分です。

    辞めた後では、必要な記録は格段に集めにくくなります。

    在職中であれば、日常業務のなかで目にする書類が、後になって証拠になります。

    優先度が高いもの:

    • 日次の売上レポート(Zレポート) — 総売上と総サービスチャージが分かるもの。これが最重要
    • シフト表 — 日ごとに誰が働いていたか。キッチンとフロアの両方
    • 給与明細 — 全期間分。デジタルで保存する
    • 自分の勤務記録 — 実際に働いた日を自分でも記録しておく

    あると強いもの:

    • サービスチャージの記載があるメニューやレシート — 何%徴収していたかの裏付け
    • 配分方法について質問したときの返答 — メールやチャットで残す
    • 雇用契約書 — ある場合。ない場合、「ない」こと自体が意味を持つ
    • 同僚の証言 — ただし、相手にリスクが及ばないよう配慮する

    記録の残し方について:

    • 個人のメールアドレスや個人のクラウドにその都度保存する。会社の端末やアカウントにだけ置かない
    • スクリーンショットは日時が分かる形で撮る
    • 会話は、可能であればチャットやメールに移す

    ひとつ注意を書いておきます。 記録を集める行為が、就業規則や契約上の守秘義務に触れる場合があります。自分に関係する自分のデータ(自分の給与明細、自分のシフト)を保存することは通常問題になりませんが、他人の個人情報を含む資料の扱いには注意が必要です。 迷う場合は、Acasや Citizens Advice に確認してください。

    9. 計算テンプレート

    自分の数字を入れる

    自分のケースに当てはめる際の手順です。

    ステップ1 — 対象月を1つ選ぶ 記録が完全にそろっている月を選ぶ。

    ステップ2 — その月の各営業日について計算する

    その日の1人あたり取り分 = その日の総サービスチャージ ÷ その日の稼働人数
    

    ステップ3 — 月平均を出す

    1日あたりの本来の取り分 = 各日の1人あたり取り分の合計 ÷ 営業日数
    

    ステップ4 — その月に受け取るべきだった額

    本来の額 = 1日あたりの本来の取り分 × その月の自分の稼働日数
    

    ステップ5 — その月の未払い額

    月の未払い額 = 本来の額 − 給与明細上の実支給額(gross)
    

    ステップ6 — 日額に換算

    1日あたりの未払い額 = 月の未払い額 ÷ その月の自分の稼働日数
    

    ステップ7 — 在職期間全体へ

    請求額 = 1日あたりの未払い額 × 在職期間中の総稼働日数
    

    提出時には、この計算過程そのものを書面にします。数字だけを出すのではなく、各ステップで何をしたか、どの資料から来た数字かを説明してください。

    私が提出したのも、まさにこの構成の書面でした。