音楽・アート・ボヘミアン

    チェルシーのブループラーク巡り

    Chelseaチェルシー中心部で半日

    チェルシーはヴィクトリア朝の芸術家コロニーとして知られた土地でありながら、20世紀にはロックミュージシャンたちが住み着いた一角でもあります。時代の異なる二つの「ボヘミアン」が同じ通りの中に共存しているのが、このエリアの面白さです。

    ここでは実際に訪ねられる住居を、なぜその人物がここに住んだのかという背景と一緒に紹介します。

    掲載する建物の多くは私有の住宅です。プレートの見学・撮影にとどめ、長時間の滞在や敷地内への立ち入りは控えてください。

    掲載プラーク

    劇作家 · 1885年頃–1895年

    1. オスカー・ワイルド

    Oscar Wilde

    コンスタンス・ロイドとの結婚を機に、ワイルドは新築のこの家に移り住みました。前衛的な建築家E・W・ゴドウィンに内装を依頼し、「私の目は部屋に純色の休息の場を求める」という自身の美学理論をそのまま反映させています。

    名声の絶頂期、ここで『ドリアン・グレイの肖像』や『真面目が肝心』を執筆し、サラ・ベルナールらをもてなしました。しかし1894年、クイーンズベリー侯爵がワイルドを同性愛者だと中傷するカードをこの家に残したことが、のちの名誉毀損訴訟、そして投獄へとつながる引き金になります。1895年、ワイルドはこの家を去ることになりました。

    住所
    34 Tite Street, Chelsea, London SW3 4JA
    最寄り駅
    Sloane Square 駅 徒歩12〜15分
    見学の可否
    現在は複数の住戸に分割された私有の建物です。外観の見学にとどめてください。

    シンガーソングライター · 1977年

    2. ボブ・マーリー

    Bob Marley

    マーリー&ザ・ウェイラーズは1977年、アルバム『Exodus』(「Jamming」「Waiting in Vain」「One Love」収録)を仕上げるための拠点として、この4階建てのテラスハウスを数か月間使用しました。マーリーはロンドンを「第二の拠点」と呼び、バンド仲間とバタシー・パークでサッカーに興じ、ザ・クラッシュをはじめとする当時のパンクシーンとも交流を持ちました。

    このプレートが実現するまでには時間がかかりました。1977年の大麻所持容疑での逮捕を警戒したマーリーが、この住所を電話帳や選挙人名簿にあえて載せていなかったためです。English Heritageは当時の新聞報道をもとに、ようやくこの住所とのつながりを確認しました。

    住所
    42 Oakley Street, Chelsea, London SW3 5HA
    最寄り駅
    Sloane Square 駅 徒歩約12分
    見学の可否
    私有の住宅です。外観の見学にとどめてください。

    画家・版画家 · 1866年末–1878年10月

    3. ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー

    James Abbott McNeill Whistler

    アメリカ生まれのホイッスラーは、この家を仲間の画家たちを招く日曜恒例の「朝食会」の舞台にし、室内も自ら壁画で飾り立てました。ここで代表作である母の肖像画、正式名『灰と黒の配列 第1番』(1871年)を描き、窓の外に広がるテムズ川を夜に捉えた「ノクターン」連作も手がけています。

    1878年、批評家ジョン・ラスキンを名誉毀損で訴えた裁判に勝訴したものの、莫大な訴訟費用によって財政破綻し、この家を手放すことになりました。

    住所
    96 Cheyne Walk, Chelsea, London SW10 0DQ
    最寄り駅
    Sloane Square 駅 徒歩15〜18分(キングス・ロード経由のバスも利用可)
    見学の可否
    私有の住宅です。外観の見学にとどめてください。

    詩人・画家 / 詩人 · 1862–1882(ロセッティ)

    4. ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ&アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン

    Dante Gabriel Rossetti & Algernon Charles Swinburne

    妻エリザベス・シダルの死の直後、1862年にロセッティはこの大きな屋敷(かつては「クイーンズ・ハウス」とも呼ばれた)を借り、20年間住み続けました。彼にとって最も長く暮らした住まいであり、ラファエル前派としてもっとも生産的だった時期をここで過ごしています。

    1862年から1864年にかけては詩人スウィンバーンと同居しており、プレートには二人の名が並びます。ロセッティは庭で風変わりな動物を飼っていたと伝えられ、ウォンバットや孔雀もいたという逸話が残っています。近隣の住民が孔雀の飼育を禁じる条項をわざわざ賃貸契約に加えるようになった、という地域の言い伝えも広く語られていますが、これは厳密な裏付けの取りにくい逸話として紹介するにとどめます。

    住所
    16 Cheyne Walk, Chelsea, London SW3 5RA
    最寄り駅
    Sloane Square 駅 徒歩18〜20分
    見学の可否
    私有の住宅です。外観の見学にとどめてください。

    画家 · 1913年築の自邸

    5. オーガスタス・ジョン

    Augustus John

    20世紀初頭のイギリスを代表する肖像画家のひとりであり、奔放な生活ぶりでも知られたジョンのために、1913〜14年、オランダ人建築家ロバート・ファン・ト・ホフが設計・新築した住宅です(建設費は当時で約2,200ポンド、現在グレードII指定建造物)。

    この家で(内縁関係にあった)2番目の妻と子どもたちと暮らし、自宅兼アトリエとして使いました。当時のチェルシーはロンドンのボヘミアン芸術シーンの中心地で、近隣にはホイッスラーやロセッティの旧居もあり、19世紀と20世紀、二つの時代のボヘミアンが同じ通り沿いに共存しているのがこのエリアの面白さです。

    住所
    28 Mallord Street, Chelsea, London SW3 6DU
    最寄り駅
    South Kensington 駅 徒歩約7分(Sloane Square 駅も利用可)
    見学の可否
    私有の住宅です。外観の見学にとどめてください。

    ほかのエリアのブループラーク