brave
「That's a brave decision」は褒めていない。イギリス流の遠回しな反対
brave は「勇敢な」ですが、イギリスでは That's a very brave proposal. のように人の選択や案に向けると、「正気ですか?」「私ならやらない」という遠回しな反対になることがあります。人や行動を褒めるときは文字どおりの意味です。

画像: ramrodius from London town, UK / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
人に向けば褒め言葉、選択に向けば皮肉
意味と見分け方
brave が本気の褒め言葉か、遠回しな反対かは、何に向かって言っているかで見分けます。
人や行動に向いている → 文字どおり
You were very brave.——よく頑張ったね。(注射に耐えた子どもに)a brave rescue——勇敢な救出
選択・案・身なりに向いている → たいてい皮肉
That's a very brave proposal.——ずいぶん思い切った提案ですね。(=正気ですか)Brave choice of shirt.——そのシャツ、思い切ったね。Painting the whole flat black? Brave.——部屋を全部黒に? 攻めるね。
つまり、案に対する brave は「私ならやらない」を丁寧に言い換えたものです。会議で自分の提案に That's brave. と返されたら、賛成されたと受け取って準備を進める前に、What concerns do you have?(どこが気になりますか?)と確かめておくのが安全です。
『Yes Minister』がばらした官僚の暗号
背景と由来
この遠回しな言い方は、1980年代のBBCの政治コメディ『Yes Minister』でも笑いの種になりました。官僚のサー・ハンフリーは、大臣に案を諦めさせたいときは controversial(物議を醸す)と言えばよく、とどめは courageous(勇気ある)——controversial は「票を失う」、courageous は「選挙に負ける」という意味だから、と説明します。
2011年ごろには、イギリス人の言い方の「本当の意味」を並べた冗談の対訳表がネットで広まり、That is a very brave proposal の本当の意味は「あなたは正気じゃない」とされていました。冗談ですが、イギリスの会話の空気をよく捉えています。
brave はイタリア語の bravo(大胆な、荒っぽい)から来た語で、16世紀末には bravo が「雇われの刺客」を指すこともありました。遠回しな言い方の仲間は、quite や I'm not being funny, but にもあります。