グリニッジ天文台Royal Observatory and Planetarium, Greenwich
グリニッジ天文台と世界標準時の発祥地
- 料金
- 大人 £24 / 子ども £12
- 所要時間
- 1時間
- 最寄駅
- グリニッジ駅
- 開館時間
- 10:00〜17:00 (最終入場16:30)
料金・開館時間は変更されることがあります。訪問前に 公式サイト で最新情報をご確認ください。
17世紀にチャールズ2世によって設立されたイギリス天文学の歴史的拠点。グリニッジ標準時(GMT)と有名な子午線線があり、両側に足を置くと東西半球に立てる体験もできる。大赤道儀(Great Equatorial Telescope)を見学でき、プラネタリウムやカメラオブスクラで天体やロンドンの景色を楽しめる。科学史や航海術の歴史に触れられる観光スポット。
このページの内容
着いてからの歩き方
グリニッジ天文台に着いたら、この順に見ていくと迷いません。
- 見どころ
本初子午線をまたぐ
経度0度の線が中庭に引かれていて、両足で東半球と西半球に立てます。行列ができるので少し待つことになりますが、世界の時刻の基準がここに決められた(1884年の国際会議)という一点だけで、立つ価値のある線です。
- 見どころ
フラムスティード・ハウス
1675年にチャールズ2世の命で、セント・ポール大聖堂と同じクリストファー・レンが設計した最初の観測所。八角形の部屋は、当時の長い望遠鏡を振り回せるよう天井を高く取った設計です。天文台というより、王が資金を出した実験室として見ると面白い建物です。
- 見どころ
ハリソンの海洋クロノメーター
経度を海上で測るには正確な時計が要る、という難題に生涯を賭けたジョン・ハリソンの時計4台が並びます。H1からH4へと小型化していく過程がそのまま展示されていて、最後のH4は懐中時計の大きさ。船乗りの命を救った発明の実物です。
- 見落としやすい
赤い時報球
建物の上に載った赤い球が、毎日12:55に半分まで上がり、12:58に頂上へ、13:00ちょうどに落ちます。1833年から続く、テムズ川の船に正確な時刻を知らせるための仕組み。世界最初期の公共時報のひとつで、いまも動いています。時間を合わせて外に出てください。
- 見落としやすい
カメラ・オブスクラ
子午線の中庭にある小屋の中で、外の景色がレンズを通して丸いテーブルの上に投影されます。リアルタイムで川と旧王立海軍学校が動いて見える仕掛け。ただし曇りの日は像が暗く、閉まっていることもあります。晴れた日に行けたら覗いてみてください。
- コツ
丘を登る覚悟をしておく
天文台はグリニッジ公園の丘の上にあり、川沿いの旧王立海軍学校からはかなりの上り坂です。その代わり、頂上からの眺めはロンドンでも屈指。カティーサーク号や旧海軍学校と合わせて半日の行程になります。
航海のために作られた天文台
1675年にチャールズ2世がこの天文台を建てた目的は、星を眺めることではありません。船の現在地を知るためでした。
当時、海上で緯度は太陽の高さから求められましたが、経度を測る方法がありませんでした。自分がどれだけ東西に進んだか分からないまま航海する状態で、座礁や遭難が絶えません。海洋国家にとって死活問題でした。
解決の筋道は理屈の上でははっきりしていました。出港地の時刻を正確に保ったまま持ち運び、現在地の南中時刻と比べれば、その差が経度になる。問題は、揺れる船の上で何か月も狂わない時計が存在しなかったことです。
天文台の初代台長ジョン・フラムスティードに与えられた仕事は、月と星の位置を極めて精密に記録し、天体を時計の代わりに使う方法を確立することでした。設計はクリストファー・レンです。丘の上に建てられたのは、視界を確保するためでした。
結果として経度問題を解いたのは、天文表と、ジョン・ハリソンが作った精密な海洋時計の両方でした。この丘での観測が、世界中の船の位置を決める基準になった——それが、ここが世界の経度0度になった理由です。
GPSが示す0度は、床の線より102m東にある
子午線の上に立って写真を撮り、スマートフォンで位置を確かめると、経度が0.00度になりません。GPSの0度は、真鍮の線より約102m東にあります。
これは片方が間違っているという話ではありません。基準の取り方が違うのです。
1884年、ワシントンの国際子午線会議で25か国が、この天文台のエアリー子午環の中心を通る線を世界の経度0度と定めました。当時、経度は天体観測で決めるものであり、望遠鏡は鉛直——つまり重りを吊るした糸が示す方向——を基準に据えられていました。
ところが重力の向きは、地球のどこでも同じではありません。地下の岩石の密度に偏りがあると、鉛直線は理想的な楕円体の法線からわずかに傾きます。これを鉛直線偏差と呼びます。グリニッジではこのずれが東西方向に効いていました。
GPSは天体ではなく、地球全体をひとつの楕円体として扱う座標系で測ります。基準が違うので、答えも変わる。その差が102mです。
観測が雑だったわけではありません。 19世紀の技術で到達できる精度としては驚くほど正確で、ずれは測定誤差ではなく、重力という物理そのものから来ています。線をまたぐときは、そのことを思い出してみてください。
豆知識
- 屋根の赤い球は、時報装置。1833年から毎日13時ちょうどに落下します。テムズ川の船から見えるようになっており、船長はこれを見て船の時計を合わせました。世界最古級の公共時報のひとつで、いまも動いています。なぜ12時ではないかというと、天文台の職員が正午に太陽の観測で手が離せなかったためです。
- GMTとUTCは別物。GMTは天体観測にもとづく時刻、UTCは原子時計にもとづく時刻です。地球の自転はわずかに揺らぐため両者はずれ、公式に使われているのはUTCのほうです。「グリニッジ標準時」は日常語としては残っていますが、厳密には現役の基準ではありません。
- カメラ・オブスクラは電気を使わない。1830年代の光学装置で、小さな穴から入った光を暗室の中の白い面に映します。外の景色がそのまま室内に投影される仕組みで、動く船や人まで見えます。
- フラムスティードは自分の観測データを勝手に出版され、激怒した。ニュートンとハレーが同意なく刊行したためで、彼は流通した本を買い集めて焼いています。
丘を上る
天文台は丘の上にあります。グリニッジ公園を横切って上ることになるので、それなりの傾斜を歩く覚悟が要ります。上りきると、ロンドン中心部とカナリー・ワーフを見渡せる眺望が待っています。
子午線の線の前では写真の順番待ちの列ができます。混雑を避けたいなら開館直後が確実です。
同じ敷地内に国立海洋博物館とクイーンズ・ハウスがあり、こちらは入場無料です。天文台だけが有料なので、券を買う前に何を見たいかを決めておくと無駄がありません。
中心部からはテムズ川の船(リバーバス)で来ることもできます。時間はかかりますが、川から街を見ながら来られるので移動そのものが楽しめます。
場所とアクセス
美術館・博物館ガイド
グリニッジ天文台をじっくり見る
注目作品、所要時間の目安、開館時間、館内の回り方は美術館ガイド側にまとめています。
みんなの口コミ
グリニッジ天文台を訪れた感想や、これから行く人に役立つコツがあれば教えてください。
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