Say Please (Dites donc s'il vous plaît)
ジャン=オノレ・フラゴナール, 1780年頃
ウォレス・コレクション Study

『シル・ヴ・プレと言いなさい』は、啓蒙思想が広がった18世紀における教育をテーマにしたフラゴナールの作品です。
場面は学校の一室。少年がためらいながらも先生からパンをもらおうとする場面で、先生は「魔法の言葉」である「シル・ヴ・プレ(お願いします)」を言わせようとしているようです。周囲にはクラスメートや猫が見守り、右側には哲学者の胸像や黒板、乱雑にかけられたコートが描かれています。これらは学びの場と子供らしい無邪気さを同時に表しています。
技法的には、レンブラント風の暗めの色調を用いて陰影を強調しており、フラゴナールが他の巨匠のスタイルを試みていたことを示しています。また、この作品は比較的珍しく、作者の署名が黒板の文字に巧妙に隠されています。
全体として、当時真剣に議論されていた「教育」を、フラゴナールは軽やかでユーモラスに描き直すことで、子どもの純真さと楽しさを伝えています。