The Musical Contest
ジャン=オノレ・フラゴナール, 1748–1752頃
ウォレス・コレクション Study

『音楽コンテスト』は、若きフラゴナールが師フランソワ・ブーシェの工房で学んでいた時期(1748–1752年頃)に描かれた初期作です。
作品は、ブーシェの《夏の牧歌》(1749年)から人物の構図を直接引用しており、当時の師弟関係をよく示しています。ただし筆致はフラゴナール独自のもので、大胆な色彩の使い方や厚塗り(インパスト)が際立ちます。また、きらめく光の効果や、装飾的で書道的な筆さばきによる樹木の描写、衣装の渦巻くような動きは、すでにフラゴナールらしい演出力を感じさせます。
主題はロココ美術で好まれた牧歌的な場面で、木陰のもとで果物や笛などとともに展開される田園の情景。ここには当時の貴族社会が理想化した「自然の中での遊戯的で官能的な楽しみ」が反映されています。