Shipping at the Mouth of the Thames
J.M.W. ターナー, 1806-1807年頃
テート・ブリテン Room 36

この作品は、J.M.W. ターナーが1806〜1807年頃に制作した未完成の油彩画で、テムズ河口の船舶を描いています。小型船が荒波に揺れる様子の背景には、英国海軍の守備艦(ガードシップ)が灰色のシルエットで立ち、侵略に備える姿を表現しています。この艦はおそらくシアネス近くの砂洲ノアに配置されていたものです。
当時、イギリスはフランスと戦争中であり、ターナーはこの重要防衛拠点を何度も描いています。本作では大きな筆致と淡い色彩で構図を素早くスケッチし、光の効果を生み出しています。淡い背景により、全体に明るさと幽玄な光の雰囲気が漂います。
未完成ながら、ターナーの光と大気表現、そして海景における劇的な動きの描写がよくわかる作品です。