Mercury Sent to Admonish Aeneas
J.M.W. ターナー, 1850年(展示)
テート・ブリテン Room 32

この作品は、J.M.W. ターナーが1850年、ロイヤル・アカデミーで最後に展示した油彩画で、トロイの英雄アイネイアスの物語を描いています。題材はローマ詩人ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』に基づきます。
画面左には兜とマントを纏ったアイネイアスが立ち、隣には愛の神キューピッドが描かれています。翼のある使者マーキュリーはすでに飛び去ったかもしれず、ウェルギリウスの記述通り空気中に溶け込むように描かれています。ターナーは朝日に輝く霧のベールを描くことで、神話的で幻想的な雰囲気を生み出しました。
批評家の評価は賛否両論で、「老年の威厳を捨て、若々しい躍動感を選んだ」と述べる者もいました。ターナー晩年の色彩と光の実験が最も顕著に表れている作品の一つです。