Vision of Medea
J.M.W. ターナー, 1828年
テート・ブリテン Room 32

この作品はギリシャ神話のメーデイアを題材にしたJ.M.W. ターナーの絵画です。物語では、アルゴナウタイの指導者イアソンに裏切られたメーデイアが深い絶望の中、2人の子どもを自らの手で殺してしまいます。本作では呪術を行う場面が描かれ、左下には蛇や毒草といった呪文に必要な素材が配されています。
1828年のローマ展覧会に向けて急いで仕上げられたため、ターナーは縄を黄色く塗って額縁代わりに打ち付けるという即興的な方法で展示しました。しかし細部が判然としないために酷評され、ある批評家は「逆さまに掛けても同じだ」と揶揄し、別の批評家は「オーカー色の苦悶(an agony of ochre)」とまで表現しました。
批評的には失敗作とみなされましたが、ターナーが神話という重厚な主題に挑み、強烈な色彩で実験を試みた点で、彼の表現の幅を知る上で重要な作品です。