The Deluge
J.M.W. ターナー, 1805年
テート・ブリテン Room 31

この作品は、旧約聖書の大洪水を描いた油彩画で、サブライム(自然の偉大さと畏怖を感じさせる表現)の典型的な例です。荒れ狂う海と嵐が画面全体を支配し、鑑賞者に畏怖と驚異、恐怖の感情を喚起します。
画面右下には黒人男性が白人女性を救う場面が描かれており、当時イギリスで奴隷制度廃止運動が進む中で重要な意味を持ちます。1828年にはターナーがこの作品の版画を奴隷制度廃止支持の議員ロード・カリスフォートに献呈しています。劇的な自然描写と社会的・道徳的意識が融合した、力強く意義深い作品です。