Cupid Complaining to Venus
ルーカス・クラナッハ(父), 1526-1527年頃
ナショナル・ギャラリー Room 55

この作品はルーカス・クラナッハ(父)によるルネサンス期の寓意画です。描かれているのは、古代ギリシャの物語で、キューピッドが蜂の巣を盗んで刺され、その苦痛を母ヴィーナスに訴える場面です。ヴィーナスはキューピッドの苦悩を、彼が矢で誘発する愛の甘美さと痛みに例えています。
ヴィーナスは豪華な羽飾りの帽子、宝石のチョーカー、挑発的な視線を持ち、古典的女神というよりザクセン宮廷の美女の雰囲気をまとっています。この対比により、神話的な物語が現実味と親近感を帯び、観る者に強い印象を与えます。
蜂や愛の矢など、象徴的な小物の描写も丁寧で、物語の寓意をわかりやすく伝える一作です。