Two Crabs
フィンセント・ファン・ゴッホ, 1889年
ナショナル・ギャラリー Room 43

本作はフィンセント・ファン・ゴッホが1889年に制作した油彩静物画で、アルルの病院を退院した直後に取り組んだシリーズの一つです。画面には、同じカニが裏返しと正立の両方で描かれているようにも見え、観察と構図の実験が感じられます。
背景の青緑色は地中海の海水を連想させ、自然への関心や色彩の象徴的表現を示しています。類似のカニの研究作品はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館にも残されており、この時期の観察力と色彩感覚の探求がよく表れています。
弟テオへの手紙で、ゴッホは「明日からまた制作を始める。まず一、二点の静物画で描く感覚を取り戻そう」と述べています。制作にあたって、1888年5月に発行された雑誌『Le Japon Artistique』に掲載され、テオが送った北斎の木版画『カニ』からも着想を得た可能性があります。