Noli me Tangere
ティツィアーノ, 1514年頃
ナショナル・ギャラリー Room 8

この作品は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノによる「私に触れるな(Noli me Tangere)」です。復活の翌朝、キリストがマグダラのマリアの前に現れる場面を描いています。悲しみに暮れるマリアは最初、キリストを庭師と間違えますが、手を差し伸べるとキリストは後ずさりし、ラテン語で「私に触れるな(noli me tangere)」と語ります。
要するに、キリストは復活後の神聖な存在であり、直接触れることで理解できるものではない、というメッセージを伝えているのです。
揺れる木々や傾斜した丘は二人の動きを反映し、風景が物語の感情を補強する構図になっています。地平線に輝く夜明けの光は、キリストの復活の栄光を象徴しています。ヴェネツィア派特有の風景と人物の調和による宗教画の典型例です。
この絵は、人物表現と風景表現の融合による叙事性の高さが際立つ作品です。