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    ジャスト・ロンドンは、ロンドンの深層に迫る力量も器量もない中途半端な存在ですが、旅の判断をほんの少し整える一文が紛れていれば、それだけで存在理由になります。

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    Irises

    アイリス

    クロード・モネ, 1914–1917年頃

    ナショナル・ギャラリー Room 46

    アイリス

    作品の概要

    クロード・モネ(1840–1926)の《アイリス》(1914–17年頃)は、彼がジヴェルニーの水の庭を題材に描いたおよそ20点のアイリス連作のひとつです。19世紀末までに交配によって200種近いアイリスが生み出され、モネの庭にも多種多様な品種が植えられていました。モネ自身も日本美術に影響を受けており、葛飾北斎の《菖蒲》の版画を所有していたことが知られています。また、ゴッホが1890年に描いたアイリス作品もモネにとって重要な参照点となっていました。

    ジヴェルニーの庭には、家の前のクロ・ノルマン花園や水の庭の池の岸辺に数多くのアイリスが植えられていました。園芸家ジョルジュ・トリュフォーは訪問記で「池の縁はあらゆる種類のアイリスで厚く覆われ、春にはシベリアアヤメやバージニアアヤメ、夏には日本アヤメやカンフォーリ種が大量に咲き誇る」と記しています。

    本作の特徴は、日本橋の上から見下ろしたような鳥瞰的な視点にあります。モネは1916年に新アトリエを建てており、そこで高さ2メートル級の大画面に取り組みました。この作品も同じ大画面シリーズに属し、画面全体に即興的で力強い筆致が見られます。特に右下の渦巻く青と緑の描写は極めて流動的で、白色の地塗りがあえて残されるなど、開放的な筆さばきが印象的です。紫や青、緑は厚塗りされ、時に粗野ともいえる強いストロークで描かれています。これにはモネが当時患っていた白内障の影響もあったと考えられています。

    モネがこの作品を完成作と見なしていたかどうかは定かではなく、没後までアトリエに残されました。最終的に《大装飾》(グラン・デコラシオン)としてオランジュリー美術館に収められた大連作にはアイリスは含まれていませんが、1920年の作業風景写真にはアイリスの大画面が確認されており、構想の一部に含まれていた可能性があります。

    この作品は、モネが日本美術や園芸文化に触発されつつ、光・色彩・自然の生命力を探求し続けた晩年の試みを示す重要な作例です。

    ここがポイント

      • 約20点描かれた《アイリス》連作のひとつ
      • 日本美術や園芸文化との結びつきが色濃い作品
      • 鳥瞰的な視点や大胆な筆致が特徴