A Young Woman playing a Harpsichord to a Young Man
ヤン・ステーン, 1659年頃
ナショナル・ギャラリー Room 16

この作品はオランダ黄金時代の画家ヤン・ステーンによる風俗画で、1659年頃の制作と考えられます。画面にはハープシコードを弾く若い女性と、それを見守る若い男性が描かれています。
17世紀オランダ絵画では、男女が一緒に音楽を奏でる場面はしばしば恋愛や誘惑の比喩として用いられました。しかしこの女性は真剣に譜面に集中しており、男性との関わりを避けるような態度にも見えます。
ハープシコードの蓋にはラテン語で「行為が人を証明する(actions prove the man)」と記されており、これは男性が近く彼女を口説こうとする暗示とも読めます。彼がデュエットを提案する可能性は高く、当時の慣習では二重奏=調和のとれた愛の象徴とされていました。
この絵は、ステーンの巧みなユーモアと寓意性を兼ね備えた作品であり、同時代の道徳観や恋愛観を知る上で興味深い一例です。