Saint Jerome Reading in a Landscape
ジョヴァンニ・ベッリーニ, 1480-1485年頃
ナショナル・ギャラリー Room 56

この作品はジョヴァンニ・ベッリーニによるルネサンス期の宗教画で、聖ヒエロニムスが自然の中で書物を読む姿を描いています。聖人の静かで穏やかな表情と、周囲の野生的な風景との調和が心の平安と信仰の象徴となっています。
聖ヒエロニムスは、キリスト教初期の著名な教父・学者の一人でラテン語聖書「ヴルガータ(Vulgate)」を完成させた人物であり、苦行や学問の象徴として宗教画に頻繁に登場します。
遠景にはヴェネト地方の実在の町(マロスティカなど)が描かれ、城壁や建物の表現が、隠者である聖人の孤独を際立たせています。また、遠くの丘をかすんだ青で描く空気遠近法(aerial perspective)を用いることで、奥行きや広がりを自然に表現しています。
ベッリーニの精密で繊細な自然描写は、観る者に神の創造物への瞑想を促す作品となっており、宗教画でありながら風景画としても高く評価されます。