In the Bibémus Quarry
ポール・セザンヌ, 1900–1904年
ナショナル・ギャラリー Room 44

1890年代から1900年代初頭にかけて、セザンヌは故郷エクス=アン=プロヴァンス近郊のビベマス採石場を数多く描きました。この場所は古代から黄土色の石灰岩で知られ、彼を魅了したのはその色彩的な美しさだけではありません。幼少期から親しんだ土地であること、そして先史時代の地層や地質に強い関心を抱いていたことが、このモチーフを探求する理由でした。友人への手紙には「風景をよく描くには、その地質学的基盤を理解する必要がある」と記しています。
このシリーズには油彩11点と水彩16点が含まれますが、本作はその中で唯一人間の姿が描かれている作品です。中央の岩に小さく腰かけた人物が、巨大な岩壁のスケール感を際立たせています。自然の壮大さと人間の小ささを対比させながら、セザンヌは風景を単なる外観ではなく、時間と歴史の層をもつ存在として捉えています。