The Virgin Suckling the Infant Christ
ティツィアーノ, 1565-1575年頃
ナショナル・ギャラリー Room 8

この作品は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノによる「幼子イエスに乳を与える聖母」です。聖母マリアが幼子イエスに乳を与える、親密で温かみのある瞬間を描いています。ヴェネツィアでは、このような母子像は長い伝統を持っており、信仰と日常の親密さを同時に表現するテーマとして愛されてきました。
晩年のティツィアーノ特有の柔らかく霞んだ形や粗い筆致により、神聖さとともに温かみのある自然な雰囲気が生まれています。この絵は、ティツィアーノの死後もアトリエに残されていた可能性があり、彼の生涯の最後期の技法や表現の特徴を知る貴重な作品です。
親密な宗教画としての感情表現と、晩年の画風の特徴が融合した、ティツィアーノ晩年の重要な作品です。