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    ジャスト・ロンドンは、ロンドンの深層に迫る力量も器量もない中途半端な存在ですが、旅の判断をほんの少し整える一文が紛れていれば、それだけで存在理由になります。

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    The Côte des Bœufs at L'Hermitage

    エルミタージュの牛坂

    カミーユ・ピサロ, 1877年

    ナショナル・ギャラリー Room 44

    エルミタージュの牛坂

    作品の概要

    本作はカミーユ・ピサロによる油彩画(1877年)で、パリ北西30キロのポントワーズ近郊、ル・エルミタージュのコート・デ・ブフの丘を描いています。ピサロは自宅近くの静かな田園地帯を題材に選び、丘の建物や木立を丁寧に構築的に描写しています。

    縦に細長い樹木の列で画面を分割し、屋根や低い生垣、遠くの丘の水平線でバランスを取る複雑かつ計算された構図が特徴です。左下の小道は観る者を景色の中に誘いますが、比較的高い地平線により画面の奥行きは圧縮され、空は上部の三分の一に収められています。

    ピサロは印象派の即興的な筆致を取り入れつつも、この作品ではそれを抑え、スタジオで慎重に塗り重ねた密度の高い筆触で形態を構築しています。樹木や建物の細かい筆触は、色面の組み合わせで立体感と奥行きを生み出し、近くで見ると左側に歩く二人の人物が背景の樹木とほとんど同化していることに気付くでしょう。

    この作品は、従来のサロン絵画のような滑らかな仕上げとは異なり、厚みのあるテクスチャーを持つ表面で農村生活の物理的・社会的実在感を表現しています。ピサロは後に、より構造的で計画的な印象派の表現に移行し、セザンヌや次世代の点描画家たちへの影響を示した作品とも言えます。

    ここがポイント

      • ピサロの自宅近く、ル・エルミタージュの丘を描いた大作風景画
      • 樹木の垂直線と屋根や丘の水平線を対比させた構造的な構図
      • 密に重ねられた小さな筆致による立体感と奥行き、テクスチャー豊かな画面
      • 印象派的な即興表現から離れ、構築的で計画的な描画手法への移行を示す作品