Portrait of a Man ('Léal Souvenir')
ヤン・ファン・エイク, 1432年
ナショナル・ギャラリー Room 52

この作品は初期フランドル派の巨匠ヤン・ファン・エイクによる肖像画で、1432年に制作されました。人物は狭い画面の中で巻物を持ち、顎のえくぼや額の皺、瞳の光などの細部描写によって驚くほどのリアルさを感じさせます。
画面下部の石の手すりには複数の碑文が刻まれていますが、署名と制作年以外は判読が難しいものです。その中の『LEAL SOUVENIR』(フランス語で「忠実なる想い」)という文字から、この肖像画は被写体の死後に描かれた、あるいは完成された可能性があることが示唆されます。
ファン・エイクは油彩技法の先駆者であり、この作品でも光と質感の緻密な描写により、人物の存在感や感情を強く伝えています。