Painted Wooden Coffin of Itineb
不明, 第26王朝以降(紀元前664年以降)
大英博物館 Room 62

この彩色木棺は、イティネブ(Itineb)のために作られたもので、第26王朝以降(紀元前664年以降)の作例です。出所はSaqgaraです。顔が緑色に彩られていることから、死者がオシリスと同一視され再生されることが強調されています。
オシリスとは、冥界の支配者で死者を裁く神です。襟飾りの下部には翼を広げた天空の女神ヌトが描かれ、オシリスの前で死者が裁かれる場面や、イティネブが各種の神々に礼拝する二十の小さな場面が連続して配置されています。これらは死後の審判と来世での保護を願う標準的な図像群です。
棺の背面には、目と胴体を備え、杖と笏を握るドゥジェ柱(復活と安定の象徴)が描かれており、上部には朝昇る太陽円盤を載せた舟が描かれています。太陽舟は夜ごと冥界を航行し、夜明けに天空に上がるという再生の循環を示します。
これらの図像と配列は、古代エジプトの死と再生の信仰・儀礼を視覚的に示すものであり、彩色や図像の保存状態から宗教美術としての価値が高い一例です。