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    Piranesi Vase

    ピラネージの花瓶

    ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ, 1770年頃

    大英博物館 Room 1

    ピラネージの花瓶

    作品の概要

    ピラネージの花瓶(ボイドの花瓶)は、ローマ時代の断片を基に18世紀の建築家・版画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによって再構成された、巨大な大理石製クラテールです。高さは約2.7メートル、直径0.7メートルに及び、三本の獅子の脚と三角形の台座の上に立ちます。

    上部はボルゲーゼの花瓶の様式を模し、下部はトルローニアの花瓶の影響を受けています。ピラネージはハドリアヌス帝の別荘跡(ティヴォリ)から出土した多数の断片を用い、一部は無関係な古代断片や新しい補作を組み合わせ、他方では非常に精巧な復元を行いました。

    側面の浮彫は、サテュロスたちが葡萄を踏み、酒を仕込む場面を描いています。これは18世紀ナポリにあったフランカヴィッラ公の所蔵祭壇を参照し、ベルナール・ド・モンフォコンの『Recueil d’Antiquités』(1757年)に図版として掲載された意匠をもとに構成されています。

    こうした要素の組み合わせにより、この花瓶は 「古代の断片の寄せ集め」 であると同時に、「18世紀的な創造の産物」 としての側面を持っています。

    この花瓶はピラネージが関わった最大規模の修復プロジェクトの一つであり、同時代の『ワーウィックの花瓶』と並んで有名です。1776年にはピラネージの工房に置かれていたことがオランダ人旅行者の日記に記録され、その年に英国の豪商 サー・ジョン・ボイド がグランドツアーの途上で購入しました。

    彼は西インド諸島の大農園経営者であり東インド会社の取締役でもあり、ロンドン郊外の新古典主義邸宅ダンソン・ハウスの庭園や食堂に、この花瓶を誇らしげに飾りました。食堂の壁画も花瓶の酒神的な主題に合わせて描かれています。

    ここがポイント

      • 高さ2.7mを超える巨大な大理石のカリュクス型クラテール
      • サテュロスが葡萄酒を造る場面を描いた浮彫フリーズ
      • 脚部や台座にローマ断片と近代的補作を組み合わせた構成
      • ボルゲーゼの花瓶やトルローニアの花瓶に着想を得たデザイン