taking the piss
直訳すると意味不明すぎて笑うフレーズだが、イギリス人の会話の半分くらいはこれで出来ている。知らないと「怒られた」と「ふざけられた」の区別すらつかなくなる、割とガチで必須のやつ。
ロンドンの現場仕事の休憩中、同僚に"you're taking the piss, mate"って真顔で言われたことがある。何を訳したらいいのか一瞬わからず、こっちまで真顔になった。
直訳したら「お前、小便を取ってるぞ」である。意味がわからなさすぎて、その場で真剣に自分が何かやらかしたのかと青ざめた。でも後でわかったんだけど、あれは「調子乗ってんな」「ふざけんな(笑)」くらいのノリだった。真顔とジョークの境目がなさすぎるの、これイギリス人あるあるの最上位だと思う。
怒りにも冗談にも使える万能ナイフ
「taking the piss (out of someone)」は、からかう・馬鹿にする・調子に乗ってやりすぎるを指す口語表現。使われ方は大きく2つ。
ポイントは声のトーンでしか本気度が判別できないところ。友達同士のイジりなのか、本気の抗議なのか、文字だけ見ても絶対にわからない。会社の人事評価で「期待値についてすり合わせましょう」と言われた時に、それが本当にただの確認なのか、暗に「お前ヤバいぞ」の警告なのか判別できない、あの感じに近い。イギリス人はこの温度差を涼しい顔で使い分けてくる。
諸説あり、なので話半分で
有力とされる説の一つは、19世紀末の労働者階級のスラングに遡るというもの。当時「piss」は安酒や粗悪品を指すこともあり、そこから「(安物を)本物と偽って売りつける=からかう」に転じた、という筋書きが紹介されることが多い。ただ正直、これも「らしい」レベルの通説で、決定版の語源辞典が一発で断言してくれるような話ではない。
実用上はそこまで気にしなくていい。むしろ大事なのは、この言葉自体は下品な部類に入るので、上司や初対面の人には基本使わないという距離感の方。友達内・パブ・現場作業員同士だと普通に飛び交うが、フォーマルな場でうっかり使うと「え、この人育ち大丈夫?」という顔をされる。日本語で言うなら「ふざけんな」を敬語の場に持ち込むくらいの温度差だと思ってもらえれば大体合ってる。