British English2026年8月15日

    first floor

    「first floor」で待ち合わせて会えなかった人、全員この階数のズレのせい

    イギリスの first floor は1階じゃない。2階だ。日本人が一生に一度は必ずやらかす階数のズレで、待ち合わせは崩壊し、ホテルの部屋は見つからない。しかもこれ、イギリス側から見ると「アメリカの数え方のほうがおかしい」らしい。

    友人がロンドンに遊びに来たとき、デパートの「first floor のカフェで」と言って別れた。15分後に電話がかかってきて「カフェなんてどこにもないんだけど」と怒っている。彼は1階のフロアマップの前で仁王立ちしていた。カフェは一つ上の階にあった。イギリスで first floor と言われたら、それは日本でいう2階。地上階は ground floor で、数字はそこから1、2、3と積み上がっていく。つまり数字が全部ひとつズレる。旅行中ずっとズレる。

    01

    エレベーターに「1」を押しても1階には着かない

    探すべきボタンは G

    イギリスのリフト(エレベーターのことをこう呼ぶ)のボタンには、1の下に G がある。Ground floor、つまり地上階。ここが日本の1階だ。その上が 1st floor で日本の2階、2nd floor が3階……と、ひたすらズレ続ける。

    さらにデパートに行くと、ボタンの並びがこうなっていることがある。

    • LG — Lower Ground。要は地下だが、高級店は「basement(地下)」という響きを嫌ってこう呼ぶらしい。言い換えただけで格が上がると思っているのが、なんかイギリスっぽい
    • G — Ground。ここが1階
    • M — Mezzanine。中2階。ここまで来るともう数えるのを諦めたくなる
    • 1、2、3 — 日本の2階、3階、4階

    つまり LG から数えると、日本人の感覚では「1」は4番目のフロアということもありうる。ホテルで Room 214 と言われて2階を探し回るのも同じ理由だ。あれは日本でいう3階にある。フロントで鍵を受け取ったら、部屋番号の頭の数字にプラス1する。これだけ覚えておけば夜中に迷わずに済む。

    02

    ズレてるのはイギリスじゃなくてアメリカ、という言い分

    ここで「イギリスは変な数え方をする」と思いがちだが、実は逆だと思っておいたほうがいい。地上階を ground floor と呼んで、その上を1階と数えるやり方は、ヨーロッパ大陸、オーストラリア、インド、アフリカ、南米……と、世界のかなり広い範囲で標準になっている。少数派なのは北米のほうだ。日本もアメリカ式なので、ズレて困るのは私たちの側という構図になる。

    理屈としては「地面の上に何段積んだか」を数えているだけで、階段を1回も上っていない場所を「1階」と呼ぶほうが不自然、という発想らしい。エスカレーターに乗った回数を数えてると思えば、そんなに変でもない。

    **厄介なのは、ロンドンには両方の表記が混ざり始めていること。**外資系のホテルやオフィスビルでは、アメリカ式に近い番号を振っているところもある。だから最終的にいちばん確実なのはこれ。

    • 待ち合わせは階数ではなく 店名や目印で決める(「first floor」ではなく「ZARAの向かい」)
    • 建物の中で聞くときは Which floor is it on? ではなく Is that the same floor as the entrance?(入口と同じ階?)と聞く

    階数の数え方を議論するより、入口と同じかどうかを確認するほうが速い。友人と15分間すれ違い続けた末に出した結論がこれです。

    明日もまた1語、増えます。

    イギリス英語の沼は、思ったより深い。

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