物語の芯と見どころの紹介です。幕ごとのあらすじと結末は、 読みたい人だけが開ける形で下にまとめています。
救貧院の食堂。薄い粥を配られた孤児たちが、空腹のまま列に並んでいます。そのなかの一人が、椀を手に前へ出て言います——もう少しください、と。
それだけのことで、彼は売り飛ばされます。ディケンズが書いた19世紀ロンドンは、子どもに「もっと欲しい」と言う権利すら認めていませんでした。
葬儀屋から逃げ出したオリバーは、ロンドンの街でスリの少年団に拾われます。そこを仕切るのは老人フェイギン。犯罪の巣窟でありながら、彼が孤児たちに与えたものは、少なくとも食事と居場所でした。
この作品が長く愛されてきたのは、その両義性を残しているからです。悪党は単純な悪ではなく、救いの手は必ずしも安全ではない。子ども向けに見えて、大人が観たときにいちばん重く残る種類の物語です。
救貧院育ちの孤児。飢えても礼儀正しく、その素直さが行く先々で誰かの計算に利用される。
孤児を集めて盗みをさせる老人。搾取している一方で、彼らに寝床と食事を与えている唯一の大人でもある。
この世界で育った女性。オリバーを守ろうとするが、暴力を振るう男から離れられずにいる。
この物語で唯一、救いの余地なく描かれる男。ナンシーを支配している。
オリバーを街で拾う年上の少年。堂々としていて、大人びた口をきく。
スリの被害者でありながら、オリバーを引き取る老紳士。彼の素性が物語の鍵になる。
孤児たちの合唱と群舞が全編を支えており、主役を含め多くの役を子どもが演じます。大人数の子役が一斉に動く場面の迫力は、この作品ならではのものです。子ども連れで観ると、舞台上に同年代がいることの効果が大きく出ます。
ライオネル・バートによる楽曲は、英国のミュージカルのなかでも屈指の親しみやすさです。冒頭の食堂の場面から、通りの物売りの合唱まで、初めて聴く曲でも口ずさめる作りになっています。歌の力で押していく古典的な作りです。
描かれるのは19世紀のロンドンの街そのものです。救貧院、下宿、市場、テムズ河畔の橋。滞在している街の200年前の姿として観られるので、ロンドン旅行中に選ぶ意味が他都市より大きい作品です。
終盤で暴力による死が描かれ、幼い子どもには重い場面があります。全体は明るい歌が多いぶん落差も大きく、劇場は年齢の目安を案内しています。家族で行く場合は、そこを承知したうえで座席を決めてください。
オリバー! を観る日を決めるための情報です。2026年8月時点。演出の改訂で上演時間が変わることがあるため、当日の予定は 公式サイトの案内も確認したうえで組んでください。
劇場が案内する推奨年齢です。入場制限とは限りません。
歌と台詞が交互に来る一般的な構成です。要点は歌で繰り返されることが多く、台詞を取りこぼしても筋を見失いにくくなっています。ディケンズの『オリバー・ツイスト』が原作で、筋は広く知られています。19世紀ロンドンの下町言葉が使われる場面があり、そこは聞き取りにくく感じるかもしれません。
Ticketmaster の販売情報より。9月10日(木)時点。休演日や追加公演が変わることがあるため、購入前に公式サイトでご確認ください。
ほか 205 公演。
座席の選び方や最寄り駅はGielgud Theatreの劇場ガイドにまとめています。