
Guildhall Art Gallery
地下に降りると、二千年前にここで人が死ぬのを見物していた場所の輪郭が、暗がりに光の線で浮かんでいる。
シティ(ロンドン市)が19世紀から集めてきた絵画を展示する、入館無料の美術館。最初の建物は1941年の空襲で焼失し、現在の建物が開いたのは1999年である。
この館が特異なのは、その建て直しから始まる。1988年、新しい建物の基礎を掘るための発掘調査で、地下から石積みの遺構が出た。何世紀も探されながら見つかっていなかったロンドンの円形闘技場である。西暦70年ごろに木造で建てられ、120年ごろに石造へ改築されたもので、収容は6千人ほどと推定されている。当時のロンディニウムの人口を考えると、相当な割合が一度に入る規模だった。
遺構は地下にそのまま残され、展示室として公開されている。地上のギルドホール・ヤードの舗石には、闘技場の外周が黒い石で描かれている。絵画のほうも見応えがあり、ラファエル前派の作品と、英国でも最大級の大きさを持つコプリーの《ジブラルタルの海上砲台の敗北》がある。
ギルドホール・アート・ギャラリーを短時間で回るなら、まずこの3つ。 展示室の番号は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
地下
1988年、新しい美術館の基礎を掘っていて出土しました。何世紀も探されながら見つかっていなかった遺構です。残っているのは東側の門と排水路と壁の下部だけですが、暗い展示室の中に観客席の位置が光の線で示されていて、規模が体感できます。
専用の吹き抜け
1791年、ジョン・シングルトン・コプリー作。英国でも最大級の大きさを持つ絵画で、美術館のほうがこの絵に合わせて設計されています。下から見上げるのと、上階の手すりから見下ろすのとで印象が変わるので、両方から見てください。
ロセッティ、ミレイ、ランドシーアなど19世紀英国の絵が並びます。シティが同時代に買い集めたものなので、当時のロンドンの商人たちが何を良い絵だと思っていたかがそのまま並んでいる、という見方もできます。
ギルドホール・アート・ギャラリーに着いたら、この順に見ていくと迷いません。 展示室の番号や配置は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
ギルドホール・ヤードに面した入口から入ります。美術館も地下の円形闘技場跡も無料ですが、事前に無料の入場券を取っておくと受付が早く済みます。当日そのまま入ることもできます。開くのは毎日10時から17時、最終入場は16時45分です。
ギルドホール・ヤードの石畳に、黒い石で大きな楕円が描かれています。地下の円形闘技場の外周を地上に写したものです。広場を横切る人はほとんど気づかずに踏んでいます。地下に降りる前に一度、上から全体の大きさを見ておいてください。
この館の本題は地下です。1988年、建物の基礎を掘っていて出土した円形闘技場の遺構が、そのままの位置で展示されています。残っているのは東門と排水路と壁の下部だけですが、暗い部屋の中に観客席の位置が光の線で示されていて、規模が体で分かります。
コプリーの《ジブラルタルの海上砲台の敗北》は英国でも最大級の大きさの絵です。この絵を掛けるために専用の吹き抜けが作られているので、下から見上げるのと上階の手すりから見下ろすのとで見え方が変わります。両方から見てください。
同じ広場に面して建つギルドホールは15世紀の大広間です。開いている日は無料で中に入れます。ローマの円形闘技場、中世の大広間、19世紀の絵画が、ひとつの広場に縦に重なっている場所です。
周囲はオフィス街で、平日の昼は勤め人で混み、土日は驚くほど静かになります。ただし週末は周辺の飲食店も閉まる店が多いので、食事はバービカンかスミスフィールド方面まで歩くつもりで組んでください。
ギルドホール・ヤードの石畳に、黒い石で大きな楕円が描かれています。地下にある円形闘技場の外周をそのまま地上に写したものです。広場を横切る人はほとんど気づかずに踏んでいます。地下に降りる前に一度、上から全体の大きさを見ておくとよい。
1886年に開いた最初のギルドホール・アート・ギャラリーは、1941年の空襲で焼失しました。ただし収蔵品は事前に疎開させてあったため、絵はほぼ無事でした。以後半世紀以上、仮設の場所で展示が続き、現在の建物が開いたのは1999年です。
Guildhall Yard, London EC2V 5AE
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ロンドンには無料で入れる館が多くあります。近くの館と組み合わせて回るのがおすすめです。