
Dennis Severs' House
食べかけの皿、まだ温かいカップ、上の階で人の気配。誰もいないと知っているのに、この家には誰かがいる。
スピタルフィールズに建つ1724年の家。もとはフランスから逃れてきたユグノーの絹織物職人の住居である。博物館ではあるが、展示物に説明札は付いていない。
1979年、カリフォルニア出身のデニス・セヴァーズがこの家を買い、電気を引かないまま住みながら、10の部屋を「架空の絹織物職人一家がいま暮らしている家」として作り込んでいった。食べかけの皿、崩れた寝床、まだ湯気の立つカップ。部屋ごとに設定された年代は1724年から1914年までを移動する。
見学は無言で行う。同行者との会話も含めて、話すことができない。夜の回はろうそくと暖炉の灯りだけである。玄関の上には「Aut Visum Aut Non」——見えるか、見えないか——と掲げられている。
注意が要るのは、これが歴史的に正確な復元ではないことである。セヴァーズ自身がこれを「静物画のドラマ」と呼び、事実の再現ではなく想像の作品だと明言していた。18世紀の暮らしを学びに行く場所ではない。また、開くのは週に3日ほどで、回ごとの予約制である。
デニス・セヴァーズの家を短時間で回るなら、まずこの3つ。 展示室の番号は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
各部屋が1724年から1914年までの別々の年に設定されています。地下の台所から屋根裏の職人部屋まで、階を上がるほど時代が進む作りです。壁紙の傷み方も燭台の様式も、部屋ごとに変えてあります。
食べかけの食事、脱ぎ捨てられた服、まだ温かい飲み物。それに加えて音が使われています。上の階から人の話し声や足音が聞こえてきます。誰もいないと分かっているのに家の中に誰かがいる、という状態が最後まで続きます。
しゃべれないので、入ってくるものが増えます。時計の音、遠くの鐘、通りを行く馬車。そして匂い——香水、煙、丁子、たばこ。部屋ごとに調合が変えてあり、視覚より先に嗅覚が反応する部屋があります。
デニス・セヴァーズの家に着いたら、この順に見ていくと迷いません。 展示室の番号や配置は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
当日ふらりと入れる家ではありません。開くのは週に3日ほどで、時間帯ごとの予約制です。公式の予定表から日付と回を選んで先に買ってください。遅刻すると入れてもらえません。
昼の無言見学のほかに、ろうそくと暖炉の灯りだけで歩く夜の回があります。この家の作りがいちばん効くのは夜の回ですが、枠が少なく先に埋まります。案内人が付く長い回や、演奏付きの回が出る日もあります。
見学は無言で行います。同行者との会話も含めて話すことができません。これは雰囲気づくりの演出ではなく、聞こえる音と匂いを増やすための仕組みです。話せないと分かった瞬間から、時計の音と遠くの鐘が聞こえ始めます。
各部屋は住人がたったいま出ていった状態に作られています。食べかけの食事、崩れた寝床、まだ温かい飲み物。そこへ上の階から話し声と足音が聞こえてきます。誰もいないと知っているのに家の中に誰かがいる、という状態が最後まで続きます。
「Aut Visum Aut Non」——見えるか、見えないか。この家を作った人が来訪者に投げた言葉です。事実の復元を期待して入ると何も見えず、ひとつの作品として入ると全部見える。そういう意味に読めます。入る前に見上げてください。
撮影は禁止、トイレはありません。大きな荷物とベビーカーは預けられません。床は傾き階段は急で、車椅子では入れません。暖炉を焚くので煙が多く、呼吸器に不安があるなら避けたほうがよい。建物を傷めるためピンヒールも不可です。
デニス・セヴァーズは1979年にこの家を買ってから1999年に亡くなるまで、電気を引かずにここで暮らしました。ろうそくと暖炉で生活しながら部屋を作り込み、来客を招いて自分で案内していたのです。彼の死後、家はスピタルフィールズ歴史建造物トラストに引き継がれました。
18世紀の家を正確に再現した施設だと思って行くと、話が合いません。セヴァーズはこれを「静物画のドラマ」と呼び、事実の復元ではなく想像の作品だと明言していました。年代の混ざった調度も意図的なものです。歴史資料としてではなく、ひとつの作品として入る場所です。
18 Folgate Street, London E1 6BX
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