Sir John Soane's Museum
建築家が集めた奇妙な断片たち。彫刻、古代の欠片、死のマスク。邸宅全体がひとつのパズルとなり、訪問者を迷宮に誘う。
サー・ジョン・ソーン博物館は、18世紀から19世紀初頭にかけて活躍した建築家 サー・ジョン・ソーン の自宅兼コレクションを公開している博物館です。ソーンはイギリスの建築史において重要な人物であり、自宅には彼が収集した絵画、彫刻、建築模型、古代遺物などがぎっしりと保存されています。 博物館の特徴は、狭い通路や壁面に工夫して配置された展示で、限られた空間を最大限に活用するソーンの建築センスが随所に見られることです。特に カーナヴォンのコインコレクション や ターナーやホガースの絵画、古代ローマ・エジプトの遺物などが注目されます。ソーンが自宅を博物館として遺言で一般公開することを定めたため、当時の雰囲気や彼の学問的・美術的趣味をそのまま体験でき、時代を超えても独特の魅力を持つ博物館です。
サー・ジョン・ソーンズ博物館を短時間で回るなら、まずこの3つ。 展示室の番号は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
地下(クリプト)
紀元前13世紀のエジプト王の石棺。雪花石膏(アラバスター)製で、内側に死後の世界を導く文言が刻まれています。1824年、大英博物館が購入を断念したあとソーンが買い取りました。
ピクチャー・ルーム
1733年の連作8点。遺産を相続した青年が破滅していく道筋を描いた物語画です。壁面が観音開きの扉になっていて、開くと奥にさらに絵が現れる仕掛け。限られた壁に最大限の絵を掛けるためのソーンの工夫です。
建築家ソーンが自邸として設計した建物。天窓から落ちる光、鏡による空間の拡張、天井の高さを変えて奥行きを作る手法など、彼の建築思想が実験されています。1837年の没時の配置がそのまま保存されています。
サー・ジョン・ソーンズ博物館に着いたら、この順に見ていくと迷いません。 展示室の番号や配置は改装で変わることがあるので、当日は館内の案内で確認してください。
入場は無料ですが、時間を指定した券を取ってから行く必要があります。建物が個人の住宅そのままで、同時に入れる人数が限られているためです。当日ふらりと訪ねても入れないことがあるので、公式サイトで枠を押さえてください。
通路が人一人分の幅しかない場所があり、展示品が壁ぎわに剥き出しで置かれています。そのため大きな鞄は預ける決まりで、貴重品を移すための透明な袋を渡されます。コートを着たままだと展示に触れてしまうので、身軽にしてから入ってください。
絵を掛けた壁自体が扉になっていて、開くと内側にもう一層の絵が現れます。学芸員が時刻を決めて開けるので、その時間に居合わせないと二重構造を見られません。おおむね午前11時と午後3時・4時に開き、ホガースの連作は午後2時です。時刻は変わることがあるため当日受付で確認してください。
地下の一室に、紀元前1279年に没したエジプト王セティ1世の石棺が置かれています。雪花石膏を薄く削り出したもので、内側にびっしり彫られた文字が透けます。大英博物館が買値を出せず、ソーンが自宅に入れてしまったという経緯のある品です。
毎月最初の火曜の夜、電灯を落としてろうそくだけで館内を開ける催しがあります。天窓から光を採る設計が本来どう見えるはずだったかが分かる時間帯で、昼間とは別の建物のように感じられます。人数が限られるため早く埋まります。
セティ1世の石棺を手に入れたソーンは、リンカーンズ・イン・フィールズの自宅で3日間にわたる燭光の祝宴を開き、1,000人近くを招きました。当時のロンドン社交界の話題をさらった出来事です。現在も夜間開館の際は蝋燭の光で公開されることがあります。
ソーンは死の前に議会法を成立させ、収蔵品の配置を一切変更しないことを条件に自邸を国に遺しました。そのため展示は1837年のまま凍結されています。物が詰め込まれて見える配置も、彼が意図した通りの状態です。
13 Lincoln's Inn Fields, WC2A 3BP
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ロンドンには無料で入れる館が多くあります。近くの館と組み合わせて回るのがおすすめです。