Bathers at Asnières
ジョルジュ・スーラ, 1884年
ナショナル・ギャラリー Room 43

縦2メートル、横3メートル。 この大きさは、当時のフランスでは神話や戦争や聖書の場面にしか許されないサイズでした。25歳のスーラは、そこに川辺で寝そべる工員たちを描きました。それだけで挑発です。
まず、人物の配置を見てください。 男たちは誰一人として互いに関わっていません。会話もなく、視線も交わさず、それぞれが違う方向を向いて静止している。まるで古代ギリシャの浮彫のように横一列に並び、時間が止まっています。印象派が追い求めた「動きの一瞬」の正反対です。スーラはこの絵のために油彩スケッチとデッサンを大量に描き、一体ずつ配置を計算しました。
次に、少年の姿勢を見てください。 水際で口に手を当て、川の向こうへ声を上げている少年。この身体の造形は、古代彫刻やルネサンス絵画の水の神を思わせます。労働者の子どもが、神話の登場人物の風格で描かれている。
それから、背景を見てください。 対岸には煙を吐く工場の煙突が並び、鉄道橋が横切っています。手前で憩っているのは、その工場で働く人たちです。牧歌的な水遊びの絵に見えて、後ろには彼らの労働が控えている。
そして、水面と帽子に近づいてください。 ほとんどの部分は幅広の筆で塗られていますが、水面のきらめきや少年の赤い帽子の一部だけ、小さな色の点が重ねられているのが見えます。これは後年スーラが確立する点描の萌芽です。彼は数年後にこの絵に手を入れ、その部分だけ点描で描き直しました。一枚の絵に、彼のスタイルが変わる瞬間が保存されています。
この絵はサロンに落選しました。スーラはそれを機に独立系の展覧会へ移り、翌年から対岸を描いた《グランド・ジャット島の日曜日の午後》(シカゴ美術館)に着手します。二枚はセーヌ川を挟んで向かい合う対の作品で、こちらには労働者の午後、あちらにはブルジョワの午後が描かれている。落選が、美術史を動かした一枚です。